転職により企業を去る 去られた企業は目覚めるか、変化なしか
企業は従業員に働く環境を整え、従業員が気持ちよく働ける環境を作る。これが従業員に対する企業の役目ですが、昨今のサラリーマン幹部(雇われ幹部)にはこの点が消えてしまい、全く見えていない様子が伺えます。サラリーマン幹部には組織を大切にする気持ちが薄いのです。
このような企業幹部には、従業員は固定費にしか見えておらず、気持ちよく働ける環境など、眼中にない様子が散見されます。
従業員が気持ちよく働くことを考えていれば、基本的にガバナンス(企業統治)問題は、大きな問題には発展しないと思います。この視点から申せば、昨今のフジテレビ問題も、「従業員が気持ちよく働く環境」について、企業側がどのように考えていたのかが問われているのかもしれません。
フジテレビの場合、問題となる事象を目の前にした従業員が次々と転職していたら、フジテレビ問題はここまでの大問題に発展しない企業へ、早めに転身できていたのかもしれません。
能力のある従業員や看板従業員が泣き寝入りすることで、その企業を腐らしてしまうことを、私たちは認識すべきだと思われます。
組織への愛があればこそ、物言う従業員となり、それでも変化がなければ転職で意思を伝えていく。これが私たちの姿だと思います。
今回は、能力のある人材は、企業側の独りよがりな思考とアクション、旧来から続く従業員の人権無視的な悪の慣習に対し、転職という手段で、会社側の姿勢を正していく。この点に焦点を当ててみたいと思います。
能力のある人材が泣き寝入りしてはいけません。この点が結論になります。
1. キーマンの転職(流出)
サラリーマン幹部が組織を大切にせず、会長の御意思を尊重するような企業では、従業員の流出が始まります。幹部は固定費削減効果が出てきたと喜ぶのですが、実際は、優秀な社員が早期に転職いていく現実があります。私の前々職では、7月末に当時の仲間が退職願を提出しましたが、この現象も同じです。結果的に部門の力は急激に落ち、企業全体への影響が出始めています。
創業一族が企業幹部をけん引している時は、従業員のレベルアップに真剣です。その結果、企業も伸びていきます。しかし、創業者が企業を牽引できるのは約30年前後が限界です。その次は2代目。ここで創業者のマネジメントの良いところを見て育っていれば、この企業はこの先10年ほどは大丈夫ですが、経理上がりの人を見ないマネジメントが行われれば、たちまち傾いてしまします。
今の私の職場も人を全く見ない経理上がり幹部によって、組織体がガタガタになり始めています。さらに、この人は最終的に責任は取りません。これが経理畑だけの経験で出てきた人の恐ろしい点です。
あの時、「○〇と述べましたよね!」。「※※に関して予測を出してほしいと言われたから出したまでで、××とは申していません」など、逃げ口上の連続。これが厄介な点です。
私の職場の経理畑の幹部人材は、物を売る、物を作る、物を開発する、顧客サービスを提供するといった企業体の本質に関わらずに生きていますので、着眼点が的外れになりやすい傾向があります。
その結果、優秀な社員が流出していくのです。
もちろん、物を売る、物を作る、物を開発する、顧客サービスを提供するといった経験が豊富な経理畑出身の方は、それは素晴らしい方々で、企業をあっという間に素晴らしい企業へ改革していきます。
逆に、物を売る、物を作る、物を開発する、顧客サービスを提供するといった経験のみで、経理関連の知識が皆無の人は、残念でミスリードが絶えない企業体へ落ちていくでしょう。
また、物を売る経験を積んだ幹部は全ての事柄を「顧客満足、お客様第一」に繋げて組織を統括していく。よく見てみると、本当の顧客満足ではなく、「幹部のあなたの満足を満たすための指示ですよ!」と周りが伝えなければ、今回のフジテレビのような組織体になってしまう。ダイハツも似た組織体で、会長による院政が引かれていたと推測する。
同じように、家電メーカーが日本から消えた事象も、同様に「本当の顧客満足とは?」に疑問を呈すことができず、他社品との差別化の一点のみの競争意識により、家電事業部が消えてしまった。
私達従業員は、常に平衡感覚を大切にしながら、幹部に提案し、企画を出し続けることが必要です。それでも、組織があらぬ方向へ転がりだしたら、転職を実行していく。これが従業員の真の姿と思っています。
この時、あなたがキーマンになっていると、会社も目覚めることができるのです。これこそが、組織への愛ではないでしょうか。
2. キーマンの転職による企業の目覚め
「キーマンの転職が発覚」
さてここで、企業体はどのように対応するのが良いのでしょうか。「優秀な社員が転職する・・・すなわち、企業体が壊死し始めている」と考え、早急に手を打つ必要があるのです。
なぜ、キーマンが転職しようと考えたのか、そして転職したのか。組織体のどこに問題があったのか。この先、企業体はどのように変化していく必要があるのか。長期戦略は正しいのか。誰の言葉、誰の行動がキーマンを転職へと決意させたのか。
もちろん、1回や2回の言動や行動でキーマンは転職を決意しません。重なる言動と行為がキーマンを転職へ導いているのです。キーマン転職の多くは幹部に責任があります。幹部はその責任の重さを考え、ヒアリングし、行動を改め、再出発へと舵を切らなければなりません。
キーマンの転職と我儘社員の転職とは全く質が異なるのです。将来を有望視されている社員が次々と辞めていく現実は、幹部に問題があるのです。この点を今一度考え、職位に対する責任を果たすことが肝心です。
そして、キーマンの転職の後、その企業が新らしい企業体へ転身し、企業体そのものが目覚める時「キーマンの転職が大きな意味を成した」と考えています。
3. まとめ
○○さん曰く、今の会社に大きな希望は持っているわけではないが「それでも今は重要な仕事を任されているから、転職はできない」という言葉を口にされます。確かに、その通りです。
しかし、キーマンのあなたの転職は、企業体を目覚めさせる力があるということを知ってほしいのです。
あなたの転職により、他のキーマンへも影響が出て、流出現象が大きくなるのは、企業体の問題であり、あなたの問題ではございません。サラリーマン幹部にその原因があるのです。
あなたの、第一歩が企業体の目覚めに直結している点をお忘れなきようお願いしたいのです。
そして、あなたが愛する企業の目覚めは、あなたの一歩から始まるのです。
あなたの転職が、企業に対する、本当の意味の企業愛に溢れた行為である点を再認識すべき時だと思います。
あなたの転職後も企業体に変化がないならば、その企業はそれまでなのです。言い換えれば「あなたの転職判断は大正解だった」ということになります。
私は40代のころ、当時の企業の運営に疑問を持っていました、提案も行いましたし、企画も随分と行いましたが、変化はありませんでした。そして、全く別な職へ転職しました。その会社は、現在、当時の勢いは全くなく、不正や忖度で溢れてしまいました。
私が転職をして、喜んだのがサラリーマン幹部の方々。彼らに言わせれば、「カリスマ性がある○○の転職で、幹部の意見が浸透しやすくなった」と勘違いしたようです。その結果、新商品は立ち上がらず、原価削減も勢いが低下。結果的に売り上げは落ち、現在は60%台の売り上げにとどまっています。今後はさらに落ち、ものづくり企業から商社企業へ変化していく可能性も出てきました。
これも、企業体質の変化と言えば、その通りであり、転身の一手段だと思いますが、ものづくりを捨てたメーカー?で良いのでしょうか。
能力のある人材が泣き寝入りしてはいけません。転職して、新しい世界でノビノビと大活躍してほしいのです。
未来ある人材が埋もれてはいけません。転職してあなたの能力を存分に伸ばし、大活躍すればよいのです。
これが本日の結論になります。