普段の学びも感じてもらって、安心してもらえるように(2)
「段取りとしてはまず、子ども読書の日の2時間のうち、一時間を使って、詩の読み聞かせ会をする。もう一時間は読書を各クラスで。そして、その後の時間でこの感想をかけるプリントの、上のスペースには、読み聞かせで印象的だった詩を写して、下の行になっているところに、その詩が心に残った理由や、詩に触れた感想を書く。」
うんうん、と頷きながら、僕と姉さんは聞いている。
「で、学習参観の時間には、その感想を小グループになってお互いに交流する。そして、グループでの交流が終わったら、各グループごとに、良かったと思った感想を他己紹介の形で、全体に発信する。つまり友達の感想を発表するわけだな。」
おおー、と僕が反応していると、
姉さんは「面白いですね。それで行きましょう。」と、了解の返事。
僕も、「同じく、それがいいです。」と続く、
「じゃあ、その詩の読み聞かせ会で使う詩を探さないとですね。」
と、姉さんと確認していると、
「いや、それはもう大丈夫。ちょっと待ってな・・・。」
船長は、マイデスクの後ろの収納棚に置いている大きなダンボール箱から、
ごそごそと、綴られたプリントを探し出して、取り出してきた。
「詩集は、もうここにある。なかなか面白い詩も沢山あるから、後は読み手次第だ。」
僕と姉さんは、もうほんと目が点である。
船長は、これまでに実践されてきたことで、これは良いと思うものは、
こうしていつでも使えるように準備してあるのだ。
当然そういった実践記録や教材の保管は、
大なり小なり度の教員もしている事だとは思う。
だがその内容、準備のしやすさ、
そしていざ、そういったものが必要だと思った瞬間に、
それが出てくる手際の良さは、これまでの実践が自身の実践力として、
完全に身についているからこそ為せることだ。
「じゃあ僕、とりあえず3人分コピーしてきます。」
「うん、ととろ、頼んだ。3人分じゃなくて6人分な。」
どうやら船長は、読み聞かせ会に、
学年に関わってくださる教科指導の先生も、参加させる腹積もりらしい。
その時だけの先生でなく、いつでもあなたたちに関わっている先生なんだよという人が、
多ければ多いほど、子ども達への良い刺激も増やせる、
最初の『今日もどこかで』では、船員紹介の時に、担任だけでなく、
専科や少人数指導の先生、保健の先生や、給食の先生も載せていた。
あなたたちを支えているのは、僕ら3人だけではなく、
他にもこんなに先生たちがいるからね。
船長の記事には、一つ一つに子どもへの文字にはしていないメッセージがついているようで。
「合点承知です。」
船長から詩集を受け取ると、僕は足早に隣の事務室に向った。