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6の4の大王は誰になる?(5・了)
「じゃあ2ターン目いくよ。さいころどうぞ。」
そういうと24のむらの長はサイコロを振る。今度は20人ほど並ぶ。
交渉出目だったむらの長は3,4人だったみたいだ。
今度はどんな展開になるのだろう。カードを引いたむらの長から、
米カード1000の引換追加ドローが申請され、
だいぶカードの枚数が増えてきたむらも出てきているようだった。
「では、交渉のむらは指名どうぞ、周りの友達でジャッジはよろしくね。」
統合したむらのタッグは、まずは貯えて、次の交渉でどうしようか話し合っている。
むら同志の交渉も、1ターン目よりさらにスムーズに進行していく。
「俺はいくさしか選ばんぞ!かかれー!。」
と、勇ましい男の子の声。
目を向けると、統合してさらに米1000ルールで、
2000米分プラス2枚カードを引いていた女の子ペアのむらに、
いくさを仕掛けている。次の瞬間に
「うわぁ、やられた!終わったぁ。」
周りのみんなの笑い声、それぞれのむらの長の性格も、
そのままゲームの勝敗につながっているようだ。
3ターン目、4ターン目と進んでいくと、
「甘い!、ここで渡来人カード『青銅の剣』だ。」
「ええ、青銅の剣、武力2倍?!まじかぁ。」
と、渡来人カードのバフ効果、デバフ効果、ボーナス効果があちこちから聞こえだす。
「先生、『高床式倉庫』でたので、米の数が2倍になります。」
といって、備蓄をグングン伸ばすむらも現れだした。
6ターン目くらいになると、むらの数も4つほどになってくる。
なかなか交渉ターンがこないなかで、大きなむらになった四つのグループが、
「このターンで、この渡来人カード使っとく方が良くない?」
「いや、じっくり備蓄を増やして武力を高めていかないと。」
「まぁ、それは長が最終決定するわけだから。」
と統合した元長や、滅んだはずの長も一緒になって作戦会議になっている。
そして10ターン目にいよいよ、むらはあと二つになり、
交渉の出目が出た。
大きなむらになればなるほど、いくさが無くなっていく。
交渉では統合を選んだうえで、互いの持ち武力の勝っている方が
統合後の長になるが、その際は、米の備蓄も渡来人カードも武力も、
全て統合されるからだ。
いくさをするほうがいいのか、統合してみんなでより大きなむらになっていくのがいいのか、
子ども達は、一人一人がむらの長だからこそ、どの選択が自分たちにとってより良いものかを考え出す。
そして、ついに10ターン目終了。初代大王は、Mさんだった。
「おー、6の4国の大王は、Mさんだ。女子だから女王様だね。」
「Mさんは、最初から最後まで一回もいくさをしていなかったかった。やっぱりそれが最後は大きくなっていく攻略法かぁ。」
「渡来人カードがそのまま引き継げるのは、やっぱりでかい。おおきくなればなるほど、統合が有利だね。」
「うちのクラスはMさんが大王だから、まさに邪馬台国と卑弥呼だね。」
そういって、みんなでゲームの寸評をしあった後は、
「先生もう一回!」
子ども達が、このゲームを気に入ってくれたのが伝わってきて、
前日朝方までカードづくりしてよかったなぁと、
ホッとしたぼくの口からは大きな欠伸がでてきたのだった。