普段の学びも感じてもらって、安心してもらえるように(4)
「はい、では、お互いに感想を読み合わせしましょう。グループの全員で読み合わせるから、順番は誰からでもいいよ。では始めてください。」
学習参観の当日、子ども達は既に机をグループの形にくっつけて、
4・5人ずつの島になっている。
そのため教室の中をおうちの人が動きまわりやすく、
子どもたちが感想を読んだり、友達の話に耳を傾けたりする学習の様子を、
近くまで寄って見やすい配置になっている。
改めて僕はこの参観授業に、感嘆せざる得なかった。
ここまで考えられていたのかと。
子どもたちが、学びに前向きになりやすい題材を選び、
事前の読み聞かせ会で、子ども達の中にある見通しの持てなさを取り除く。
その上で、子どもたち同士で感想を共有させることで、
学習中ただ、じーっと聞いているだけの時間を大きく減らして、
同じ読み聞かせ会で共有していた時間への思いを、
ミックスアップさせるように共感を深めていき、
子ども達の話し合いが和気あいあいとしたものになっていく。
そうした子ども側の視点だけでなく、それを活動として小グループにすることで、
格子状に並んで授業を受ける時には、
一番後ろで立ったまま動かずに参観することしかできなかった保護者は、
自分の子どもの近くまで行って、活動の様子にじっくりと触れ合うことが出来る。
また、そうして保護者が近くまで来て自分たちのグループの話し合いを聞きに来ることで、
子ども達は、やる気を出して張り切って話し合いに参加しようという気持ちが上がり、
グループでの話し合いは、話すことも聞くことも、より活発して、頑張っている様子が伝わるものになっていく。
そうなると教師はというと、事前の準備としても、ほとんど準備の必要はないが、
かといって見通しの不安な授業にもならない。子ども達の話し合いの様子を、
おうちの人と同じようにぐるぐる回りながら机間指導して、
残り時間を確認しながら、進行役に徹すればよい。
また、机間指導をしているときに、初めましての保護者の方たちに、
声をかけることが出来る。
「ぜひ近くでほめてあげてください。」
「とってもいい感想を書いているので、寄って聞いてあげてください。」
と直接促せることで、保護者の方とのご挨拶も参観中にできるのだ。
数か月前の参観で、子ども達のやりたい放題の状態と、
それにただじっと耐える子どもや教員の様子を、
目の当たりにしている保護者の視点から見ても、
子どもたちが新しい学年の区切りで、しっかりとリセットされて、
落ち着いて、楽しく学校で過ごせているのだと思ってもらうために、
いくつもの仕掛けがなされた凄い授業だったのだと気付き、
笑顔で話し合う子ども達と、その様子を子ども以上に嬉しそうに見ている保護者の方の表情を見て、
改めて僕は、「船長は、、、、スゲーな。」と思うのだった。