スローガン、私が書きたいってさ(中)
「そのめあて、ととろん先生が去年、仲良しさんクラスでも書いていた言葉だよね。俺、その言葉好きなんよね。」
と、反応してくれたのはRくん。そういえばRくん先月の終わりに、
守る・楽しむ・伸びるを大きな字で4つ切り画用紙6枚に書いた、
仲良しさんクラスのホワイトボートの上に貼っていたスローガンを、
もらって帰ったんだった。一緒に過ごす合言葉のようにしている言葉を、
気に入ってくれているのは、こちらも嬉しい気持ちになる。
「そしてこの言葉に合わせるように、口やかましい先生だけどね。」
と、僕が答えると、
「確かに。でも間違ったことは言ってないから、叱られて落ち込んでも、その後は納得できるから、また頑張れるんよね。」
と、スタートはRくんとのやり取りになった。
そんなやり取りを聞いていた6の4の子ども達は、
担任として、一年間向き合うととろん先生のみんなとの関わり方を、
Rくん伝手にとらえてくれたようで、学級のめあても抵抗感なく、
受け止めてくれた様子が見て取れた。
「大事な事は沢山あるけど、それが全部大事だから、大事だからとくどくどということは無いです。ただ、この三つのことに関係する日々のことでは、先生は一年間ぶれずに、卒業式の日でも、○○はしっかり守るんだよ。△△△を全力で楽しもう。と言い続けるので、そこは覚悟しておいてください。伸びるについては、先生はみんなを伸ばすためにいるので、同じように最後の日まで少しでも伸びるように、同じくぶれずに頑張ります。」
そんなあいさつで、初日の学級開きは時間となった。
6年生は、翌日から、もう委員会決めや、入学式の役割分担が始まるので、
明日から頑張ろう。よろしく。と握手をして教室から送り出すと、
今年も子ども達に伝えた言葉たちを、掲示のスローガンとして書こうと、
準備を始めた。去年も気持ちよく作れたので、今年も大筆で毛筆で書こう。
そんな準備を教室でしていると、
「先生、床でなにやってるんですか?!あ、習字だ!」
他のクラスの友達を待っていたMさんが、のぞき込んで声をかけてきた。
「そうそう、さっきみんなに伝えた、『守る・楽しむ・伸びる』と、『やるときはやる、やることはやる、やれる限りやる』の言葉をね、スローガンで黒板の上に掲示するから、今からね、書くのよ。」
「そんなでっかい筆で書くんですか?面白そう!」
と、Mさん、興味津々で様子をうかがっている。
「うん、みんながいるときはスペースが取れないからね、放課後に書こうと思っていたのよ。でっかく書くとね、面白いよ。」
そう答えると、Mさん、
「先生、私、習字習ってるんですけど、私も書いてみたい。」
おお?!まさかのやってみたいが、初日から飛び出してきたのだった。
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