不登校先生 (49)
うつの状態で退職する。
はっきりと、退職を決めた時から、頭に居座り続けている問題。
やはり生活のためのお金の問題だ。
非正規で15年、ここまで給料で貯金などはできたことはない。
先月までの給与と、夏の賞与だけが、今の手持ちの全財産。
月末までに引き落とされるものが引き落され、
このまま何もしないでおくとあと2か月、持たない。
まずは、自分の状態で出来ることを一つずつ、抜かりなく。
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畑から帰ってきた次の日、僕は考えていた手順で行動を始めた。
まずは、リュックに、通帳と、ハンコと、退職関連の書類、年金手帳。
それらをもって、自転車で市役所に向かう。
市役所に入り、まず向かったところは、健康保険課
7月まで共済組合保険に加入していたものを、国民健康保険に切り替える。
8月以降の支払いの方法について窓口の担当さんに確認。
月々44300円の引き落としが、9月末から始まることになった。
そのまま健康保険課の窓口の方に、年金の窓口を尋ねる。
すぐ隣が、国民年金担当窓口。
人は誰もいないのでそのままスライドして相談。
現状がうつ療養状態で、無職になっていること、貯金はないこと。
その上で、国民年金の免除申請を行いたい旨話をすると。
窓口の方は丁寧に、今年度の年金払い込み免除の手続きを行ってくれた。
その上で、一旦、国民年金の払い込み用紙が届くけれど、
それは保管しておいて払い込まなくてよい。
その上で、その翌月には免除が通った内容の証明書が届くとの話だった。
毎月の給与から天引きされていた月割りの市民税については、
退職金との相殺で、手続きを取った。
引き落としされるものを先に手を打てるものは打って措けるように。
そして、改めて国民年金担当さんに確認する。
「現状まだ働けない状態なので、生活支援課に相談したいのですが。」
すぐに連絡を入れてくれる。
「あちらの渡り廊下を抜けると、窓口がありますので行かれてください。」
お辞儀をして、言われた窓口へ、連絡が入っていたおかげで、
すぐに個別ブースに案内されて状況を話すことができた。
なかでも、気になっていた家賃の問題
「家賃補助制度などを受けようとも考えているのですが」
そうすると、家賃補助の仕組みを教えてくれた。
どのくらいの収入から家賃補助が適応されるのか、
現状だと申請できるのか。確認できた。
「では家賃補助を受けるかどうかは、まずは失業手当を申請した後に、どのくらいの手当てになるか次第なんですね。」
「そうですね、その時に手当てが11万3千円以下でしたら家賃補助の申請もされてください。」
「わかりました。では今からハローワークに行ってきます。」
「後、今コロナ禍での個人貸付も、別の施設で受け付けていますので、そちらの申請もされておいたらいいかもしれませんね。」
「ありがとうございます。かえって書類に目を通します。」
「気を付けていかれてくださいね。」
まずは市役所での支援の受け方について確認できた。
次は、ハローワークだ。
住んでいる自治体が管轄内に含まれているハローワークは、
電車で40分ほどかかる。今日中にすべての手続きは終わらせたい。
いつになく自分自身を焦らせる気持ちが生まれてくる。
昨日の畑作業のおかげで、気持ちが上を向いている今のうちに。
元気に退職しているわけではない、いつまた自分が下を向いてしまって
何も動けなくなるかわからないから。
市役所を出るとまだまだ暑い日差しが刺すようで。
ぼくは汗をぬぐいながら、駅まで自転車を走らせた。
↓次話
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