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やる気スイッチは子ども、自身でつけるもの(7)

北棟の3回は五年生の教室、学年集会に使っているランチルーム、

外国語ルーム、図工室という並びで、5年生以外がこの時期に、

この棟のこの階にくることはほとんどない。

そのため、朝休みの自主練だけでなく、中休みや昼休みも、

どれだけ子ども達が移動して踊りの練習をしても、

他学年に迷惑がかかることなく、存分に取り組むことが出来る。

始めは8人だった踊りの練習に熱中しているメンバーだったが、

その様子を遠巻きに見ていた他の子達も、

「私もやっていい?」

と、自分から入っていく子や、なかなか入れなかったけど、

友達に手を引っ張られて嬉しそうに踊り始める子なども出てきて、

一日ごとに人数も増えていっていた。

数日後には朝の自主練だけではなく、昼休みもやりたいです、とお願いしてきて、

ソーラン節のどのあたりにそこまでひきつける魅力があるのかなと思いながらも、

昼休みのチャイムを守ることを条件に、昼休みも練習教室の開放が許可された。

自分たちで、やろうやろうと、進んで練習教室に行く子達は、

給食を食べ終えるスピードもすごく早くなって、

休み時間も、少しでも沢山練習したいというやる気がもう体中から煙が立つように出ているかのようだった。

一方、そんな子達のやる気はほかの子達にも伝播する。

なかなか練習教室に入り切らない子達が、

「先生、向こうの教室で踊るのは、私上手くないから、恥ずかしいんだけど、教室で練習したらだめですか?」

そんなのもちろんいいに決まっている。

「いいよ、そんなこともあろうかと、DVDとCDは3組にもあるからね。」

そう言って教室でも動画を再生してあげると、

昼休みで机が全部後ろに下げられた教室の、前半分ほどのスペースで、

これまで踊っているのを見たことがなかった子達も、

楽しそうに踊り始める。

ソーラン節のやる気スイッチはまるで連動しているかのように、

練習に取り組む子ども達は増えていった。

まだ学年練習も始まっていないのに。こういう展開になるのか。

僕はただただ驚きをもってその経過を見守るだけだった。

4日ほどたつと、練習ルームで問題が起こる。

広い空き教室が開いていることで、練習をしないのにそこでわいわいと、

ふざける子どもが出てきたことだ。

「踊らないのに、○○くんとか△△くんたちが、教室で騒がしくしてきます。」

やる気スイッチが入っている子達には非常に迷惑になっているようだった。

各人のやる気スイッチが入るかどうかは本人次第でいい。

だが、やる気が出ている子が、その気持ちをくじかれることこそ、

あってはならない。直ちに出動し、その子達を外に出す。

駆け付けると、すでに船長が来ていて、ガツンと雷を落としていた。

「ここが何のために開放を許可されているのかを、考え直せ。」

全く持って同感だ。横で頷きながら僕もその子達の指導に立ち会う。

こうしたことの一つ一つをきちんと請け負って解決していくことが、

子ども達のやる気スイッチを守っていく大切な仕事だと感じた。




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