やる気スイッチは、子ども自身でつけるもの(8)
公式の運動会の練習が始まった初日、
学年で割り当てられた時間での学年練習の最初の時間に、
子ども達はほとんどが振り付けを覚えている状態だった。
その一週間前の連休明けから始まった、
「やりたい人は自主練習していもいいよ。」
の告知は、そのまま子ども達のやる気スイッチをONにして、
ONにしたままに、やる気バロメーターが上がっていく毎日になり、
始めは女の子だけが取り組んでいたダンス練習は、
気付けば男の子も一緒に、振り付けの自主練をやっている状態になって、
こんな、始まる前からやるなんてバカみたい、
というように構えていた数人の空気感は、完全に吹き飛ばされて消えていき。
練習初日一回目から、ほとんどの子が曲に合わせて踊れて、それがまた嬉しそうで、
達成感を感じているような表情だったのが、こちらも嬉しくなった。
「自主練から、こんなに真剣に取り組んでくれたのは、みんなが初めてだな。船長嬉しいです。」
と率直な感想を子ども達に伝える船長。体育館でも良く響く声は、マイク要らずだが、
子ども達は静かに耳を傾けている。
「今日からが運動会の練習としては始まりだけど、この2週間で、もっともっとカッコよく踊れるように練習していきましょう。そして、このソーランのダンスですが、後半最後で、隊形を変化させます。4色の法被を着て踊る予定ですが、その4色が、それぞれの色の円を作って最後は踊ります。」
法被着るんだ。と言う事で、静かに聞いていた子ども達、ちょっとワクワクした話声が聞こえてくる。
毎日動画で見ていた、十何年前の船長の教え子だった子は、法被を着て動画に映っていたからだ。
体操服ではある。が、その上から法被を着て帯を締めて鉢巻きするだけで、
それはもう立派な踊り手さんで。やはり子どもたち、毎日見ていてあこがれの様な気持ちは持っていたのだろう。
「そして、最後の陣形になった時に、4つの円を従えての真正面の真ん前に、選抜メンバーを8人出てきてもらおうと思っています。選抜試験は今週の金曜日。やる気があって、踊りをカッコよくできるようになった人を選抜しますので、試験にチャレンジしようと思う人は、ぜひ今日からの練習でも、頑張ってください。」
そう言うと、子ども達が法被の時よりもどよめく。
選抜メンバーとな?!そんな楽しいことするんですか?
とそんなざわつきがあちこちでわいわいと盛り上がる。
そんな中で、やはり、8人とはそういう事なのかな、と僕は思った。
最初にやってきた8人が、そのやる気を組まれて輝いてくれたらいいなという願いを込めての8人。
きっとそんな思いもあるのだろう。だが、この一週間で、やる気は多くの子にも伝播して盛り上がった。
選抜試験は、また大変だぞ。と僕は少しだけ苦笑いをしてしまった。