応援団は燃えて萌えて全力で(2)
「それじゃ、まずみんな自分の名札プレートを第一希望にはってね。」
毎年クラスを受け持つと、子ども達の名前をテプラで表札みたいにして、
それをマグネットシートに貼って作ってある名札プレートがある。
黒板用、自分の机用、当番表用で、大きさをがL・M・Sサイズで。
決めごとがあるときなど、テンポ良く決めるための小道具だ。
子ども達がパチパチと黒板に書かれたそれぞれの役割の下に、
プレートを貼っていく。みんなの第一希望が出そろった。
やっぱりというか、だよねというか、応援団のメンバーは定員オーバーだ。
「じゃあまず、今定員に足りていない所の第一希望は、確定するよ。」
そういって、定員数が一番多い児童係の子ども達と、
放送係や保健係など、委員会と関連付いた役割を選んだ子ども達は、
第一希望に確定として赤で囲む。
それを確認したうえで、定員オーバーのところを一つず調整していく。
「まず、演技と用具だけど、これは去年やったよという人がそのまま入ってる感じなのかな?」
「いえ、去年はやっていません。」という返事もあれば、
「去年もした仕事だから、もっとやれると思います。」という返事もある。
「みんなやる気で第一希望なのは、一番うれしい。進行に関わる仕事だけど、責任感を持ってやってくれるならだれが勤めてくれてもいいと先生は思っているので、ここはくじ引きで行きます。いいでしょうか。」
と言う事で、ひとまず、演技と用具はくじ引きで、と言う事になった。
「そして応援団については、先生がさっきも話した通り、本当に立ち上げからの2週間、他の友達よりずっと疲れると思います。全力全開で限界までやるからね。みんなも去年、一昨年と、いや1年生の時から見てきたと思うけれど、練習は朝もやるし昼休みもやるし放課後もやります。それぞれの習い事には間に合うように帰しますが。そして気持ちを込めろという、どこまで頑張ればいいかわからない、気合いだー!のモチベーションで行くので、厳しい声かけをすることだってあります。その上で、やるぞという思いで、第一希望にしてくれたと思うので、応援団はオーディションにします。」
応援団希望のメンバーは示し合わせるでもなく「はい!」とそろった声を返してくれた。
「じゃあまず、演技と用具のくじから始めるね。」
演技係・用具係のメンバーが決まる。残ったのは第一希望に外れた子と、
応援団の子どもたち。
「では、第二希望で空いているところに名札をどうぞ。」
と、そこで、オーディション待ちの子から質問が飛んでくる。
「先生、やっぱり私、第二希望で移っていいですか。」
「いいよ、ただ応援団の希望は辞退と言う事になるけど大丈夫?」
少しためらった様子を見せたけど、すぐにしっかりと頷いて、
「私は朝が苦手で、やっぱり最後までやれないと思う。だから移ります。」
「うん、自分のことをちゃんと見つめて分析して、判断できるのも立派な事だよ。えらいね。」
そう声をかけると、ニコッと笑ってその子は児童係に移った。
「うん、Hさんの児童係も確かに第二希望で確定するね。Hさんが応援団もやりたいって気持ちを持ってくれたこともちゃんと覚えてるから、下級生のテントで一緒に目一杯盛り上げてね。」
さあ、いよいよ、残るのは応援団メンバーのオーディションだ。