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みんなで楽しむことは、実はけっこう難しい(12)

「で、こんなにみんなが楽しく頑張って、成長している姿が見れてすごく嬉しかったので、4時間目は、ととろん先生プレゼンツお楽しみ会、べっこう飴づくりをさせてあげようかと思っているんですが、どうでしょう。」

じーっと真剣にこっちを向いて話を聞いていた子どもたち。

突然の提案に、シーンとした雰囲気が広がって、、、、

「えー!え!?え!?そんなこといいの!」

「やったぁ!あれマジ楽しいんよね。」

「うおぉぉ、科学クラブに一度も入ったことなかったから、めっちゃワクワクしてきた。」

「え、べっこう飴!私初めて。」

「じゃあ、私が上手く作る方法教えてあげるよ。任せて。」

「じゃあ俺もNさんと同じ班で。」

一気に盛り上がる子どもたち。

その様子は、レクのときとは違ったプチパニックだ。

驚きとざわつきが、喜んでくれているバロメーターのようで、

僕はホッとしながら続けた。

「4時間目は、もともと6の4が理科室を使える時間だからね。さぁ、では移動しよう。」

するとMさんが、間を置かずに声をかける。

「4時間目終わった後すぐに給食の準備に取り掛かれるようにしとこう。」

OK、了解、それいいね。とあちこちから聞こえてきたかと思ったら、

子ども達は後ろに固めていた机をパパッと給食班の形にしていく。

お楽しみ会から見ていたせいもあるが、この時に限っては、

こども達の見通しの良さ、気配りの細やかさ、さっと動く行動力は、

担任が思っていた子ども達の評価よりもはるかに高いレベルの成長だ。

理科室まで、ぐるっと校舎を回って歩いていく間、

それまで科学クラブでしかやっていなかったものづくり、

しかも食べ物だなんて、と言う事で、子ども達の興奮度はそれまでの、

お楽しみ会の成功体験に輪をかけて大きくなっている様子だ。

べっこう飴と言えば、原料は砂糖と水だけで、

カセットコンロの上に分厚いアルミホイルのカップをおいて、

弱火で混ぜていくだけの簡単なものだけれど、

子ども達からしたら、科学クラブに入らないとできなかったものづくり、

6年生のクラブ活動の希望は、よっぽどのことがない限り上位の希望で叶っているので、

科学クラブでない子が、クラブ活動に満足していないわけではないのだけれど、

科学クラブでべっこう飴やらポップコーンやらをしたという話が出ると、

いいなー、科学クラブになっておけばよかったと聞こえてくることもあったので、

まさかのサプライズ的に現れた、べっこう飴づくりは、

どうやら子ども達にとっても大喜びのプレゼントになった様子だった。



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