夏空に元気一杯のPLAYBALL(8)
「じゃあ今日は、もう一試合あるんだね。先生そこまで応援してもいだろうか。」
「もちろんいいに決まってるじゃないですか。今度はテントにはいって、暑くないようにして応援してくださいね。」
Yくんはそういうと、二回戦に向けてのウォームアップに駆けて行った。
「ととろん先生、二回戦も応援していくって。」
と、チームの子ども達にお知らせしながら。
それを耳にしたYくんチームのお母さん、お父さんたちも、
「ありがとうございます。楽しんでいってくださいね。次はテントで。」
と温かく声をかけてくださったのだった。
改めて、振り返ると、そもそも野球の観戦は好きだ。
通っていた高校は野球の強豪校で、進学コースの僕らも、応援にはいくことが出来た。
自転車をこいで、球場まで行き、声を出して、拍手して応援する。
テレビ中継で見ていた視点とは違って、ちっちゃくてわかりづらいところもあるが、
一方で俯瞰で全体をみれるので、大飛球の度にホームランかな?と思ったり、
外野からのレーザービームがすごいスピードで戻ってきたりする様子にワクワクできるのは、
現地で観戦してしか味わえないワクワク感だ。
次の二回戦までは、間に一試合あって、1時間ほど待っていることになった。
日陰でちょっと涼みながら、待ってようと思ったら、
「じゃあ、AチームさんとBチームさん、練習試合どうぞ。」
と、アナウンスがかかる。
AチームさんとBチームさんは、前の二試合で敗れたチーム同士だった。
ん?どういうことなのだろう?
おそらく頭にクエスチョンマークが浮かんだままの表情で、
僕が観戦していたのが面白かったのだろう。
Yくんチームのコーチのお父さんが、説明しに寄ってきてくれた。
「コールドとかで予定の時間より早く試合が終わった時には、負けたチームで練習試合をできるように、隙間時間を使っているんです。ちゃんとした球場での試合経験は、平日の練習ではなかなかできないので、こうした時間に、ちょっとでも多くの経験をさせてあげれるように、どの大会でも、隙間時間が出来たら練習試合を入れてあげるようにしているんです。」
その話を聞いて、改めて頭が下がる思いになった。
お父さんコーチたちは、試合後念入りにグランドの整備を行っていた。
それは次の試合のためだからかと思っていた。
もちろんそんなのだが、その試合は練習試合だったのだ。
同じスポーツに打ち込む子どもたちを、関わる大人たちみんなで支えていく。
それは自分の子どもと自分の子どもの所属するチームだけでなく、
同じ大会に参加しているチームの子ども達全体への支援にまで意識は広がっていて、
その事を普通のこととして取り組まれている。
同じ志を持つ仲間として、当然ですよ。とばかりに、熱心に練習試合の審判に取り組まれている様子を見て、
子どもたちの成長を一番に支え続けている親御さんたちの献身に、
深く尊敬の気持ちが湧いてきたのだった。
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