みんなで楽しむことは、実はけっこう難しい(7)
話し合いが十分にできた子どもたちは、それぞれのレクレーションごとに、
取りまとめるメンバーを決めて、お楽しみ会に向けての準備を始めた。
普段から話し合いの練習を国語の時間などでしている子どもたち。
5・6人のグループになっての話し合いは、実は多人数よりも得意な子が多い。
「先生、このままグループごとに段取りの話し合いをしたいです。」
Oくんが、ストレートに今の気持ちを言葉にして要望してくれた。
こういう時に、Oくんのようなキャラクターは貴重な存在で、
大半の子たちは、
「このまま話し合い続けたいね。でもこの話し合いは5時間目だけっていう約束だし、無理だよね。」
とそんな風に、状況を察して、なかなか言えないことを、ポンと言っていくれることで、
実は先生側であるこちらも助けてもらえることがある。
子どもたちが感じていたのと同じように、先生側の気持ちも、
「これだけ上手に協力し合って話し合いも進んでいるのだから、6時間目もさせてあげたいな。でも5時間目は話し合いって言っちゃったから、一旦切らんとやろうなぁ。」
と思っていたりするのである。
そこに来て「6時間目も話し合い続けたいです。」が飛んでくると、
「じゃあ、そうしよっか。」と、こちらも言いやすくなるのだ。
ナイスだO君、と思いながら、僕は
「うん、これはこのまま話し合って今日中に決められることは全部決めて動いた方が絶対いいね。そうしよう。」
と答えると、じっと耳をそば立てて聞いていた子どもたちも、
「よっしゃ!ナイスOくん!」
と、Oくんの手柄をみんなでほめてくれる。Oくんも嬉しそうだ。
時折この、察せなさでトラブルメーカーにもなる彼ではあるが、
一方で、それによって膠着した状況を突破してくれる力にもなる。
Oくんは決して自分が覚悟を決めるように言ったわけでもない自分の要望が、
みんなにこんなに喜んで褒めてもらえることになるとは思いもよらなかったと、そんな顔をしながら、
「いや、いや、ま、まぁね。」
と照れ照れの笑顔で、みんなからの賞賛に応えていた。
そうして、お楽しみ会の話し合いは、どんどん具体的な話に進んでいき、
レクごとの進行役のリーダーになった子(これも自分たちの話し合いで決めていた)が集まって、
各レクごとの、必要な時間や場所、チーム決め、ルールについて共有していく。
話し合いはどんどんまとまっていき、終わるかなと思った時、
「うーん、どうしようか。」
リーダーたちが時間割表を見ながら困った声を出している。
何かうまくいかないことが発生したようだった。