どうせやるならとことん楽しもう(4)
「では、早速ですが、第1回の練習試合やってみようか。」
始業式の日である。
「今日から?まだ覚えてないよー。」
「どうしよう、緑のプリントしか音読してなかった・・・」
などなど、戸惑う声も聞こえるが、まずはやってみようじゃない。
「とりあえずみんなはちはやふるの映画を、二学期に3本全部見ているから、これからする百人一首かるたがどんな試合化はイメージできているでしょう。となれば、あれこれ考える前にやってみよう。」
と子ども達を促して、僕は、6の4カルタルールについて説明を始めた。
「まず、さっきもちらっと言ったけど、おそらく百首全部覚えてするとなると、あまり面白さを感じないまま卒業になっちゃう。なので、1色戦でやってみようと思ってるのね。この五色百人一首はみんなのはや覚えプリントにまとめてあったのと同じ20首ずつの五色に分かれているのよね。で、まず今日から来週いっぱいまでは、、、、」
とそこで用意していた割りばしくじを出して、一本引き抜く。
「赤、まずは赤色20首をそれぞれ10枚ずつ並べての、赤色だけの対戦をしようと思うのよ。で、今日が水曜日、水木金、今週は給食がないから、3時間目にして、月曜は休みだから火曜日から・火・水・木・金、学校での練習試合は木曜日まで六日間、みんなは今日の音読からは、赤色だけを呼んでいいから3連休まで入れたら、来週の金曜日までに9日間。20首だけに集中して、対戦カルタを楽しみながら覚えていけばいいんじゃないかなという計画です。で、来週の金曜日は、第一回6の4カルタ赤杯トーナメントにすれば、、、」
「それなら十分覚えられる!いける!」
と、最後の言葉を言い終える前に、Yくんから嬉しそうな声が飛んでくる。
「Yくんがいけるっていうなら、僕も大丈夫だな。」
「それどういう意味よ。」
MくんのつぶやきとYくんの返しに笑い声が起きる。
「それなら、わたしも、、、。」
と、小さくこぶしを握るSさんや、
「じゃあ、まずは赤を徹底的にやり込めば、優勝狙える!」
とMさんもピョンピョン飛び跳ねて喜んでいる。
「なので、今日はさ、まずどんな形で試合をしていくか。枚数は減っても基本的にはちはやふるであった競技かるたと同じルールで、先にて元の札がなくなったほうが勝ち、送り札もありで、まずはリールを覚えるチュートリアルみたいな感じでさ、今日はやってみよう。」
「先生、いいですか?」
「どうぞ、Tくん。」
「じゃあ今日の試合は、赤色のプリント見ながらやってもいいですか?まだ全然覚えてないから。」
とTくんは、几帳面につづったカルタはや覚え様のプリント綴りを出してそう尋ねた。
「もちろんだよ、まずは見ながらでもいいと思う。」
「うわー、俺プリント家だぁ。」
「そんなこともあるだろうと、プリントはもう1セット刷っておいたよ。」
そう言ってまずはTくんに、赤のプリントを渡す。
「それは、家で読む練習用にきれいなままで持っておき。」
「はい!ありがとうございます。」
そう言ってこちらから、赤色のはや覚え表をTくんがうけとると、後ろにはぞろぞろと行列が、
「先生準備良すぎ。僕にもください。」
子ども達にはや覚え表を渡し終えて、いよいよ1回目の対戦練習の準備は整うのだった。