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お泊りミッションを成功させろ(1)

あっという間の二学期で、仲良しさんクラスの子ども達も、

ちょっとだけ背も伸びたように感じる秋。

行事が目白押しの二学期だが、何と言っても一番の行事は修学旅行だ。

6年生で修学旅行というワードになると、

にべもなく、【小学校生活で一番の思い出】となる、

子ども達にとって最も楽しみな学校行事なのだが、

仲良しさんクラスの子ども達にとっての、修学旅行は、

年度初めから見据えていた『6年生で一番の試練』になっていた。

一番の理由は、5年生の時にあった宿泊学習だ。

近くの少年自然の家に一泊二日して、山や池などの自然のなかで、

色々な活動に取り組むと同時に、宿泊のルールなどを学ぶこの宿泊学習。

仲良しさんクラスの子ども達は、宿泊したのが3人、

二日目の活動に参加したのは4人という状態で、

この行事は子ども達にとって、苦い記憶しか残っていないものだったのだ。

中でも一番の問題は、宿泊という状況で、

・普段寝るのとは全く違う場所で。

・心を許せる人が誰もいない状況で。

・決まった時間に消灯なのに、その後も寝ない人がいるのが気になり。

・心がイライラ、そわそわのまま夜通し過ごさなきゃいけなくなる。

環境によって心の状態が引っ掻き回される宿泊の状況は、

「もう二度といきたくない、やりたくない。」

そう強く思わせるには十分すぎるほどの体験になっていたのだった。

しかし僕の方では、絶対に仲良しさんクラスの子ども達の中に、

修学旅行を楽しい思い出にして残してあげたいという想いも強くあった。

そして、色々なことに前向きに挑戦し、乗り越えていく、

この子達の姿に触れてきて、それはできるという想いも湧き上がっていた。

そのための一番の準備は、もうしっかりと話を付けている。

「さて、いよいよ修学旅行ですが。」

そう切り出すと、間髪入れずに返ってきた。

「俺、行きたくない。去年も行ってよかったことは一つもなかった。」

「僕も、家族じゃない人とのお泊りは、無理です。」

「あいつら寝る時間になっても眠らんし、宿泊学習の時のことを思い出すだけでイライラしてくる。」

そんな辛かった思い出が堰を切ったように溢れる。

そんな中でも、かいくんは特に強烈だったようで、

「二日目の、なんだっけ、ウォークラリーのときなんかさ。お前らみんな行かないっていって、結局俺は交流の人たちの中に1人だけ入れられて、3時間も歩かされてさ。誰もついてきてくれんし。ほんと散々だった。」

二日目最後のイベントは、何とかいくん以外は不参加だったのだという。

「あれは、かいくんには悪かったと思ってる。」

「かいくん、ごめんね。」

と、約一年ぶりの謝罪会見みたいになったところで、切り出した。

「うん、去年のことも聞いてる。だからその上で、今回もしっかり話を付けてきた。修学旅行は、うちのクラスだけで1班になって、動きます。」





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