みんなで楽しむことは、実はけっこう難しい(3)
「では、お楽しみ会についての話し合いをしたいと思います。」
5時間目になって、話し合いが始まった。
「話し合いの内容は、お楽しみ会でどんなレクレーションをするかと言う事です。やることが決まると、それに合わせて、場所や時間も決まってくるからです。その後に、レクレーションの様なもの以外で何かしたいことがないかも話し合っていこうと思います。」
はーい、と声があちこちから聞こえてくる。進行はとんとん進む。
「それでは、3時間目から5時間目までの間で、考えたことがある人は、手を上げてください。」
告知から3時間、給食時間とお昼休みを挟んでいることもあり、
子どもたちの手はパパッと7,8人ほど上がった。
司会の子達は、手が上がった子をテンポ良く指名していく。
この辺りはさすが6年生。
手際よく発言を黒板に書いて、みんなからの意見を全体に共有させていく。
内容はというと、ドッチボール、ケイドロ、ハンドベース、
と言った野外や体育館で行うアクティブなレクレーションと、
シンゲンチ、フルーツバスケット、椅子取りゲーム、ハンカチ落とし等の、
教室で出来るレクレーションが上がっている。
子どもたちがこれまでのお楽しみ会でもやってきたレクレーションたちだ。
やはりみんなで楽しむとなると、これまで楽しかったものになってしまうが、
それは今回も楽しめるあんしんがあるという点で、全然良いことだ。
話し合いのポイントは、ここからになってくる。
体を思い切り動かしたいレクと、教室でわいわい楽しみたいレク、
今6の4の子ども達は、お楽しみ会をどう楽しみたいか、
その好みが2つに分かれていると言う事だ。
さてどうしていくだろうか。
黒板に書き出されたレクレーションは最終的に10個ほどになる。
「それでは、今からこの中でお楽しみ会にやりたいと思ったこと、2つに手をあげてください。」
そうして、レクレーションの中からそれぞれ2票ずつの、挙手による投票が行われた。
結果としては、アクティブ系ではドッチボールとケイドロが票を集めたのに対して、
教室レク系では、シンゲンチとフルーツバスケット、椅子取りゲームが、同じくらいの票数になっている。
また、クイズ係によるクイズコーナーなども結構な票数が入っていた。
「やりたいことがけっこうたくさんになったね・・・・。」
みんな、進行を見ている。進行の子達はしばらく考えてから、
「先生、お楽しみ会は何時間させてもらえますか?」
と、Mさんが尋ねてきた。
「みんな勉強もよく頑張っているから、2学期に進むところまではもうほとんど終わっているからね。2時間、3時間でもいいけど。」
「じゃあまるっと6時間。」
「いや、それはさすがにやりすぎ。まぁでも時間はさっき言ったくらいは使っていいよ。」
「じゃあ、3時間ってことで。もう返しませんからね。」
「はいはい、どうぞ。」
そのやり取りを聞くと、子どもたちは申し合わせたかのように
「やったぁ!」と声をあげる。3時間あればいくつレクができる?!
その見通しが立てば、この歓声は納得のいくものだった。