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クラス全員で節分鬼祭り (5)

みんながじっと見守る中、黒板に書きだした。

・鬼役6人(決定済み)

・鬼補欠2人

・お知らせ役(始まり)1人 拍子木

・鬼が来たぞー!役4人

・タイムキーパー1人

・お知らせ役(終わり)1人 タンバリン太鼓

・1年生のお世話&あと片付け役11人

・鬼セコンド役10人

「・・・・という風に役割を考えました。」

おおー、という感じの雰囲気の中で、質問が来る

「鬼が来たぞー!って何なん?」

「これは、最初の拍子木が鳴った後に、教室に鬼が来たぞー!と叫んで、まず逃げ込んできて、鬼が迫っているのを一年生に伝える役だね。」

「なるほどね、おれそれやりたい!」

「じゃあどの役になりたいかの自分の候補をこの中で第3希望まで考えてね、ではスタート。」

と言って5分間タイマーを付ける。わいわい近くのクラスメイト同士で

話し合いながら希望を決めている様子を見て、まずほっとした事は。

ちょっとこういうお祭り騒ぎは苦手なんだよなぁ、という性格の子たちが、

安心して希望について話しているところだった。

正直、僕自身はこういうお祭り騒ぎは大好きで、

子ども達も基本的にはノリノリでやっちゃう子が多いのだけど、

中には、目立ちたくない、あんまりそう言ったのはしたくない。

そういう性格の子だっている。これは大人だってそうだ。

全員でやりたい!そう提案してきた数人の子は、

普段から色々な面で輪の中心になれる子で、その役割を自分でも活き活きと

楽しむことができるようになっているのだが、

さて全員が総意としてそれを積極的にやりたい。

と思えるように引き上げるには、ひと工夫もふた工夫も必要になってくる。

それを引き受けるのがこちらの仕事だ。

思案して結果考えた結果、役割の中に仕掛けを施した。

まず、初めに任命された6人のやる気は削がないように、

6人は確定済みとして、その上でみんなに話したのが補欠のこと。

「しっかり練習を積んでいるから、万が一にもけがはないと思うけど、一年生のやり返しや、視界が狭くなって物にぶつかったりがあるのも考えられるからね。ただ、もし、補欠の二人に出番が来なかった場合は。」

うん、うん、と頷く子どもたち。

「二年生からも鬼の依頼を受け付けてきたよ。つまり鬼として行く学級は全部で8クラスになりました。なので6時間目に二年生に行く時に、補欠の二人に2クラスずつ、出番を分けてくれると嬉しい。どうかな?」

決済は6人の子達にゆだねる。友達思いな鬼のスタメンは、

「もちろんいいよ。」

と快諾。これによって鬼の補欠は、出番の確保がなされた。

で2人と言ったのも、ずっとやりたいと言ってきたのが2人だったから。

おそらくほとんどの子は、さすがに全身タイツまでは…と思っているだろう

そう見立てた二人だった。

とはいえ、どんな感じで他の希望者が出てくるかもわからないので、

一人だけ仕事を設けている。

「先生、鬼が来たぞー!があるならお知らせ役は要らんのじゃ?」

「うん、実はこれすごく大事なのよ。というのもね、1年生4クラスを45分で回るわけよ。そして6時間目は2年生の4クラスも同じように回るのね。そうなると1クラス平均何分?」

「え、いきなり問題?」

「いやいやささっと、誰かわかる?」

「11分・・・・10分くらいですかね。」

「うん、でもその時間だと移動などで、時間は足りなくなる。」

「そっか、となると・・・。」

勘のいい子は気づき始めた。

「楽しく盛り上げるけど、やはり時間を余計に取らせたり、鬼が40分以上全力で暴れるなんてのはもう体力的に無理だからね。そこでこのお知らせ係・タイムキーパーの3人がかなり重要になってくる。」

「中の鬼は暴れるのに集中しているし、子ども達もすごく盛り上がって音も聞こえにくくなる。だからこそ、お知らせ係とタイムキーパーが、きちんと分刻みで開始と終了を区切ってくれることが重要になるのよ。」

「となると、だいぶしっかり者がやってくれんなら。」

「俺は無理かもしれん、みんなに迷惑かけるかもしれん。」

気弱なつぶやきも聞こえてくる。だが、それがいい。

自分には何ができるか、何ができないかを判断できることが、

この子達はしっかりと熟慮してでき始めている。本当に素敵だ。

きちんと考えるための配役の説明は、沢山の質問に答える形で、

次の配役についても進んでいくのだった。


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