古事記をはじめて学ぶ-10 古事記の神々 上巻-02 神武天皇への系図
先回の「古事記をはじめて学ぶ-09」で、初めて古事記に登場される神々の系統について触れました。実に巧みに描かれており、土地の神々、自然の神々、生産の神々など私たちの日々の活動に直結する神々がお生まれになっています。そして、イザナギ神の左目からアマテラス大神、右目からツクヨミ神、鼻からスサノウ神の三貴子がご誕生されました。
先回は、ここまで記述しましたので、この先の神々の系統をたどってまいります。
ガイドは國學院大學の古事記学センターのサイトになります。
それでは、スサノウ神から生まれた3柱の女神から記述をはじめていきます。
1. うけい
「うけい」とは神様に誓って占うことです。古事記では天の安河を挟んで姉のアマテラス神と弟のスサノウ神がうけいをするのですが、この物語には前物語があります。それは、スサノウ神が母親のイザナミ神に会いたくて仕方がなく、本来業務である海を治める仕事ができずにいました。いつまでも仕事をしないスサノウ神は父親のイザナギ神に怒られ、国から追いだされてしまいます。それならば、姉に頼んで亡き母のいる根の堅州国に行かせて貰おうと、姉の治める高天原へ昇るのですが、姉は驚いて、「弟に攻撃される!」と思い、弟と対峙します。弟に邪心はないのですが、これまでの振る舞いが災いし、姉を説得できません。ここで、天の安河を挟んで、「うけい」となります。
弟はトツカノ剣(十拳剣)を姉に差し出し、姉はその剣を嚙み砕き噛み砕きして吐き出した息の霧から3柱がご誕生されます。タギリビメノミコト(多紀理毗売命)、イチキシマヒメノミコト(市寸島比売命)、タキツヒメノミコト(多岐都比売命)。この3柱の女神は宗像三女神と呼ばれる神々です。
次に姉は多くの大きな勾玉の髪飾りの玉を差し出しました。これを弟が嚙み砕いて吐き出した息からアメノオシホミミノミコト(天之忍穂耳命)、アメノホヒノミコト(天之菩卑能命)、アマツヒコネノミコト(天津日子根命)、イクツヒコネノミコト(活津日子根命)、クマノクスビノミコト(熊野久須毘命)の5男神です。
2. 天照大御神の系図 邇邇芸命の誕生
うけいの際、天照大御神の勾玉を須佐之男がかみ砕いて吐いた息から最初に生まれたアメノオシホミミノミコト(天之忍穂耳命)はタカミムスヒ(高御産巣日神)の子であるヨロズハタトヨアキツシヒメノミコト(万幡豊秋津師比売命)との間に、ニニギノミコト(邇邇芸命)っを授かる。このヨロズハタトヨアキツシヒメノミコトの兄弟がオモイカネノミコト(思金神)であり、高天原からの使者選定の議論に意見を述べる神である。
この邇邇芸命の兄がアメノホアカリ(天火明命)である。
邇邇芸命はオオヤマツミノカミ(大山津見神)の娘と結ばれ、3人の子供を授かっている。三番目の子がホオリノミコト(火遠理命)。ホオリノミコトはワタツミノカミ(綿津見神)の娘のトヨタマヒメ(豊玉毘売)と結ばれた。
3. 神武天皇への系図
ホオリノミコト(火遠理命)とトヨタマヒメ(豊玉毘売)の子がウガヤフキアワセズノミコト(鸕鶿草葺不合尊)でトヨタマヒメ(豊玉毘売)の妹のタマヨリヒメ(玉依毘売)と結ばれ、4人の子を授かった。
長男はイツセノミコト(五瀬命)、4番目の子がワカミケヌノミコト(若御毛沼命)。このワカミケヌノミコト(若御毛沼命)が後の神武天皇となります。
4. 神武天皇から
上記では神武天皇はアヒラヒメ(阿比良比売)と結ばれていますが、天皇の系図は、オオモノヌシノカミ(大物主神)の娘ホトタタライススキヒメ(富登多多良伊須須岐比売命)と結ばれ、2代天皇のスイセイテンノウ(綏靖天皇)、3代天皇のアンネイ天皇(安寧天皇)へと系図は流れていきます。
5. まとめ
神武天皇までの系図を追ってみました。天照大御神からの直系の家系で神武天皇がご誕生されておられ、2代、3代天皇へと系図が流れていることがよくわかりました。
神武天皇の義父が大物主神ですから、三輪山の大神神社のご祭神です。このような各神社のご祭神が天皇系図の中に織り込まれている点が、とても興味深く感じられ、今後の神社詣での際に役立てて参りたいと思っております。
只今、私の御朱印帳は4冊目に入っておりますが、もっと早くに神々の系図を勉強すればよかったと、反省しきりです。
学びが足りないのは、勿体ないことだと、今更ながらに後悔いたしております。
先回と今回で、神武天皇に繋がる系図を紐解きましたが、國學院大學のこの系図を読んでおりますと、出雲国の系図と思われる部分が見受けられます。古事記に記述されている出雲国系の系図は、スサノウ神とオオヤマツミノカミ(大山津見神)の孫であるクシナダヒメ(櫛名田比売)からの系図となっています。
そこで、次回はスサノウ神から始まる出雲国系図を紐解いてみたいと思います。