やる気スイッチは、子ども自身でつけるもの(3)
「5年生が始まって一か月、みんな毎日よく頑張ってきたのう。明日からはゴールデンウィークのお休みに入るけど、その前にみんなに話しておくことがある。」
連休前日の最後の時間、船長はいつもの学年集会の始めに、そう子ども達に話し始めた。
「話す話題は3つ、一つは注意の話、一つはお願いの話、一つは告知の話です。」
5年生になってからの一ヶ月、もう一度や二度ではなく、こうして集まってみんなで話を聞いているので、
子ども達も、落ち着いて、でも緊張せずリラックスして話を聞いている。
「まずは、注意の話、昨日川辺の方に住んでいる方から、駐車場でうちの小学校の子達がずっと騒ぎまわっていて危ないという連絡をもらった。行ってみたら五年生でした。本人たちは注意されたから分かっていると思うが、車の出入りが多い駐車場は、自分たちの命にもかかわる場所だと言う事を、意識して、考えて遊ぶように。連休中も気を付けなさい。」
うんうん、と頷く子ども達の中で、俺は大丈夫だという感じの態度の子もいる。
昨日注意されたのはおまえさんだろうと、心の中で突っ込みを入れながら、
僕も、引き続き船長の話に耳を傾ける。
「次にお願いだが、今日はみんなは1時半下校だが、先生たちは、今日の夜は歓送迎会の飲み会がある。新しい先生達やお別れした先生達とこの一ヶ月のことを話したりするそんな飲み会だ。で、その飲み会には、船長も、姉さん先生も、ととろ先生も行く予定です。ところが、昨日の駐車場の事件のようなことが夕方とかに起こると、飲み会に行けなくなってしまう。なので、今日は、くれぐれも事件の起こらない遊び方でお昼からは過ごすように。協力お願いします。」
職員の歓送迎会のことを、船長はあっけらかんと子ども達に伝えて、その上お願いである。
僕は思わず吹き出しそうになるのをこらえたが、
視界には子ども達が爆笑している様子が入ってきて、
堪えた笑いは一緒になって飛び出した。
「はーい、わかりました。」
と、女の子の声が聞こえてきたり、
「しょうがない、今日は大人しくしておくか。」
という、男の子の声が飛んできたり、
子ども達は、そういう事情ならお願いききましょうといった感じで、
楽しそうに話を聞いている。
「ありがとう、よろしく頼むね。」
と、その話題を締めた船長は、最後の告知に話を続けた。
「で、最後に、連休が明けると、今度は運動会に向けて、学校中が動き出す。練習は連休の後しばらくしてからだけどね。そして今年の5年生は、ソーラン節をします。ソーラン節は知ってるかい?」
子どもたちの反応は、以前踊ったことがあるという子は数名、観たことはあるという感じの子も少々、大体の子が、ソーラン節?といった感じの反応だった。
船長は話を続けた。