やる気スイッチは、子ども自身でつけるもの(11)
学年練習が毎日のように時間割の中に組まれるようになる運動会モードの日々、
船長の「自主練は、ご自由に」の指針が早くから子ども達に示された五年生の子ども達は、
休み時間でも練習したいときには、練習ルームに行って練習して、
自分たちで、準備から片付けまで出来る段取りも共有されていた。
その事で想定外に助かったのは、運動会の役割仕事に専念できたと言う事だった。
運動会になると、僕はいつもの応援団の担当になる。この年もそうだった。
そして5年生からも応援団員は募られるので、先生も応援団の子どもも、
学年の取り組みと同じくらいの熱量で、応援団の練習も頑張るので、
応援団の活動が始まると、僕はそちらにつきっきりになってしまう。
当然その辺りは、船長も姉さんも安心してお任せしても、
全然問題なく、ととろは応援団しっかり頼んだぞ。と励ましてくれた。
姉さんや船長も、運動会の進行に重要な役割を担っているのだが、
子どもと一緒に僕も、応援団に専念できるように、どんと背中を押してくれる二人は、
本当にありがたい存在だ。
そんな感じで、運動会という大きな学校行事に向けてスケジュールが動き出すと、
どうしても、自分の学年・学級のことが、意識として、二の次になってしまう瞬間がある。
もちろんそうならないように、最優先は我が子のことという意識は持ちながらも、
2週間ほどの準備期間の中で、どうしてもその役割の方に頭を持って行かれる時間が出てしまう。
そうした時に、クラスの子たちが、仲良く、安全に過ごしてくれていることは、何よりの支えだったりする。
5年生が自主練を自分たちでできるようになっていたことは、
そういった意味でも、安心できる状況となっていた。
事前の練習の時間から、口酸っぱく取り締まっていた、『ダンスの用事以外では練習ルームに入らない』の注意もあり、
踊りは普通にやってますの子ども達が、練習ルームにたむろすることなく、
こちらが運動会に向けての昼休みの活動で、休み時間に教室にいられない状態になっても、
もめ事や、事故なども起こらずに、子ども達は各々過ごしてくれたのだった。
そうして日がたち、あっという間にセンター選抜のオーディションの日がやってくる。
最初の日に居残った8人はもちろん、やってみようと名乗りを上げた子達は、
18人ほどになっていた。ここから8人に選ぶのか。
全員がやる気いっぱいだから、全員合格にしてもいいくらいだけれど、
そういった意味では、心苦しい気持ちもわいてくる。
オーディションは3人一組で、一曲踊り切る。それを船長が見て、
その上で、これまでの練習での取り組み方なども鑑みて、決定するというものだった。
踊っている様子は、オーディションを受けている全員で見るので、
競争相手の演技も見て、納得度が高まるようにしている。
さて、誰が選ばれるか。自分ではないのに胸がざわざわしてきた。