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やる気スイッチは、子ども自身でつけるもの(14・了)

どっこいしょー、どっこいしょ! どっこいしょー、どっこいしょ!!

ソーラン、ソーラン! ソーラン、ソーラン!!

掛け声がこだまして、運動場に響き渡る。

運動会本番の日、5年生の子ども達は、パリッとした法被を装い、

地面にお尻がつくほどに腰を低くしたり、

肩が抜けるんじゃないかと思うほどに大きく両手を放り投げたり、

応援団にも負けないような大きな声で、全力で踊っている。

二番が終わり間奏で移動し、4色の法被の列は、4色の円に形を変えて、

最後のサビで、この演技で一番の大きな声をそろえて響かせる。

演台の真ん前に並んだセンターの子達は、4つの円を従えるかのように、

後ろから聞こえる声に負けないくらいの大きな声と大きな動きで踊り、

そして曲が終わると同時に、「やー!!!」

と掛け声でポーズを決める。

間を置かずに起こる大きな拍手と歓声は、

間違いなく今日ここまでで一番の盛り上がりだ。

そのセンターには、大きく肩で息をしながらも、

きりっとしたポーズを崩さずに、凛々しい眼差しで正面を見つめるKさんの姿があった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ととろん先生、私センターになれた。選んでもらえた!」

発表があった昼休み、Kさんはまた涙ぐみながら、でも今度は笑顔も一緒に帰ってきた。

「よかったね。やっぱりKさんのここまでの取り組み方をちゃんと評価してくれたんだよ。」

うん、うん、と何度もうなずくKさん。

「先生、わたし絶対、5年生のソーランを一番の演技にしてみせる!」

Kさんは、そこからますますやる気をあげて、そのまま本番までやり切ったのだった。

もちろんやり切ったのはKさんだけでなく、

オーディションで前列には選ばれなかったけど、

挑戦した子達は、円の陣形になった時に、

客席に一番近いところの先端(円に先端はないのだがそういう表現になってしまいました)のポジションに配置されて、

全体がその子達を中心に、カッコいい陣形を形作って、最後を決めたのだった。

曲が終わり、素早くきびきびしていながらも、元気一杯の駆け足で退場していく子どもたち。

退場門の真横で待機している応援団の6年生と僕は、大きな拍手と手合わせタッチで、

5年生の帰りを出迎えた。

「さぁ、応援団。今の声に負けてるようじゃぁ、応援だも形無しだよ。ここは本当の気合の入った声援ってのを、下級生たちに見せつけてやろうじゃないか。」

そう、僕は応援団の子達に声をかける。

「おー!!!やってやるぞー!!」

と団長が反応し、それに呼応するように、

応援団の子達が演技の間の応援に駆けだしていく。

やる気は、全力の演技につながり、全力の演技は感動を浸透させて、

感動は次の誰かのやる気につながっていく。

汗と砂で汚れた体操服の子ども達は、キラキラと輝かせているようだった。

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