底抜けの明るさをどこまでも楽しむ、キラキラの才能秘めた子ども達~6の4の綴り語り~プロローグ(後)
Rくんとは違うクラスのHくん、彼もまたこだわりの強い性格から、
気持ちのコントロールができなくなると、見境なく自傷他傷に走ってしまう子だった。
ある日、教室から外に出されて、それでもクールダウンができずにお母さんに迎えに来てもらうものの、
車に乗らずに、七年生や管理職の先生が四人がかりで四苦八苦してた現場に出くわす。
その時もH君に寄って行き、ひょいと彼を担いでそのまま車に乗せてから、
教室に戻り、そんな事件の話をすると、Rくんがぽつりと、
「Hくんも仲良しさんクラスに来れたらいいのになぁ。」
とつぶやいたのが印象的だった。
仲良しさんクラスの六年生が卒業すると、この学校の仲良しさんクラスは、
一気に8人いなくなるので、2クラスあった学級は1クラスになる。
Rくんは、6年生に進級した際は、今度は仲良しさんクラスに籍を置き、
通常学級への交流という形になった。
そして僕は、昨年の3月が既視感のように3年目残留確定の時点で、
校長先生に1人呼ばれて、
「来年は、6年生で。そしてHくんのクラスの担任をしてもらいたいと思っているのだけど、引き受けてくれますか。」
と打診を受けた。僕は、そうであればと言う事で校長先生に返事をした。
「わかりました。校長先生が、自分なら任せられると判断されたのですから、お引き受けいたします。そしてこちらからもお願いが。来年仲良しさんクラスに籍を置くことになったR君ですが、交流学級は僕に引き受けさせてもらえるでしょうか。」
校長先生は驚いた顔で「それはいいですけど、大丈夫ですか?」
と確認してくる。大丈夫も何も、Rくんを仲良しさんクラスで預かったのは僕だ。
卒業までの一年間も、できる事なら担任をしてあげたいけど、
制度上今度は仲良しさんクラスに籍を置いての一年間になる。
Rくんは年上にも年下にも平等なので、認めるとき褒めるときはともかく、
ダメ出しをしたり喧嘩になった時には、年下の子達との日常では、
もめることも今年よりもあるだろう。
ならば、今度は交流でほぼほぼうちのクラスで一緒に過ごし、
多人数の中で気持ちが落ち着かないときには、
仲良しさんクラスがホームとして戻ることが出来る。
そんな一年にしてRくんも、我が子として最後まで、
仲良しさんクラスのS先生と見届けるぞ。という思いも実現できる。
校長先生は申し訳なさそうに、
「何かあった時には、七年生も管理職も手助けするから。」
と付け加えていってくれたのだったが、そんな心配をよそに、
僕の方はというと、何だか去年と同じような既視感を覚えながらも、
さぁ、来年度も面白そうな子ども達と、
卒業式をゴールに一年間過ごすことになるのだな。
どんな一年になっていくんだろう。そんな想いで、ワクワクしていた。