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どうせやるならとことん楽しもう(6)

「ん?どした?3連休なんだからはよ帰ってゆっくりおし。」

「いや、先生、その3連休なんですが、、、あの五色百人一首貸してもらえませんか?」

おお!と驚きながらも、だよね、そうくるよね、と内心では思っていた僕は、

「もちろん全然いいよ。家で練習するんでしょ。」

「はい、KさんやTくんみたいに、自分で買った人たちにはちょっと申し訳ない気持ちもあるけど、毎日できるってなったらやっぱり面白くて。そうなってきたらもっと上手くなりたいって気持ちになってきて。」

「映画の中のつくえくんとおんなじだね。」

「はい、やっぱり1対1の試合だから、負けると悔しいし、一枚でも多く獲りたいって気持ちになって。」

「お年玉で買ったKさんとか、Tくんは偉いなって思うんだけど、3連休も多分買いに連れて行ってもらったりはできないから、、、」

とそこで、他のクラスの放課を待っていたKさんが、ざわざわしてるのを見に戻ってきた。

「え!先生貸し出しするんですか?!と言う事は、みんなめっちゃ強くなるやん!すごい楽しみなんだけど。」

と、みんなの申し訳なさなど気にしなくていいよと言わんばかりに、

Kさんは屈託ない明るい笑顔で、ワクワクしている気持ちを言葉にした。

それを聞いて心なしか安心したのか、貸出希望の子達は、お願いします。借ります。と言って札の箱を手に取る。

「ただ、貸し出しには1つだけ絶対守ってほしいルールがあるから、それだけは必ず守る約束をしてください。」

「はい、必ず。なんですか。」

「この取り札セット、確かに今いる10,11,12人全員に貸しても足りる数はあります。だけど、これが火曜日に戻ってこなくて、16セット以上揃わなかったら、毎日練習試合ができなくなっちゃう。この数かって先生のボーナスももうないからね、そうポンポンと出てくることは無いので。なので、絶対に借りたら次の日。今日のように週末の場合には次の週明けの日には持ってくることだけは守って。これはみんながそれだけはまってくれていることが嬉しいからいいよと言ったことだから、みんなもそれだけは守ってほしい。」

「それは、絶対に!」

「宿題忘れてもカルタだけは持ってくるよ、必ず。」

と、Mくんが言うと、みんなで「それは宿題も持って来いよ。」と総突っ込みが入る。

「よーし、自分流のはや覚えを研究しよう。」

「ねぇ、昼から私の家で百人一首しようよ。」

「いいね、Rさんも一緒にしよう。」

「じゃあ読み手をさ巡番に回しながらやろう。」

「えー、それずるい。私も行ってもいい?」

「もちろん、いいに決まってるやん。何時からにする?」

どうやら子ども達は、すっかり五色百人一首を気に入ってくれた様子。

子ども達の盛り上がりに、僕は3連休明けが今から待ち遠しい気持ちになるのだった。

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