義務教育の義務は子どもの義務じゃないからこそ、支援の見極めが大切(前)
「先生、今日もかいくん来ないねぇ。」
あんちゃんが、そうつぶやいた4月下旬の朝。
始業式には教室に来ていて、「俺6年生はやれる気がしてきた。」
と言ったかいくんだったが、始まって一週間たち、
土日を挟んだ最初の週明けから来なくなっていた。
お家からの連絡も最初はあったが、次第にこちらから確認するようになり、
こちらから電話を入れて、お母さんと話すと、
「なんか起きてこないんですよ、夜更かししているみたいですみません。」
という感じで、学校に行かないか無いことに特に頓着もない。
「かいはなぁ、調子がいいときはちゃんと毎日来れるんだけど、一度来ない風になるとそっちに行っちゃうんだよなぁ。」
はやくんが、かいくんの行動についてつぶやいて教えてくれる。
「となると、前もこんな感じだったの?」
「はい、かいくん学校に来ているときは楽しいけど、家から学校に行こうとする気持ちがなかなか起こらないって、話してました。5年生の時も。」
と、あまくんがかいくんとの会話を思い出すようにしながら、
かいくんの不登校体質について解説してくれた。
かいくんの不登校気質は、6年生になってから起こったものではなく、
もうずっと2年生の時から仲良しさんクラスの日常の中にあったようで、
しばらく来ている→休みが続く→家族に連絡→来るようになる(前に戻る)
のループのようだった。また家族への連絡でも、お母さんとの連絡だと、
学校に行かせることに関してあまり関心が強くないので
(言ってほしいという想いは持ってくださっているが)、
おばあちゃんへ連絡を取って、おばあちゃんの方から、
お母さんとかいくんへ声をかけてもらうという工夫もしていた。
始業式後は毎朝健康観察の時に登校できていたのだが、
さて、どうしたものか。
「かいくん、学校が嫌いとかいう事は全然ないんだけどね、むしろ好きだ、やっぱり来るといいなと言っていたし。」
とはや君が教えてくれる。あんちゃんもかずくんもまなさんも頷いている。
「そうなの?それは最近?」
「昨日の夜ゲームのチャットで話してるときにはそんな風に言ってた。」
「そっか、オンラインゲームでは話せているんだね。元気そうだった?」
「姿は見れんけど普通にゲームしてたからね。ただ、あいつ俺らがもう寝るから落ちるねって言っても、ずっと遅くまでやってるからな。」
「あれは絶対深夜までやって朝起きれんからやろうね。」
子ども達の分析もするどい。
「で、大体朝起きれないで学校が始まって何時間化してからしか起きないから、もうめんどくさいから行くのやめようって感じになってるんよ。」
なるほど、かいくんの不登校は、学校にストレスがあると言う事よりも、
その生活のルーズさを、自分でも家族も止めてくれないところにあるのか。
それならば、しっかり先ずは話に行かないと。来週は家庭訪問だから。
お母さんやおばあちゃんも一緒に、かいくんをしっかり支える確認を、
きちんと約束してこよう。そんな思いで家庭訪問に臨むのだった。
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