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二学期始めの大雷落ちちゃう事件(3)
(※筆者より(前・中・後)でまとめようと思ったのですが、内容が長くなったので、タイトルは数字表記に直しました。ご了承お願いします。)
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「Hさんやったね。すごいよ。」
「Hさんおめでとー。」
周りの友達からも、Hさんの頑張りに歓声と拍手が聞こえてくる中で、
ぼくはHさんから漢字ノートを受け取った。
「よく頑張っったね。これでHさんは夏休みの宿題・・・全クリだね。」
にっこり笑って首を縦に振るHさん、コツコツと頑張るその姿勢が立派だ。
と、そんななんだかほんわかムードが広がっている空気感を察知したのか、
Kくんと、Dくんがそろって近づいてきた。
二人ともまだ宿題が残っていた。
それもHさんが今提出したのと同じ漢字ノートの課題に加えて、問題プリント集もまだであった。
「あの、先生、課題プリントは終わったので出します。」
とDくんがプリント集を差し出す。それを横目で見ていたKくんは固まっていた。
Dくんの宿題を受け取りながら、
「Dくんも頑張ったんやね。これでDくんはあと漢字ノートだけだね。漢字ノートももらうよ。」
そう返事をすると、Dくん、ちょっとこわばった顔のまま、
「漢字ノートは・・・・まだ終わってなくて、明日持ってきます。」
と小さい声で返事する。
「ん?漢字ノートも含めて残りは今日までにって決めてたよね。」
「はい、だけどほかの課題をするのでもう手いっぱいで、漢字は終わりませんでした。」
ほんわかした雰囲気がだんだんと張りつめていく。
当然僕も、にこやかな声ではなく、徐々に詰める声かけになっていく。
「とりあえずHさんはOK。こっからは叱りモードに入るかもしれないから、関係ない人は遠くにいっとき。」
と周りの子達にをひとまず解散させて、
「うん、だけんね、今年の宿題は量も多いから、ちゃんと休みの間、計画建ててせんとって言ってたやん。多いっていってもちゃっちゃとした子は7月中には終わらせてたし、Hさんみたいに、コツコツとやるように先生もちょっとやり方の手助けをしたら自分でクリアできた人もいるわけよ。」
「はい・・・。」
「で、Dくんには、夏休み前に『Hさんと同じように日付を書いたりしなくて大丈夫?』って聞いたら、『ダイジョブでーす。』って答えて、それなら信じようという夏休みだったわけよ。で、始業式の日に、今日と同じ顔で『終わりませんでした』だったわけで。だからいつまでに終わらせるか、自分で決めた締め切りが今日だったわけよね。」
「・・・・。」
「いや、頑張ってなかったとは言わないよ。実際に課題プリント集は終わらせてきたんだし、漢字以外にも残っていた課題は今日までにクリアしているからね。・・・・じゃあ分かった。これはもう最後の泣きの一回で、自分で締め切り決めて。さっき明日までって言ったけど、明日までで終わる?先生はまだDくんの夏休みの宿題用の漢字ノートを一度も見ていないけど、今日かえって明日の朝までに終わる?」
「・・・・・・・難しいと思います。」