夏空に元気一杯のPLAYBALL(7)
Mさんのチームへのありがとうと差し入れを終えると、
僕はそのまままた駆け足で、こんどはYくんのチームに向かった。
僕が近づいていくと、真っ先に気付いたYくんたち6年生ズが、
「集合、ととろん先生にあいさつ。」
と声を掛け合って、キャプテンのOくんが号令をかける。
ちょっとたじろぎながらも、「お疲れさまでした。1回戦おめでとう。」
と言おうとすると、Oくんの号令でピシッと整列した少年少女球児たちが、
「今日は応援ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
とはきはきした声であいさつをくれた。改めて息を整えて、
「こちらこそありがとうございました。これはちょっとですが差し入れです。」
と、アイスキャンディーの入った大きな買い物袋を渡す。
どうも、こういう差し入れも普段はあまりないのが普通のようで、
子どもたちはどうする?どうする?みたいになっていたが、
コーチのお父さんがさっと助け舟を出してくれて、
「ご厚意はありがたくいただきなさい。」
と声をかけてくれたので、Oくんが受け取ってくれた。
そして再び、「差し入れありがとうございます。」
「ありがとうございます!」
と、大きな号令でありがとうを伝えられて、
いや、もうほんと大したことのない差し入れなのに、申し訳ないと、
こちらも恐縮してしまいながらも、
無事に両チームをねぎらうことが出来てほっと一安心なのだった。
アイスキャンディーはそれぞれ10本入りを5箱ずつ差し入れたので、
お父さんお母さん、監督さんなどにも十分回る数だった。
「先生も一本食べてください。」
と、Yくんが持ってきてくれたので、一緒にアイスを食べながら、
二回戦までの一休みの間に、この大会のことをいろいろと教えてもらった。
今日はもう一試合、つまり二回戦であるらしい。
トーナメント形式で、今日が2回戦まで、明日が3回戦4回戦まで。
明後日が準決勝と決勝戦となるらしい。
ん?今日は土曜日だが、そうなると準決勝まで上がると月曜日までになるの?
そう尋ねると、Yくんは、そりゃそうですよ。と、先生何を言ってるの?と笑いながら答えてくれた。
いや、実は引っかかったことは曜日のカウント間違いではなく。
と言う事は、勝ちあがったら、お父さんお母さんたちは平日も、
こうして子どもたちを引率して試合の運営をサポートしながら、
大会に関わって行かれるのか。
子どもたちには、当然それが日常のあたりまえの光景だから違和感はないのだろうけど、
僕は改めて、こうして子どもと一緒に何かを打ち込んでいる親御さんの、
献身的なサポートというものに、ただただ、感嘆と敬意の気持ちが湧いてくるのだった。
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