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伊坂幸太郎『ペッパーズ・ゴースト』を読んだ。永遠回帰という概念を知った。
前置き
最近なんだか活字に触れたい欲があり、かつ世界観に没入したいと思ったので久しぶりに小説を読んだ。それが伊坂幸太郎先生の『ペッパーズ・ゴースト』である。
僕は読書家というわけでもないし、小説に詳しいわけではないけれど、伊坂先生の書く小説が好きでほとんどの作品は読んでいる。その中でも「砂漠」と「AX」がとても好きだ。
ちなみに伊坂先生以外だと筒井康隆先生の『家族八景』から始まる七瀬シリーズ三部作がこれまた面白いので是非読んで欲しい。
シリーズものなのだけれど、それぞれ読了した後に全然違う感想が湧いてくると思う。
さて、前置きが長くなっているが、とりあえず小説を読みたいと思った時、いつも伊坂先生の作品を探すのだが、ここ数年単位で小説を読んでいなかったため、ほぼ網羅したと思っていた伊坂作品も何作か作品が出ており、とりあえず目についた『ペッパーズ・ゴースト』を読むことにした。
ところで、僕は読書感想文がものすごく苦手である。そもそも読んだ本を要約することがかなり苦手。
だから、一応この後に感想を述べるつもりではあるが、あまり参考にならないと思っていただきたい。
あらすじも調べたら出てくるのでちゃんと書かない(てへへ)。
感想
永遠回帰という考え方
物語の中でニーチェの「永遠(永劫)回帰」の概念が随所に出てくる。
それはニーチェが著した「ツァラトゥストラ」に記されているのだが難しくてよくわからない。
「人生は繰り返し続ける」というか、嫌な経験はずっと繰り返されるし、良い経験もずっと繰り返される、みたいなことなのだろうか。
辛い経験は繰り返される
作中で「永遠回帰」について語論する場面があり、その結果、作中の人物は苦しめられることになった。
「自分たちは、また辛いことを経験しなければならないのか」と。
これに関して僕は全く同意見というか、永遠回帰という概念がかなり残酷に感じられた。
それがニーチェのいうニヒリズム(虚無主義)に繋がるのかもしれない。
僕の人生も繰り返されるのか
振り返ってみれば僕の人生なんて、もちろん良いこともあったけれど、思い出すだけで憂鬱になるくらい嫌なこともいっぱいあったし、でもこれからの人生は楽しくいきたいから自分なりに頑張っているわけで、でもそれを「永遠回帰」という概念が「どうせまた嫌な出来事あるよ」って茶化してきてるような気分である。
もちろん、ニーチェはそういうことを言いたいのではないだろうし、僕が「虚無主義」への理解が圧倒的に足りていないだけだと思う。
喜びの方が、深い悩みよりも深い
また、ニーチェは「喜びの方が、深い悩みよりも深い」みたいなことを述べているらしい。だから物語として、最終的には永遠回帰の概念についてそこまで否定的ではない。
どれだけ辛い経験、深い悩みがあったとしても、来るべき喜びに備えて行動しろということなのだろうか。
なかなか難しいことを言ってくれるよ。
まとめ
そんな感じで、僕がこの物語を読んで抱いた主な感想はこんな感じである。
こういった形で、普段触れることのなかった考え方に触れ、学びのきっかけを与えてくれるのが小説の良いところの一つだと思っている。「ツァラトゥストラ」もまたの機会に読んでみたい。
小説全体としての感想は、総合的に面白かった。
伊坂先生ならではの小気味良い会話のやりとりは健在であった。
ただ、欲を言えば、最後にもう少しどんでん返しというか、「最初のあれが最後ここに繋がるのか!」みたいな伏線がもう少し欲しかったところ。
伊坂先生の伏線回収は本当に面白いので。
ということで、また小説読みたいな。