みんなで楽しむことは、実はけっこう難しい(9)
そりゃそうだ、お楽しみ会という一括りの学級でのイベントを、
一括りで考えなくてもいいなんて思わないよね。
「いやいや、みんなそれぞれいいアイデアが出てきているなら、存分にできるように、お楽しみ会を2日またぎとかにしてもいいでしょ。」
「そんなことしてもいいなんて思いもせんかったぁ。」
そうなれば、例えば、自分たちのクラスでもともと使うことが出来る体育の時間、
週に3コマ、とびとびになっているけど、そこをお楽しみ会の1時間目、2時間目として、実施してもいい。
その事を頭に入れて、みんなでもう一度時間割に目を落とす。
「とはいえ、月曜日に1時間しました、次は金曜日ですっていうのもなんだか盛り上がらないよね。」
「別れるにしても二日続きで出来るようになればいいんだけど。」
「じゃあ、木曜日の5時間目の外の体育と、金曜日の2時間目の外体育で、1時間ずつならいいんじゃない?」
「教室でのレクはどこでする?」
「木曜から金曜にまたぐから、できれば二つの体育の時間の間でするのがいいと思うけど。」
「となると、木曜の6時間目か、金曜の1時間目になるね。」
「いや、でもまって、外でのお楽しみ会から教室に移動する時間がだいぶロスすることを考えたら、その時間はあまり良くないかも。」
みんな真剣に頭をフル回転させて話し合いに参加しているので、
一つのアドバイスが投げ込まれただけで、次へ次へと話は進んでいく。
全員が同じ方向『お楽しみ会をより楽しくするためには』というテーマに、
集中しているからこその話し合いの進み方に、感心して見守っていると、
「じゃあさ、金曜日の3時間目を教室レクレーションの時間にするのはどう?それならさ、2時間目の外レクの時間が終わっても、中休みで20分時間があるから、移動で時間のロスをすることがなくなると思ったけど。」
と、話し合っている中のメンバーから、良い解決案が出てきた。
「それがいい、それでいこう!」
他のリーダーたちからも、即答でいいね、の返事が返される。
「となると、外レクでしたいのがドッチボールと、ケイドロだから、コートの準備がいるドッチボールを5時間目にしたほうがいいのかな。」
「そうだね、5時間目の方でドッチボール大会にすれば、昼休みに先に掃除をして、ドッチボール担当の人たちは、掃除時間にコートを作ったりしたら運動場の準備も余裕ができる。」
「先に掃除にすれば、だいぶ時間に余裕もできるから、足で線引かないで白線でコート作れるんじゃない?」
「お楽しみ会で石灰使っていいのかな。」
「先生に訊いてみよう。先生、二つ相談が出てきたんですが。」
僕もずっと話を聞いていたから、相談が来る前に返事をする。
「先に掃除も、石灰を使うのも大丈夫だよ。話がどんどん進んでいい感じやね。」
おおー、先読みの返答に歓声と拍手が上がり、
リーダーたちの話し合いは、さらに進んでいく。
みんなで楽しむお楽しみ会に、みんなで意識を向けられた話し合いは、
こうして確実に良い方向へまとまっていったのだった。