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大迫力のクラウディ鬼・面白可愛すぎるあんちゃん鬼(2)
「クラウディオ、節分はやったことある?」
「んー、見たことはあるけどやったことはないね。」
「実は小学校でもね、豆まき、やったりするんだよ。」
「おー、楽しそう。ここの学校でもやりますか?」
「うん、やれたらいいなと思っていてね。でね、クラウディオも一緒に楽しまないかと思って。」
「できたら嬉しいです。いいんですか?」
「さすが、ブラザー。乗り気でイイね。で、クラウディオ、豆まきのね。」
「はい、ととろんブラザー。なんですか。」
「鬼をやってみないかい?」
「鬼の方をですか?いいんですか?」
「クラウディオがやってもいいよって思ってくれるなら、ぜひ。」
「それはぜひやりたいですね。2月3日は午前中でレッスンはおわりですから、やりたいですね。」
「よっしゃきまり、実は鬼のコスチュームは僕が全部持ってるから。」
「先生がですか?すごいね、何でもあるね、ととろんブラザーは。」
「そうなのよ、でね、うちのクラスのあんちゃんと一緒に、一年生のクラスに鬼になっていってくれんやろか。」
「楽しそうです。やりましょう。」
こうして、ノリも良く優しい中身も抜群にイケメンのクラウディオは、
快く鬼を引き受けてくれたのだった。
「あんちゃん、クラウディオ先生、OKしてくれたよ。鬼できるよ。」
「やったぁ!クラウディオ先生神だ!」
あんちゃん、飛び跳ねて喜んでいる。
喜び方が全身で全力で伝わってくるあんちゃんは、
見ていてこっちも嬉しくなる愛嬌が天性のものだと感じた。
節分当日、校務員のフジさんも鬼役になってくれるということで、
今年は3人の鬼と、僕が引率役で鬼を回ることになった。
副担のあゆさんに、クラスの子達との5時間目はお願いして、
一年生のクラスに入る。
「ぎゃー!、くるなぁ!」
「いいぃぃやぁ!うわーん!」
昨年と違って入りの一歩目から泣いている叫び声が飛び込む、
間違いなくクラウディオだ。2m近い身長の鬼が両手をあげて
「ぐおぉぉぉぉ!」と声を出すと、
大人でもたじろぎそうな大迫力だった。
それに連なってフジさん鬼は、中身が好々爺だけあって、
「どこだぁ、捕まえるぞぉ。」という声も安心感を感じる。
一年生も入ってきた出会いがしらこそ、びっくりして泣いてしまったが、
中身がクラウディオだとわかると、クラウディオが普段、
学校の先生の中でいちばん優しいことを知っているので、
笑顔になって豆を投げてきた。そしてクラウディ鬼の振る舞いが、優しい。
担ぎ上げてもそっとすぐに床に戻して、
豆が当たれば後ずさりして、ひるんでくれて。
鬼、練習しましたっけ?と言うくらいの加減の良さだ。
そんな中爆笑と、猛攻撃を食らっていたのが、あんちゃん鬼。
二人の大人に対して、小柄なあんちゃんはややもすると大きい一年生と、
そんなに変わらない体つきなので、一年生たちは完全にロックオン。
こいつならやっつけられるぞ!と言わんばかりの集中攻撃に
「ぐおお!いた!やめろー!やめろー!」
と、全力で追い回したいのに全然怖がってくれなくてやられている。
一年生も、やぁやぁと豆を投げるものだから、
あんちゃんじたばたしながら、動き回るさまが可愛くて面白い。
ふと廊下に目をやると、さすがあゆさん。
あんちゃんの様子が見たくてうずうずしているクラスの子たちと、
廊下で観戦してくれている。
昨年の6の1の鬼祭りとはまた違った、
大迫力な鬼と面白くて可愛らしい鬼の、学校豆まきになったのだった。