どうせやるならとことん楽しもう(10・了)
「悔しい、悔しい!」
決勝戦で敗れたMさんは、優勝したKさんと仲良しで、
3連休もどちらかの家に集まって、何戦も練習していたとか。
楽しみながらもどちらも負けない気持ちは真剣勝負で対戦するから、
それが仲良しの友達同士でも、悔し涙はボロボロこぼれてくる。
そしてその決勝戦を観戦していた、子ども達の多くが、
「次は勝ちたい。」
「次は自分も一回戦でも多く上がりたい。」
「次のトーナメントでは、優勝したい。」
そんな気持ちを膨らませているような、そんな熱気が漂う中で、
第一回6の4百人一首かるたトーナメント『赤杯』は、
閉会式に入る。
「それでは、結果発表です。優勝はKさん、女の子だから赤杯クイーンです。準優勝はMさん、こちらも女子なので準クイーンです。3位はTさんと、Sくん。準決勝戦も紙一重の闘いでした。そして、最初に行っていたように、優勝の賞品として、4人は週末の宿題は無しで、準クイーンは月曜日の漢字まで、クイーンは火曜日の漢字まで免除とします。先生が宿題チェックの時に忘れてしまうといけないので、今のうちにチェックシートに免除マークを書いておきます。」
パチパチパチパチ、と拍手の中、いいなーという声も聞こえてくる。
「それでは、第一回赤杯以上になりますが、何か感想はありますか?」
と子ども達に聞いてみる。
「先生、これは第二回はいつあるんですか?」
と、早速の質問が返ってくる。
「第二回は・・・今日からですね。それでは、まだ時間もありますので、第二回のトーナメントの色を決めましょう。では、いきます。」
そう言って僕は赤色を除いた4本の割りばしくじをみんなの前に出す。
「ええ!もう?ってか今からするの?!」
「色決まっちゃえば、練習試合一試合くらいはまだできるっしょ。」
「やったぁ!それなら、緑来い緑来い・・・」
「いや、青こい、青こい・・・。」
6の4の子達のノリの良さはいつもこちらも楽しくなる。
そんな祈りがぶつぶつ聞こえる中で、僕は一本くじを引いて・・・
「はい!次は緑札、第二回大会は『緑杯』です。」
おっしゃぁ!とTくんがHくんとハイタッチ。
うぇぇ、と先ほど優勝のKさんはため息ごえ。
みんなの悲喜こもごもが見られる中で、僕は声をかける。
「さぁ、まずは練習試合やってみよっか。」
子ども達は元気よく返事をして、「先生、対戦相手くじ引いて!」
と、早速の抽選を今か今かと待ち構える。
こうして始まった6の4の百人一首カルタは、卒業の間際まで、
みんなで盛り上がれる学級での一番の楽しみになっていくのだった。
さて、次回の緑杯は、どんなドラマができるのだろう。
子ども達の盛り上がりを見る僕自身も、すっかりその熱にあてられていたのだった。