熱烈・熱中・中国
9月21日の“つぶやき”でもご紹介しましたが、
今回は今一番ビビッとキている映画『熱烈』について書こうと思います。
とはいってもこの映画は9月6日に日本公開されたばかりで、
まだまだ絶賛上映中!(がんばれ~)
出来るだけ、ストーリーに触れず、
ネタバレなしを目指して感想を書いてみたいと思います。
それでも映画でのキメ台詞などは書いちゃいますので、
今からでも観に行って感動を味わおう!
という方は読むのを避けた方が良いかもしれません。
一度は観てよ『熱烈』を
9月28日、TOHOシネマズ日比谷での5回目の鑑賞の後、
満を持してこのnoteを書き始め、
そして一昨日10月5日のTOHOシネマズ梅田での
鑑賞6回目の感動の余韻の残るうちに
記事を仕上げたいと思います。
すでに東京の劇場でも上映は1日1回のみで、
だんだんと小さいスクリーンに押しやられつつありますが、
この映画の良さがわかっているファンが今なお詰めかけており、
9月28日は106席のスクリーン13のチケットは完売。
一方関西ではすでに兵庫県の上映は終わり、大阪1館のみ。
10月5日のTOHO梅田では、観客の入りは半分強といったところでしたが、
152席のスクリーン8であれば、まずまずといえましょう。
東京・大阪のいずれにしても
ワン・イーボー(王一博)目当てなのか、やっぱり女子が多いですね。
もしくはアベック。
おじさん1人というのはなかなか見当たらない。
(“アベック”というといつもポコぞうに『死語つかうな!』
と言われるのですが、アベック(Avec)はフランス語で
With(~といっしょに)の意味。
おフランスの香り漂う言葉だから敢えて使うのである。)
しかしワン・イーボー扮するチェン・シュオ(陳爍)という青年は
男から見ても好感度の高い、とてもいい奴で、
しかも共演者のコメントでは普段のワン・イーボーも
チェン・シュオのような好青年であるというのだから、
中国男子7億人の頂点はさすが。
この映画を観たきっかけもワン・イーボー
といっても、もとからトトムがワン・イーボーのファンだった
というわけではありません。
娘のポコぞうです。
ポコぞうは、ゼニファーの実家に遊びに行った時には、
いつもおばあちゃんといっしょにAmazon Prime Videoで
ドラマを見ているのですが、微妙におばあちゃんの趣味も入り交じり、
ずいぶん前からハマっているのが中国ドラマ。
その中に『陳情令』という
ファンタジー時代劇ドラマ(なんだそれ?)があり、
これはトトムも一緒に見ていました。
陳情令で肖戦(シャオ・ジャン)扮する魏無羨(ウェイ・ウーシェン)と
双璧を成すもう一人の主人公、藍忘機(ラン・ワンジー)を
演じたのがワン・イーボーなのです。
魏無羨は自由奔放で自信家。
一方で藍忘機は、何より規則を重んじる名家の若君。
こんな2人が最初に出会った時、馬が合う筈もなく…
から物語が動き出すのです。
ちなみにトトムは魏無羨が死ぬ(⁉)までの前半で、
大勢におもねらず、義兄弟や途中から共闘した藍忘機を
敵に回してでも罪なき弱者を守る魏無羨が一番好きなところ。
義兄弟の江澄(ジャン・チョン)や藍忘機は体制側である権力者の
欺瞞に騙されてしまったのですが、
魏無羨は自分の心に従い正義を貫いたのですな。
一方でポコぞうは魏無羨が生き返った(⁉)後の後半で、
かつて魏無羨を信じることができなかったことを深く後悔し、
捨身術で莫玄羽(モー・シュエンユー)として甦った魏無羨を、
今度こそは何が有っても守ろうとする藍忘機がたまらないらしい。
特に犬が大の苦手な魏無羨(オバQかよ)を庇い、
犬の鳴き声が聞こえただけでサッと魏無羨の前に立つ藍忘機の姿に
『カワチー♡』と狂喜。
このドラマの原作にしてBL小説の『魔道祖師』の片鱗が見えると大興奮。(ドラマはBLではありません)
時は流れ、2024年7月25日。
木曜日、平日だというのに仕事の後、
やっぱりTOHOシネマズ日比谷に『デッドプールVSウルヴァリン』の
1日先行上映のレイトショーを見に行きました。
その時ロビーの電光スクリーンにて、
近日公開!ワンイーボー主演 ブレイキンに賭ける青春の物語『熱烈』
というのを見たわけです。
すかさずポコぞうにLINEで知らせたのだが、スタンプのみで反応は今一つ。
やはりブレイキン(ブレイクダンス)というところがお気に召さないのか?
こうなればまずはトトム一人で『熱烈』を鑑賞し、
いかほどのものか見定めねば。と誓う。
更に1ヶ月余が経過。
実は『熱烈』のことはコロッと忘れていたのですが、
9月2日に遅ればせながら『フォールガイ』でも観に行こうと
またまたTOHOシネマズ日比谷のサイトで予約しようとした際
9月6日公開『熱烈』が目に入った訳です。
でこちらは、公開直後の9月7日土曜日
TOHOシネマズ日比谷(相変わらず日比谷がホームグラウンド)
へ行ったわけである。
その直後のLINEでのポコぞうへのレポート。
『ワンイーボーの『熱烈』良かったです。是非みていただきたい。
ワンイーボー超絶イケメンですな。
劇中ポコぞうニヤリのビックリシーンもあるよ。』
そして9月15日109シネマズHAT神戸にて、家族揃って『熱烈』鑑賞。
ポコぞうの感想は!
『ワン・イーボーカッコいい。でも眉毛ちょっと太くない?』
そこかい!藍忘機と比べるとそうかもね。
その後はトトム1人で東京と神戸・大阪で
交互に鑑賞を繰り返しています。
さぁさぁ前置きはこのくらいにして
映画の世界に入って行きたいと思います。
中国映画との付き合い方
映画が始まりました!
いや、なかなか始まりません。
始まったんですけど、あの映画の最初に出てくる
製作会社・配給会社のロゴが
やはり中国映画でもまずはバーンと現われる。
映画のロゴといえば有名どころでは、
パッパカパ~の20世紀フォックスとか
ワーナーブラザースのWBマークとか
Paramountの山とかを思い浮かべるのですが、
これが出てこなければ、映画が始まらないといっても過言ではない。
でも最近ではメインの製作会社の後に、なんだか1つ、2つと
なんだかわからないロゴが続くようになったなぁと常々感じておりました。
しかしこの『熱烈』では、
シャララララ―。(音楽)、”儒意影視”
ほわわわわ~ん。(音楽)、”他城影業”
ピョコピョコ。(音楽)、”淘票票”
なんだか長いな…
このあとも”北京電影制片廠”、”横店影業”、
結構キョーレツなセンスのロゴもアリ。
いつまで続く⁉このロゴリレー
”万達電影”、”猫眼影業”、メモすることが出来たのはこのくらいですが
(そうです、5回目はメモ用紙持ち込みで
暗がりでペンを走らせながらの観賞)
数えるとなんと9つもの会社のロゴが次々と
”いかにも”な感じの音楽と共に流れる!いや流れ続ける!
大丈夫かよ?この映画!
でもやっとロゴが終わると、
ノリノリの音楽とともに本編開始ですので、
ここは中国映画の”味”とでも思って楽しみまシュオ。
っと、本編紹介の前に、映画『熱烈』のもう一つの楽しみ方
というか大きな仕掛けについて語りましょう。
そう、『熱烈』を2倍楽しもうと思えば、それなりの準備が必要!
ここまでの記事を読んで、すでに足がTOHO系映画館に向かっている方は
どうぞそのまま、無垢な心のままにまずは映画をご覧ください。
そして、『熱烈』鑑賞の機会をうかがっている方、
それならいっそ、万全の準備で鑑賞に臨むことをお勧めします。
なんと!『熱烈』劇中で、『宮廷の諍い女』の名シーンが2カット
そしてやはり『宮廷の諍い女』に関係するセリフが3つも出てくるのです。
前述の”ポコぞうニヤリのドッキリシーン”というのが
この『宮廷の諍い女』へのリスペクト(?)なんですよ。
おお!あの名作『宮廷の諍い女』か、とピンと来た方は
既に準備は出来ていると言えましょう。
『宮廷の諍い女』ってなに? だからどうしたの?と
”??”が頭の中で渦巻く方。
Amazon Prime Videoで『陳情令』より先に
『宮廷の諍い女』をぜひ見てください。
これもポコぞうのお気に入りの中国ドラマ。
いっつも、おばあちゃんと見ているのですが、
2諍い女”というだけに中国後宮での女どうしの争いが激しすぎる。
トトムは正直じっくりと見たことは無かった。
しかし『熱烈』で『宮廷の諍い女』が劇中劇として出ている事を知り
『宮廷の諍い女』を見た後、改めて『熱烈』を見たのですが、
良い!、実に良い!
(ネタバレになるのでこれ以上はやめておきましょう)
ただこの『宮廷の諍い女』。1話40分の話が、なんと76話もあるのです。
さすがに付け焼刃で第1話から全部見るのはとても無理。
『熱烈』で登場するのは第43話と第45話。
最低限の線として、その2話だけ見ても良いのですが、
流れを掴むためにも第39話~第45話を見通しておくのが
ベストと言えましょう。
注目の登場人物は嬛嬛(ファンファン)こと、
甄嬛(日本語読みで『しんけい』)さん。
それから前期の敵キャラ華妃(ファーフェイ)と
後期敵キャラ皇后(名前はまだ無い。いやあるけど読めない)ですね。
さって、準備運動も終わったし、軽く本編紹介いってみようかな?
しかしネタバレせずにというのはなかなか難しな。
まずは中国映画ならではの中国らしさが感じられるシーン。
(当たり前の事ですが、カンフー映画には無い、今の中国がある)
私が始めて訪れた中国の都市は、まさに『熱烈』の舞台
杭州(浙江省)です。
2003年頃だったかな?
まだ街で見かける中国人女性はみんなストレートの黒髪で、
人民服を着ている人もいましたね。
『熱烈』に出てくる茶髪、ヒップホップ系のお姉さんなど
1人も見かけませんでした。
それから広州(広東省)へ赴任したのが2009年~2012年
杭州が中国の指折りの観光都市であるならば、
広州は中国南部一の大都市。
この4年間の間にもどんどんビルが建ち、
街が目覚ましい発展を遂げていったのが印象的でした。
『熱烈』で出てくる杭州もすでに目覚ましい発展を遂げており
ブレイキンの舞台となる巨大アリーナや周囲の高層ビル群、
ネオンの洪水が印象的。
しかしチェン・シュオの実家である飯店(ファンディェン:漢字が表す如くレストランである。一方で酒店はBarとかではなくホテルのこと)が
ある下町の一角は、まさに初めて訪れた頃の杭州の風情が残っており
なかなか懐かしい。
これだけで涙がジワリ。
あと杭州といえば何と言っても西湖。世界遺産です。
チェン・シュオの所属するダンスチームがトレーニングで
西湖に掛かる橋を駆け抜けるシーンがありました。
西湖の思い出と言えば、最初の杭州訪問でも行きましたが、
広州赴任中も家族で杭州を訪れた観光地。
記憶に残っているのはなんと言っても西湖の遊覧船の中で
ポコぞうがおむつの中にうんこをして、
船の上でおむつを取り替えた事です。
西湖(さいこ)といえばうんこ。
杭州の街が懐かしいのと同時に、イベントのセンスなどは
広州をあとにした2012年から全く変わっていない。
劇中では『五歳おめでとう(五岁生快乐)』のイベントに
チェン・シュオがパチモンのウルトラマンに扮して
怪獣ショーを演じていたのですが、
これこれ、『フフフ……この胡散臭さ、この肌触りこそ中国よ!』
と思わずランバラル風につぶやいてしまいます。
イベントといえば、パーティーの会場で
チェン・シュオのお母さんが歌を歌うシーンがあります。
劇中のチェン・シュオと一緒に、
我々映画の観客も涙が零れ落ちる名場面なんですけど、
ここではパーティー自体に注目
室内は風船を中心にした派手な飾りがあり
小さい子供が走り回っていますが、
大人もいてお酒など飲んでいます。
スーツ姿の男の人と真っ赤なチャイナドレスの女の人が
テーブルを回ってそんな大人たちにご挨拶。
壁には”喜”の装飾文字
そうです、これはきっと結婚式です。
私も中国赴任時代に一度だけ、中国人社員の結婚式に
招待されたことがあるのですが、確かにこんな感じでした。
(歌を歌う人はいませんでしたが)
ご祝儀はたしか200元(当時レートで約2700円)。
上司の立場もあるので、少し奮発しているのですが
物価の差も考えると日本では10000円くらいの価値かな?
そして引き出物の役割なのかどうかわかりませんが、
無包装のハンカチ1枚と、何故かたばこ2本がみんなに配られました。
特に式次第もスピーチもなくただの食事会のような感じでしたが
確かに新郎新婦はテーブルに回ってきましたね。
ここは日本と一緒。
それからチェン・シュオが働いている高級車を洗車する店。
この店の社長なんですが、あれ?知り合いが映画に出たのかな?
と思うほど”見た事あるある”顔なんです。
小さな会社の社長を老板(ラオバン)、
大会社の社長を総経理(そうけいり:お金の計算をする係ではありません)と言ったりするのですが、
この洗車店の”老板”はおそらく見た目より少し若くて30歳前半くらいかな。
たぶん自分でこの会社を立ち上げて軌道に乗せたんでしょうね。
社員は康(カン)さんとアルバイトのチェン・シュオだけのようですが、
ランボルギーニも扱い、常連客もいるようでなかなかの商売上手っぽい。
どんな職種かによらず、
こういう小さい会社を自分でうまく切り盛りする若い”老板”は
だいたいこんな顔しているんです。
というのは錯覚かもしれませんが、中国に赴任している間
2~3人くらいは”この顔”を見たような気がします。
社長!元気ですか~?
いやぁ、いろいろ懐かしいものが多いな。
と思いながら見ていると、なんだか画面がぼやけてきました。
ん?疲れ目⁉と思ったら、なんとチェン・シュオや
チェン・シュオのコーチ、ディン・レイ(丁雷)の部屋の内装に
やたらとぼかしが入っているではないか!
だいたい見所を心得てきた3回目鑑賞くらいから
人物ではなく背景に目を凝らす余裕が出てきました。
どれどれ!(眼力集中)
どうやらディン・レイの部屋(練習場の管理者部屋)の
棚に置かれたモノにぼかしが入っていたり、
チェン・シュオの部屋は壁一面がぼっけぼけ!
これは18禁映画ではありませんよ。
4回目鑑賞
チェン・シュオやディン・レイなどの中心人物を置き去りに
棚や壁だけに注目!
うん!見えた。心の眼
ディン・レイの部屋に飾ってあるのは
おそらくドラゴンボールの青い髪の超サイヤ人孫悟空や
スーパーマリオのマリオのフィギュア
のパチモン。
そしてチェン・シュオの部屋の壁を飾るのは
アキラのバイクに乗った金田、それと多分スラムダンクのポスター
の海賊版⁉
きっと日本公開に際して配給会社が
慌ててボカシを入れたのではないだろうか?
最近は中国も著作権が厳しくなっていると聞いていたのだが
せめて映画に映るものなら、ホンモノのフィギュアやポスターを
使ったらよいのにね!
それとも、著作権ありのホンモノを使っていても
映画に他の作品を映してはいけないというルールがあるのだろうか?
あぁ、DVDをお金を出して買っても、営業目的で上映してはならない
というのと同じなのかも。
いずれにしても、基本世界共通ルールだよね~
なのに画面の大半にぼかしを入れないといけないような事態を招くとは
”キャンドルライトの中の二人を目を細めてる”ような観方をするのが
中国映画との付き合い方なのである。
ワタシノシラナイ中国
コーチのディン・レイさん。
とある目的をもって昔のダンス仲間を飲み会に誘うのであるが
そこで見せるのが、”男気溢れるビールの飲み方”。
ビールの大瓶をラッパ飲みして、ゴクゴク一気!
そして案の定大瓶の一気飲みは無理がある、
途中で瓶をくわえたままブーっとビールを吹き出すのである。
う~ん、こんな飲み方は中国でも見た事はなかった。
中国は北方より南方のほうが飲み方がマイルドというが
最南部の広州でしないだけか?
浙江省もそこまで北ではないだろうが。
この飲み方、前述のコミカルなシーンだけではなく
ディン・レイさん後半のシリアスな見せ場のシーンでも
やっているので、
中国人としてはこの飲み方にはグッとくるものがあるのでしょうか?
それから中国の実生活で中国人からあまり聞くことがないのが、
チェン・シュオの口癖(?)
”対不起”(トイブチー)で”すみません”の意味
そりゃー、中国でも謝る言葉はあるだろうと思われるでしょうが、
一般的によく使うのは、”不好意思”(ブーハオイース)。
劇中でもディン・レイが謝一座の芸人の邪魔してしまった時に
”不好意思”と笑いながら、軽い調子で誤っていました。
自分の責任というよりも、なんか運が悪かったね。くらいの感じで
相手に同情の意志を表す謝り方です。
そうです、
迂闊に自分に責任があることを認めるような謝り方をしないのは
中国だけでなく、欧米でも同じかと思いますが、
日常生活は””不好意思”で溢れており、
”対不起”を使うのは中国語を勉強した日本人だけかと思っていました。
チェン・シュオは自分に全く非が無い時でも、
『対不起』を使っており、
ディン・レイに『何に対して”対不起”なんだ?』
と半ばあきれられていました。
生真面目で、誠実なチェン・シュオの性格を表すための
演出なのかもしれませんが、
それだけに実際にはめったにない事なのでしょう。
なお”ゴメンなさい”というお詫びの中で最上級の言葉は
抱歉(バオチェン)で、目上の人に心からお詫びすべき深刻な事態に
使うものらしいですが、実生活の中で聞いたことはありません。
ワタシノシラナイ中国番外編
ついでなので、『熱烈』の姉妹編(?)『宮廷の諍い女』で
出てくる、日本でも、現代中国でも馴染みのないシーンを一つ二つ。
激突死
突然、且つ不謹慎で申し訳ございませんがあくまでドラマの話です。
ポピュラーな自〇の方法ってなんだと思いますか?
私にはリアルな経験を通して、全く思いつく節はないのですが、
おそらくドラマの中でもっともポピュラーなのは”首吊り”かと思います。
これは日本だけでなく、例えば『ショーシャンクの空に』などの
アメリカ映画でも描写されています。
おそらく”飛び降り”、”飛び込み”等と違って、部屋の中で出来ますし、
さらに鴨居、紐、イス以外の特別な道具が要らないというのが
ポピュラーとなり得た原因ではないかと分析できます。
ところが中国ドラマでよく見るのは『激突死』⁉
特に後宮モノでよくある奴です。
妃や皇后が自分の進退が極まり、悲嘆にくれる場面で
突然、柱や壁に向かって突進し、頭を打ち付けて死ぬのである。
最初はあまりに意表を突いた行動にビックリ!
確かに、全く道具を使うことなく咄嗟にできる方法であるが
確実に死ぬほどの速度で壁に突進できるものであろうか?
少なくとも木の柱や土壁の住宅にて発展してきた日本の文化では
致死性が低く、多くの中国文化を受け入れた日本でも
こればかりは導入されなかったのであろう。
簀巻きでコンバンワ
後宮モノなので、妃たちが皇帝に選ばれ、
夜に皇帝の寝所へ行くシーンがないわけではなく
すなわち、あるわけである。
妃がいかにも妖艶な姿で現れるのかと思ったら、さに非ず!
宦官達がなにやら大きな布団ロールを担いで
えっほ、えっほとやってきて、
そのロールを寝台で寝ている皇帝の横にポイっと降ろすのですが、
その簀巻きのようなロールをほどくと中から妃が
ばぁーと現われるという次第です。
これは日本は悪代官がやる、着物姿の女中の帯を引っ張って
あ~れ~、くるくる~っとやる悪行、あれと源流が同じなのだろうか?
ここに来てやっと『熱烈』の感想
ここまで8千文字。
おそらくネタバレ率は0%で、これだけ書けば
自分としてはもう満足なレベルだったりもするのですが
ネタバレ率0%を言い換えると
『熱烈』の内容に関する紹介は全然していない、
という言い方も出来てしまうわけです。
最後の章として、ここからは勇気を持って
映画の内容に斬り込んでいきます。
キャラクター
まずは簡単に登場人物の紹介!
感嘆符(E-Mark!)
杭州のブレイキン・トップチーム
メンバーは
チリ リーダー カッコいい系女子
ルフィ 最年長、手足は伸びません。
ドラゴン 気が短い
悟空 ドレッドヘア
ノッポ ドレッド弁髪
スナイパー 宙返りが得意
スネイク&フォレスト 今一つ特徴がない
パンダ 食いしん坊
ビャオビャオ 才能がないのは自他ともに認めるところ
チェン・シュオ
かつて感嘆符のオーディションで不合格になったが、
ひとりでひたむきにダンスを続けている。
ディン・レイ(丁雷)
感嘆符のオーナー兼コーチ
ネックスピンの名手、足の骨折で現役を引退
別れた奥さんがいる。
ケビン(凱文)
地元大企業の御曹司
チェン・シュオが受けた2019年のオーディションで合格し、
現在は感嘆符のエース兼スポンサー。
自分勝手な行動が多く、普段の練習には参加しないため
チームメンバーとは折り合いが悪い。
チェン・シュオの父
謝一座で公演していた。詳細は不明だが、
ブレイキンの選手でディン・レイに挑戦して負けたこともある。
既に病気で亡くなっている。
チェン・シュオの母
夫と同じ一座で歌を歌っていたが、
夫を亡くして以降はレストランを営みつつ、
息子(シュオ)が夢を追うのを応援している。
リー・ミンジュ(李明珠)
新聞記者見習い。チェン・シュオとの出会いは地下鉄の中
慎ましやかにチェン・シュオを応援する。
ディン・レイの元妻
杭州の高級そうなホテルのマネージャー。
ディン・レイと別れた経緯は語られないが、元夫とは交流を続けている。
好きなシーン・カッコイイシーン
以上のキャラクターの説明はあくまで設定の説明
この映画の良さはなんと言っても、
キャラクターどうしの関わり方、会話の中に
現われていると思うのです。
ストーリーの背骨となる
チェン・シュオとコーチ、ディン・レイとの会話から
二人の関係性の変化が見えてきます。
ここをネタバレさせずに書けるかが勝負所!
2019年に感嘆符のオーディションを受けたものの
不合格に終わったチェン・シュオは、
それでも感嘆符への憧れを持ち続けていた。
感嘆符は2022年杭州地区大会で優勝し、全国大会進出が決定。
そんな折、チェン・シュオは
感嘆符を率いるディン・レイからチームに誘われる。
ただし条件は”見習い”として、全国大会に向けた練習において
ケビンの代役を務めることであった。
その真面目さやダンスに賭ける情熱をチームのメンバーから
認められるものの、ケビンの動向一つに左右されるという
チームにおけるチェン・シュオの立場は非常に不確かな物なのである。
以下の会話により
少しいいかげんで、『チームワークを大切にしろ』という言葉に
説得力が感じられなかったディン・レイが、
ダンスに情熱を傾け、また他人に対していつも誠実な
チェン・シュオと関わっていくうちに
ディン・レイのチェン・シュオへの接し方だけでなく、
ディン・レイ自身の生き方まで変わっていくのがわかります。
採用の面談にて
『僕がちゃんと頑張ったらチームに残れますか?』
『それは、お前次第だ。』
1人休まず練習を続けるチェン・シュオを見て
『少し休むように言ったら』とチームメンバーは
ディン・レイに言うのですが、
ディン・レイの答えは
『アルバイトとプロの違いを分からせないとな』
少しだけ、彼のダンサーとしての矜持が垣間見えるセリフです。
また、動画の見様見真似でケビンの得意技
ワンハンドエルボーエアーを練習するチェン・シュオを見つけ
最初は『怪我をされる、代役としての全体練習ができなくなるので
ケビンのソロパートは練習しなくても良い』というのですが
チェン・シュオの熱心さに押し切られるようにアドバイスをします。
『やってみろ。』
チェン・シュオの動きを一瞥しただけで
『手を上げろ、肘の力を抜け』
『上半身を安定させろ、土台がしっかりしないと崩れる。』
『頭を下げれば、体が伸びる。リズムも大切だ。』
的を得たアドバイスなのかどうか技術的なことが全く分からない私でも
その自信にあふれたディン・レイの物腰に
実は彼がただモノではない事に気づくのです。
初めてディン・レイからアドバイスしてもらったのが
相当嬉しかった様子のチェン・シュオは
『コーチまた質問してもいいですか?』と尋ねますが
『これだけ言えばお前はできる。
それに俺はお前のコーチじゃない。』
と”あくまで気まぐれで見習いにアドバイスしたに過ぎないのだ”
ということを示します。
チームメンバーのあり方に対する主張の違いで
ケビンが感嘆符から去り、代役を務める相手そのものが
居なくなったことで、チェン・シュオの役目も無くなったと
ディン・レイから告げられると、
チェン・シュオはかなり上達したワンハンドエルボーエアを見せ
次のように言うのです。
『21日間で進歩したと思います。
大会に出れないなら仲間のサポートをします。
料理、運転、犬の散歩
チームに残れるなら何でも。』
今度はチェン・シュオの情熱のみならず、
実力の伸び方も認めることになるディン・レイですが、
彼の言った”何でも”の一つして、
ケビンに代わるスポンサー獲得のため
大喜家電の新製品(ゴミ箱)に扮して踊るという
色物イベントに出ることを頼みます。
色物イベントのゴミ箱の被り物もものともせず
無事(?)にやり遂げったチェン・シュオですが
チームへの献身を認められて出場することになった、
感嘆符のチーム名を冠する正真正銘のイベントでは
大いに緊張します。
それこそ地面に足が貼り付くほどに!
そんなチェン・シュオにディン・レイがしたアドバイスは、
『ステージを信じろ。』
『ステージを信じれば、ステージもお前を助けてくれる』
『雑念が消えれば、すべてうまくいく』
『俺とステージとは古くからの付き合いだからな』
というものでした。
その前に話した”おむつ”や怪しげな”大地のエネルギー”の話はさておき、
このアドバイスは、
”うまくやれるのか自信が持てずに不安な時でも、
シンプルに考えて、自分がこれまでやってきたことを信じることが大切だ。”
ということなのだと思います。
これがチェン・シュオのプロとしてのスタートであり、
また進むべき道に迷いを生じたディン・レイの帰るべき原点になるのです。
全国大会で勝つために必要な戦力である自分がチームに戻る条件として
ケビンは感嘆符のメンバーの中でチェン・シュオのみを
解雇するよう要求してきます。
この後のディン・レイの決意をチェン・シュオに伝えるシーンは
この映画の山場の一つです。
ディン・レイはチェン・シュオを食事に誘い
『そういえばケビンが戻って来る』
と努めて軽く切り出します。
その一言ですべてを察するチェン・シュオ。
コーチとして責任を感じていると
チェン・シュオが抱えている借金分の5万元の札束を渡して
ディン・レイが続けて話します。
『大会にはおそらく出られない
ケビンはお前に嫉妬し、排除しようとしている。
目障りだと。
おそらくクビだ。』
『ケビンに謝ります。
大会に出られなくても代役を続けます
本気です。』
チェン・シュオが言えるのはそれだけです。
『お前馬鹿だな。
まだわからないのか?』
『お前をクビにして捨てるのはケビンじゃない。俺だ、
ディン・レイだ。
俺がお前を必要としていない。』
『今回の全国大会、世界大会が俺の人生において最大のチャンスなんだ
死に物狂いでくらいつく
それにはケビンが必要だ。
ここで結果が残せなければ、おれのこれまでの生き方に何の意味がある。
それが現実だ。』
『この金をもってどこかでダンスを続けろ
そしてケビンを倒せ。
感嘆符を、俺を倒せ!』
途中から言っていることが変わりますよね。
チェンシュオの”本気”は本気であるとわかっているからこそ
ディン・レイも本気で自分の心を伝えるようにしたです。
勿論ディン・レイはチェン・シュオを高く評価しており
チェン・シュオの給料は自分のポケットマネーから出しても構わない
とまで言うのですが、
それでも自分とチームを成功へ導くキーマンとして
チェン・シュオではなくケビンを選ばざるを得ないのです。
その苦い決断は、ケビンから強いられたものであっても
誰でもない自分自身が決断したものであるということを
一切のごまかしなくチェン・シュオに伝えるディン・レイに
強く心を打たれます。
チェン・シュオ V.S ケビン
実はこの二人の間には直接的な対峙という構図はありません。
なぜなら、映画で最後に描かれる全国大会までは
二人が顔を合わすことは無いからです。
ケビンの要求はあくまでディン・レイに対してなされ、
それは”チェン・シュオではなく自分をチームの中心として選ぶこと”
でした。
一方チェン・シュオは自分を目の敵にするケビンに対しても
恨みに思うことなく、むしろケビンの技に尊敬の念を抱いています。
そんな二人は全国大会決勝の最終第6回戦で初めて言葉を交わします。
ケビンがチェン・シュオにソロバトルを挑むのです。
『チェン・シュオ! 出てこい』
これに対するチェン・シュオの言葉は
『音楽を!』
音楽を流せ、すなわち”受けて立つ”ということですが、
相手を煽ることなく、かつ堂々とした答え。
カッコいいですね。
私もダンスバトルを挑まれた時(笑)は、
『受けて立つ!』でも『お前など敵ではない!』でもなく、
『音楽を!』
これ使わせていただきます。
チェン・シュオと母親
『女は弱し、されど母は強し』は文豪ヴィクトル・ユゴーの言葉ですが、
映画という架空の世界にあっても、チェン・シュオのお母さんは
おそらくどこにでもいるような、普通の母親です。
それでも言葉や行動の端々に息子の夢を応援する母の姿が垣間見え、
それが何より良いのです。
大喜家電のゴミ箱イベントの後、
ディン・レイはチェン・シュオを食事(雲吞麺ですけど)を誘い、
その後、チェン・シュオの家まで車で送っていきますが、
家の前でアインシュタインの蝋人形を片付けている
チェンシュオの母親に会います。
母親はチェン・シュオに『どなた?』と尋ねますが
チェン・シュオは答えを躊躇します。
なぜならば、未だ見習いのシュオにとって、
普段は肩書としてディンコーチと呼んでいても
正式にはディン・レイはコーチではないからです。
その時ディン・レイの方から『彼のコーチです』と答えてくれるのですが、
これはディン・レイの優しさであると同時に
シュオを感嘆符の正式メンバーにすることが
既に心の中で決まっていたに違いないのです。
チェン・シュオの母親は、息子がコーチから目を掛けてもらっている様子に
『コーチに送っていただくなんて』と素直に喜びます。
『ついでに送ってもらっただけよ』というチェン・シュオですが
彼の顔にも初めて”コーチだ”と言ってもらえた喜びは隠し切れていません。
チェン・シュオの母親はきっとそういう息子の様子から何かを感じ取り
一層うれしかったのでしょう。
普通の母親が、普通のことで喜ぶこのシーン。
特別ではないからこそ、みんなが共感できるのではないでしょうか?
少しだけ特別な事が、この後起こります。
結婚式の余興としてチェン・シュオの母親が歌を歌うシーンです。
チェン・シュオの母は、夫(チェン・シュオの父)を病気で亡くして以来
謝一座で歌を歌っていなかったのです。
チェン・シュオは彼の父と親交のあった謝の一座でアルバイトとして
ヘッドスピンを公演の出し物にしているのですが、
それは父の治療費のためにした借金を返済するために、
お金を稼ぐという目的もありますがそれだけではありません。
一座のメンバーがいろいろな事情で減って行き、
チェン・シュオまで抜けてしまうと出し物が無くなる。
と困っている謝を助けるため、
感嘆符に見習いとして所属し、ハードな練習をこなす間にも
時間を縫って公演に参加しているのです。
謝は『以前のようにチェン・シュオの母にも歌ってもらえればいいのに』
とチェン・シュオに持ち掛けますが
『歌うと父を思い出すので無理です』と言い、
謝も『そうだな』と同意します。
そんなチェン・シュオの母の気持ちの変化はなぜ起きたのか?
チェン・シュオが感嘆符の正式メンバーとなり、
イベントにも出れることになったことで、
チェン・シュオが練習に専念できるよう、
チェン・シュオの替わりに自分の歌で謝一座の公演を助けることを
決意したのです。
歌う歌は、
♪ 豪華な家もきれいな服もないけれど
世の中そんなにひどくはない。
いっしょに旅に出よう。♫
という歌詞
”乾杯”のように結婚する二人へのはなむけとして贈る
中国では定番の歌なのかもしれません。
しかし、チェン・シュオの母は
これまで家の飯店の手伝いや借金返済のためのアルバイト
ひきこもり蝋人形作家の叔父の世話などで苦労を掛けてきた息子が
今まさに感嘆符のメンバーとして夢を叶える一歩を踏み出したことを
祝福する応援歌として歌っているのでしょう。
同時にこの歌には、夫を亡くして以来そこで立ち止まっていた母親自身が
再び歩み出すという気持ちも込められているように感じられてなりません。
これは美しい顔立ちではあるけれど、
普段はそれ以上に生活の苦労を感じさせる様子の母親が、
公演のための化粧をしたことで、別人のように見えるこの演出にも
込められているような気がします。
チェン・シュオとミンジュ
リ・ミンジュ(李明珠)はチェン・シュオとは
友達以上、恋人未満(古!)というところですが
二人のやり取りがとても初々しい!
二人の初めての出会いは地下鉄の中。
他の乗客がいなくなった地下鉄の車内で、チェン・シュオが
ワンハンドエルボーエアの練習をしている所に
駅からミンジュが乗り込むのです。
うわ、何この人、電車で何してるの?と驚くと同時に
ちょっとイケメン♡という表情でチラリと見るだけの出会いです。
初めて言葉を交わすのは大喜家電のゴミ箱イベント。
このゴミ箱イベントに触れるのはこれで3度目。
映画の中でこのゴミ箱イベントはダンスの内容の重要性以上に、
人間関係の交錯に関わっていく重要な位置づけとなっています。
緑色のゴミ箱の被り物をかぶっているチェン・シュオとの間で
『私達が合うときっていつも変ね。』
『そうでもない、もっと変なイベントもやる』
『上司に感嘆符を取材しろって言われて』
『記者なんだ?』
『見習いなの。』
『僕も同じだ、成果を出せば採用してもらえる。』
『いっしょにがんばろうね。』
という会話がなされます。
ね、今時の映画には珍しいベタな出会いですが、
逆になかなか新鮮です。
さらにベタな描写がありますが、これはなかなかに工夫されている。
ミンジュが『頭に何かついてる。』
とチェン・シュオに手を延ばす。
じっとして”何か”を取ってもらうチェン・シュオ。
二人の距離を縮める定番イベントですが、”何か”って
そんなにいつも、頭に付いているものだろうか?
だいたいは何もついていないのに女の子側の策略として
やることが多いのも事実。
ゴクリ。固唾を飲んで見守る。
『ありがとう。』
『緑の毛だ』
(ああ、ゴミ箱の被り物のやつね。みんなが納得)
なぜかそれを受け取り、ポイっとするチェンシュオ
いや~、微笑ましいですな。
良い映画です。
しかしこの二人の交流が、最後にチェン・シュオを
全国大会という大きな舞台に再び引き上げるための
細い糸になるのだから、演出の妙味です。
ディン・レイと元妻
実は5回目の鑑賞にして初めてオフィシャルパンフレットを買ったのですが
パンフレットにキャスティングの紹介がなく、
このディン・レイの別れた奥さんの名前も演じた俳優も不明。
でも実は私の一番好きなキャラクターなんで最後に持ってきました。
彼女はなかなかのツンデレ!
(あんまり元妻と繰り返すのもなんですから
ここでは”彼女”と呼ぶようにしましょう)
杭州の高級なホテル
厳しそうな容貌の女性と歩くディン・レイ
従業員の集まりで『声が小さい!』と一括して通りすぎる。
なんだかトップガンマーヴェリックの
フェニックス登場のシーンのようです。
ディン・レイがここに来たのは、
感嘆符存続に必要な資金の投資を募る目的での
昔の仲間との飲み会の会場を
彼女に頼んで借りたから。
おそらくディン・レイは友達には
”自分の妻の勤めているホテルで飲もうぜ”
と伝えているのでしょう。
彼女は『別れた事をいつまで友達に黙っているつもり。』
と追及しますが
『生きているうちはまだ復縁の可能性がある。』
となかなかディン・レイも悪びれません。
結局、ディン・レイは
みんな自分自身の生活で金に苦労していることがわかり
投資の話は持ち出せませんでしたが、
『久しぶりに集まりたかっただけだ。』
と音楽にあわせて昔のダンス仲間と飲んで踊っての
本当の飲み会に変わります。
楽し気に踊っているディン・レイを見て、
部下を従えて厳しい表情で部屋に入って来た彼女は?
部下を下がらせた後、思わずにっこり笑顔になるのです。
もう、元旦那がダンスをしているところを見るのが好きで仕方ない。
という彼女は、ツンデレどころは実はデレツン。
いやデレデレツンという所でしょうか?
飲み会の後、友達には
『支払いは俺が済ませて置いた。』
と見栄を張りたいディン・レイですが
かなり高額だったのか、実際には支払いは彼女がしてくれたのでした。
『俺が払うっていったろ』
『友達におごっただけよ。』
『俺を見下してるな♡
君の顔を輝くトロフィーに映してやるからな!』
とデレデレシーンは続くのです。
ディン・レイと元妻に幸多かれ。
ネットで探しても、この元妻、全然映像がありません。
みなさんも是非このシーンと”彼女”を見に来てください。
最後に
各シーンを通して、各キャラクターの内面を考えてみます。
チェン・シュオ
ダンスが好きで、ブレイキンの勝負でも勝ちたいというのには
間違いありませんが、
なにより自分の父が挑戦して敗れた、あこがれのディン・レイ率いる
感嘆符のメンバーになりたかったのです。
だからどんなに辛酸を嘗めても、あきらめずに
ひたむきに頑張っていくのです。
ケビン
じつはケビンも彼なりのやり方でディン・レイをリスペクトしています。
しかし、感嘆符というチームやチームメイトとの協調は重視せず、
むしろチームメイトが自分のレベルにはふさわしくないと
不満を募らせています。
彼が目指すのは自ら選んだ最強のメンバーで最強のチームを作り
他のチームを凌駕することなのです。
しかし、ディン・レイが自分ではなく、チェン・シュオに目を掛ける
のが一番許せないという子供っぽい一面もあるのです。
ディン・レイ
感嘆符の経営を通じて
『ダンスは仕事だ。ダンサーをタダでは踊らせない』という
信念の持ち主。
仕事であるかぎり、具体的な成果を出す必要に迫られ
非情な決断もしなければなりません。
しかし最後には自分がなぜダンスをするのか。ということを思い出し、
その気持ちに素直になって自分自身の生き方を変えていきます。
それぞれのキャラクターにはぞれぞれの思惑があるのですが
この映画を観た後に残る感動や爽快感は、
登場人物達がみんな、その時々で自分の心を欺くことなく、
相手や物事にまっすぐに向き合っている。
という所から来ているのではないかと思うのです。