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応援団は燃えて萌えて全力で(4)
「私は、去年応援団をやって、すっごく感動できたから、今年は、もっともっと、みんなに感動を伝えられるように、頑張りたいです!赤組の!勝利を祈ってー!・・・・・」
「私は、去年の応援団を見ていて、来年は、こんな風にやってみたいという気持ちがあったから、立候補しました。赤組の!勝利を願ってー!フレー!フレー!・・・・」
1人ずつ意気込みと、応援団の掛け声フレーズを全力で声出しする。
女子のオーディションから始めたのだが、みんな今日だけでのどがつぶれるんじゃないか。
そう感じるほどに、一生懸命、前に座っているクラスメイトの審査員に向って声を放つ。
審査員は微動だにしないで、一人一人の声を聞いている。
ピンと張りつめた緊張感が、音楽室に張り詰めた応援団オーディションは、
まずは、女子の候補者が決まった。
去年、副団長を務めたTさんは、やはり鍛えられた一年前の実力をしっかりと発揮できていた。
一番票が多かった。普段は大人しいせいかくのMさんは、
全力で出し切った声が一番大きくて、きっと審査員も驚いていたに違いない。
一人一人が全力で頑張った中で、全員が5票以上入った。
選ばれなかった子も、票数では届かなかったけど、
自分の頑張りを、選んでくれた友達がいてくれたことで、
悔しい気持ちも、残念な気持ちもあるだろうに、
やり切った笑顔で結果を受け止めてくれていた。
「オーディションはどうしても定員で選ばなきゃいけない。けどね、先生は今年の運動会は、先生がいた3年間の中では、一番楽しみになってきたよ。だって、これだけ真剣にオーディションに立ち向かったみんなが、応援団で、下級生のテントで、運動会をみんなで盛り上げてくれるんだからね。」
そう伝えると、オーディションには落選したⅠさんが
「よし、下級生のテントで盛り上げるぞー!。」
と、少しおどけながら言ってくれて、音楽室の緊張感が少し和らいだ。
自然体でムードメーカな雰囲気を持っているⅠさんは、
下級生のことも優しくお世話しながら、楽しく盛り上げてくれるだろう。
そして、次は男子の番だ。Hくんは、どうなるだろう。
僕は、子ども達には悟られないように気を付けながらも、
内心は、上手くできるだろうかと、H君のことが気になっていた。
端に並んだD君から順番に意気込みと掛け声を叫んでいく。
そして最後がHくんだった。
「僕は、6年生になって、今までは自分にはできっこないとあきらめていた事にも挑戦するようになれました。そして、やれる限りやれば、挑戦する気持ちでやってみれば、自分にはできることがたくさんあるのだと思えるようになりました!だから、この応援団も、自分にはできっこないと思っていたけど、挑戦するぞという気持ちで立候補しました。僕が応援団になれたら、必ずみんなの力になるように、全力で応援することを誓います!フレー!フレー!白組!フレ!フレ!・・・・」
Hくんの熱い気持ちが、音楽室の気温を少しだけ上げたような、
そんな雰囲気が子ども達に広がっていったようだった。