悪ふざけの代償は(2)
さて、やってきた社会の時間。子ども達が調べ活動を進める時間だ。
パソコン室のデスクトップパソコンは、起動だけでも3・4分はかかるし、
一度3階から1階まで下りて、別棟のパソコン室まで移動する時間を、
授業時間の中に含むと、45分の時間は実質30分もなくなる。
そこで「3時間取ります」といったときに、1回を2時間続きでとって、
子ども達に十分に調べる時間を持たせようと計画していた。
子ども達はそれぞれ調べたことを、壁新聞のような形でまとめていくので、
その材料もすべて持って行っての、2時間移動教室だ。
今回は中休みも活動できる様に、2・3時間目でパソコン室を取ってある。
やはり思っていた通り、始業後パソコン室に到着するまでに、
授業が開始して10分ほどたっていた。
「では自分の席について調べ学習を始めてください。調べたことをまとめたいときには、窓の所の段差などをうまく使って進めていってね。」
「はーい。」
50台ほどあるパソコンだが、前から出席番号順に座るので、
子ども達がそれぞれ扱うパソコンは変わらないことがほとんどだ。
時折、立ち上がらないとか、ずっと更新中で使えないなどあるので、
その時には、後ろの予備の席に移動して扱ってもらうことになっている。
毎回のことだが、4・5人、後ろの予備席に行くのも、
パソコン室学習では珍しくない光景だった。
カタカタ・・・カタカタカチャカチャ・・・・
キーボードを打つ音だけが聞こえるパソコン室。
静寂はそれだけで、集中力を高める環境を作ってくれる。
時折調べ方に悩んだ子が、前にある教師用パソコンの所にやってきて、
「先生、これなんだけど、どうしても出てこないんよ。」
と質問してくるので、教室では聞き取れないだろうと思うような小声で、
「じゃあ、○○○○のキーワードを検索に入れてさがしてごらん。先生も調べてみて、出てきたら送るから。」
と、そんなやり取りが交わされるだけの、静かな活動の時間に、
僕の方はというと、子ども達が調べた国に合わせたテスト問題を
作ってあげないといけないと、子ども達が調べている国のことについて、
テキストにまとめながら、子ども達の調べ学習の様子を見ていた。
30分ほどたち、2時間目修了のチャイムが鳴る。
「中休みを挟んで3時間目もパソコン室での活動になるから、もってきたものはそのまま置いておいていいです。休み時間で遊んでくる人は、3時間目は直でここに戻っておいで。休み時間も調べ活動をしたい人はこのまま進めてください。ではいったん2時間目は終わります。」
子ども達は、座りっぱなしで固まった体をほぐすように伸びをして、
休み時間を過ごしていった。
順調順調、そう思っているときに限って、事件は起こるものだ。
御多分に漏れず3時間目、今回の事件がやってきたのだった。
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