クラス全員で節分鬼祭り(8)
あわただしくも楽しい時間はあっという間で。
ついにやってきた節分の日。
6の1の子たちは、朝から全員、いつもよりもテンションが高い。
あの鬼祭りの提案からあっという間の2週間、
今日はいよいよ、本番の日だ。
朝の会では、今日の本番よりも心配していることを話す。
「今日までやってきたのに、今日ケガとかしたら寂しすぎるので、授業中も休み時間も、午前中は自分たちがケガやらもめごとやらで、モチベーションが下がってしまう事件が起こらないように、気を付けなさいね。昼からは楽しみましょう。」
「楽しみなのに、今日の今日でそんなことするわけないじゃん。」
「昼からが本番だからね。」
「今からドキドキしてきた。」
そんな会話も聞こえてくる中で、午前中は何事もなく過ごすことができた。
給食が終わると、学校の日常は昼休み、掃除時間、そして五時間目となる。
しかしそれでは、鬼祭りの分刻みのスケジュールに間に合わないと、
6の1だけ、給食の後に掃除を先に済ませて、
掃除時間にはスタンバイできるように時程の変更をして、
「今日はしっかり掃除もすること。」
とみんなに促すと、
「わかってるよ、もう、信用ないなぁ。」
と、子どもたち。
大盛り上がりのどんちゃん騒ぎをするだけで、
やりたい放題でちゃんとやることやってないのは、信頼をなくすから。
そういう話を、再三再四くどくどと言ってくるととろんなので、
「鬼祭りをやるなら、いつものこともしっかりと。」
を、子どもたちは言うまでもなく理解してくれていたが、
それでも言ってしまうのは、自分の悪い癖なのか、心配性が過ぎるのか。
「信用ないなぁ。」
と笑いながらぼやいた子ども達に、
「いや、信じとるんよ、今日は、いつもの『できない事を信じとる』でなくて、本当に、信じてるんよ。」
「言えば言うほどじゃん。」
と子ども達も笑いながら鋭く突っ込みたてる。
全くどちらが大人なんだか。子ども達の真っ直ぐな心に向き合うと、
自分自身の大人になってしまうことで身についてしまった小賢しさに、
自省させてもらえる機会にいつも出会うことができる。
心配=信頼していないにもつながるんだな。そう反省しながら、
掃除を終わらせ、昼休みの子ども達のスタンバイの様子を見守る。
あっという間に時間は過ぎて、掃除時間終了のチャイムが鳴り、
いよいよ一年生の教室へ。騒がしくして、一年生に気付かれないように、
静かに静かに、みんなで移動している6の1の子どもたち、
静かさの中に、押さえきれない興奮の雰囲気が、
包み込むように、子ども達の周りの熱量を上げているようだった。
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。
5時間目のチャイムが鳴る。さぁ、祭りの始まりだ。
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