カウントダウンノートと鬼編集長(後)
40日。この日数は長いか?短いか?
ゴールを見据えて、一年間のうち8割終わった残りの40日なら、
おそらく短く感じるに違いない。きっと三学期に入ってからの6年生は、
後〇日で卒業か、残り△日で卒業かと、感じ入る子も多いと思う。
これまでの小学校生活が楽しかったと思える人ほど、
短さを強く感じるのではないだろうか。
『心の時間と、時計の時間。』
6年生の国語にはそんなテーマで書かれている説明文の話もあるが、
まさにその通りで、実は40日、約6週間、これは時計の時間で言うと、
まだまだけっこう長いのだ。
小学生生活の換算で行くと、夏休みと同じ長さがある。
これはだいぶ長い。その長い40日で取り組むカウントダウンノートは、
実はけっこう忍耐力のいる作業で。告知した日から最初の一週間に、
しっかりと担任が、鬼編集長ぶりを示していけるかどうかが、
かなり重要になってくる。
初日、自分で自分の最初のページを書くときには、
全員がやる気MAXで始まるのだが、日がたつにつれて、
書くことがだんだん億劫になる子も出てくる。
また、クラスメイトとして認識はしているけれども、
直接の関係性が薄い相手への、ノートの内容に悩むこともある。
そういった場合に、ノートの内容が持ち主に納得いくものであるかどうかを
朝の自習の間に本人に確認してもらって、確かにひどいと思うものには、
その日の内に書き直しをするように注意をしたり、
悩んで、内容が書けなかった場合には、
その日の内の、どこかの時間をノートの作成に割くようにしたり、
当事者同士でもめないようにするために、
間に入る編集長的な役割が必要になってくる。
また、3学期。インフルエンザなどで欠席、出席停止が出てくる時期で、
欠席の友達がいた場合に、どのようにノートを回していくのか、
そのローテーション管理も、編集長の大事な仕事だ。
ただ、根底に流れるモチベーションの高さは、
かなり高い水準で、子ども達全体では維持され続けていて、
億劫になる性格の子も、学校で改めて自分の書いたものを見て、
「すみません、書き直しの時間をください。」
と、自分から要請する場合が多かった。
戻ってきた自分のノートを見て、
(自分は、昨日の○○さんのノート、ちゃんと書けていなかったな。)
と思う心情が、自然と生まれてきて、
相手に心を込める事に、真摯に取り組む姿勢が見られたのが嬉しかった。
そんなカウントダウンノートの取り組みは、
卒業式直前で、ようやく完成に至るのだけれど、
やってよかったと思った瞬間で、特に心に残ったのは、
卒業アルバムや卒業証書よりも、
カウントダウンノートを大事に抱きしめている子がいたこと。
前回の話で紹介したように、サプライズのアイデアに、
子ども達がカウントダウンノートを採用してくれたこと。
お家の人から「カウントダウンノートを書くのに、夢中になっています。」
と、言葉を頂いたこと。
そして、卒業してから3年後に、
「今年は高校受験で、プレッシャーで落ち込んでしまいそうなときに、娘がカウントダウンノートを開いて、励まされているようです。」
と、連絡を頂いた事だ。
鬼編集長と銘打っただけに、何かしら事件がまたあったのか?
と思わせてしまったかもしれないのだが、
「注意をするときの叱り方がほかのときよりも鬼のように怖かった。」
と子どもに評された言葉と、
カウントダウンノート、取り組み中は、スケジュール管理などで、
鬼のように忙しかった編集長仕事だったと言う事から、
鬼編集長と銘打ってしまったこと、お許しください。
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