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みんなで楽しむことは、実はけっこう難しい(8)

「先生、ちょっと相談に乗ってください。」

各レクレーションのリーダーが集まって話し合っているところに、お呼びがかかる。

「はいはい、どうした?」

順調に話し合いが進んでいるように思ったが、みんなが悩む問題が見つかったようだ。

何だろうなと思いながら、集まりの中に寄って行く。

リーダーの子たちが見ていたのは時間割表。

どこで、お楽しみ会をするのがいいのかに悩んでいるようだった。

ん?時間についてはもう問題はないと思っていたが、なんだろう。

そう思いながら声をかける。

「時間は最後の週のどこを使ってもいいよ、3時間使っていいよの条件で解決済みかと思ったけど、どうした?」

「それは、みんなわかっているんですけど・・・、それぞれのチームで考えてきたことをやろうとしたら、どうしても、運動場を2時間続けて取りたいよねって話になったんです。でも、他のクラスの子とも考えると、2時間続きで運動場をとれる場所ってないんじゃないかって。」

「なるほど、早めに予約を取れば、できない事もないけど、確かに二時間続きでとるのは難しいね。1時間運動場で1時間体育館とかはどうなの?」

「それも考えたんですけど、そうなると移動の時間とかで後回しになったレクのチームが大変になってくるんじゃないかという話になって、悩んでいます。どうしましょう。」

うーん、とみんなで時間割をにらめっこしながら考える。

考える様子を見ならが、僕は正直驚いていた。6の4の子達の成長ぶりに。

この子達が今悩んでいるのは、自分たちのお楽しみ会を成功させられればいいという範疇を超えていて、

他のクラスにも迷惑のかからないようにしながら、

みんなで考えたお楽しみ会を実現するにはどうしたらいいかという内容になっていたからだ。

お楽しみ会ができる。そういった盛り上がるイベントになると、

それは子どもに限らずだが、どうしても楽しめるにはどうしたらいいかだけが先行してしまう事がある。

けれど今子ども達は、そのお楽しみ会は、自分たち以外のクラスでも行われるだろう。

で、あるならば、同じように楽しいことを考えているかもしれない他のクラスには迷惑のかからないように、

自分たちが出し合ったアイデアを実現するにはどうしたらいいかを話し合って、考えて、悩んでいる。

そういったところまで目が行き届いたうえで悩んでいることに、

僕は心の中では、感嘆と称賛の拍手を送っていた。

しかし、我が子たちの成長をのんびり喜んでいる場合でもない。

「じゃあ、、、、続けて3時間で、お楽しみ会をしないといけないって考えなくてもいいんじゃない?」

そう僕が提案すると子ども達は、

「え、それってありなんですか?!」

と、驚いた様子で尋ね返してきた。


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