夏空に元気一杯のPLAYBALL(4)
Yくんのチームであいさつを終えると僕は、
まっすぐにMさんのチームへ足を進めた。
先ほどのYくんのチームでのあいさつで、Mさんは当然気付いたようで、
お母さんの後ろにササっと隠れて、「えー、ほんとに来たん?」
と、顔を少しだけ出して声をかけてきた。
「こんにちわ、今日は応援に来ました。」
と、お母さんにあいさつをすると、
「ととろん先生が来るかもしれないって、Mも楽しみにしてたんですよ。ありがとうございます。」
とお返事してくださった。
「楽しみにはしてたけど、Yくんのチームめちゃくちゃ強いから、負けるとこはなぁ、見られたくないなぁ。」
いつも学校生活の中では、なにに付けても度胸があって、
頼もしい姉御肌なイメージのMさんは、もじもじとして恥ずかしがり屋さんな仕草だった。
「やって見なきゃ勝負はわからんやん。Mさんが弱気なんてびっくりよ。」
と、笑ってMさんの方へ言葉をかけると、
「まぁ、頑張る、頑張るよ。」
と、やはり学校では見たことのない、照れ屋さんな感じでチームメイトの方に走って行った。
「何だか学校では見たことのないMさんでした。」
とお母さんに話すと、
「末っ子ですから家ではいつもあんな感じです。」
と、お母さんはそんなMさんがとても可愛いという感じで、にっこりと答えてくれた。
「Mさんのユニフォーム姿とってもカッコイイですね。」
と話を続けると、お母さんもしみじみと
「最初はお兄ちゃんについていって、なんとなくな感じで始めたんですけどね、6年生まで頑張ってくれました。」
「それが一番素敵な事ですよね。」
「本人は中学校ではもう野球はやらない。と言う事がありますけど、野球じゃなくても何かスポーツはやってほしいなと思います。」
「お母さんをみていて、バレーボール部とかに入るかもですね。」
「そうなったら嬉しいですね。でもまぁMの決めたようにしてくれたらいいかなと。」
お母さんはチームメイトと楽しくじゃれているMさんを、嬉しそうに見ながら、話してくれた。
ちなみに、このMさんのお兄ちゃんは、僕が2年前に6の1を受け持った時の子でもある。
「お兄ちゃんにも、Mさんにも、ご縁が逢って嬉しいです。」
と僕はご挨拶をした後、
「担任としては、もうどっちもがんばれで応援しますので!よろしくお願いします。」
と頭を下げて、Mさんのチームへのご挨拶を終えた。
いや、もうほんと、YくんチームとMさんチームのぶつかる1回戦は、
どっちの応援もしないといかん。と気合を入れ直した僕は、
もう一度、Yくんチームのお母さんたちにお断りを入れて、
1回戦は、どっちのチームの応援ができるように、
バックスタンドの真ん中で、応援することにしたのだった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?