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みんなで楽しむことは、実はけっこう難しい(5)
次々とアイデアが出てきて、そのアイデアが「みんなが楽しめるための」ものだと言う事も伝わっているので、
進行をしていたMさんは、どう収集していいかに少し困り始めている様子だった。
「どうしたの?みんなから出てきているアイデアは、凄く素敵なものだから、いいもんはどんどん採用していっていいと思うよ。」
「はい・・・でも、、、これ全部やろうと思ったら私たちだけじゃ、いざお楽しみ会になった時に、まとめきれないかなって思って。どうしたらいいのかなって。」
「そうだね、レクの種類が増えれば、それだけレクごとのみんなで決めたルールも増える。いざ始まって、進める側がそれを忘れないようにするのは大変だね。」
うーん、と困ったなぁという腕組をして、Mさんはこちらを見つめる。
「うん、じゃあアドバイスをするけど、いいかな。」
「はい!お願いします!」
やっぱりととろん先生は何か考えがあったんでしょ、
と、Mさんに見透かされていたような気もしたけど、僕はそう切り出した。
「Mさんたちは発案者だから、この時間の進行も任せたけど、お楽しみ会はみんなでするわけだから、お楽しみ会のすべてを取りまとめるのもMさんたちがしなさいとは、先生は言ってないよ。もちろん、6の4のみんなも、そうは思っていないと思う、だよね、みんな。」
ぼくとMさんのやり取りを、6の4の子ども達が耳を傾けて聴いているのが見て取れたので、そう振ってみる。
「え、Mさんたちがするんじゃなかったんですか。」
とSくんが、ハッとして返事してくれた。
こんな感じで話し合いが進めば、
やっぱりそう思っちゃうよね、気付かないうちに。
と、心の中でS君の返事に相槌を打って、一呼吸おいてから続けた。
「いや、だって、今回のお楽しみ会は『みんなが楽しめる』が一番のテーマでしょ。そのみんなの中には、当然Ⅿさんたちは入っているわけで、ずっとみんなを楽しませて、会の進行を全部やってたら、Mさんたちは楽しませることはできてうれしいはあっても、自分たちは楽しめなかったで終わってしまうじゃない。だからね、お楽しみ会もレクごとに、役割を分散させればいいと思うんだけど。ドッチボールの時の進行は誰と誰、とか、教室レクの進行のときには誰と誰、とかね。」
おおおお、声が返ってくる。子ども達、まるでコロンブスの卵のような反応で可愛い。
「それなら、その係の分担も決めていこうよ。」
と、Mさんたちに声がかかる。
そっか、そうだ、みんなでの中私たちも入っていたんだ。みんなで進行もしていいんだ。
責任感のMさんは、話し合いの盛り上がりに合わせて、
自分で何とかしなきゃとどこかでプレッシャーを感じていたのだろう。
みんなからの、「わたしもやるよー。」と飛んでくる声に、
安心したような笑顔になって、
「じゃあ、まずドッチボールから、1回戦と2回戦での審判と進行の人から決めよう。」
と、話し合いを進めていくのだった。