第一回 音威子府蕎麦の会を開催したよ
音威子府は幌加内ほどじゃないにせよ、蕎麦が有名で、黒いそばを求めてやってくる旅人がいる。
でも、私たちのカフェの通常営業では蕎麦はやっていない。
他店と競合するのもなんだしね。
違うことをやろうという意気込みは買っていただきたい。
音威子府は冬が厳しいこともあり、その時期は旅人も来なけりゃ、村人も動かない。
雪しかない、しんとした中で、キラキラ光るお空の星よ、状態なのであった。
それもつまらんよなあ、とトド夫と話していて、きっかけづくりに何かやろうと思って、一番初めに思いついたのが「蕎麦」のイベントであった。
本当は旬の新蕎麦を出したかったが、ちょっと間に合わず。
なので、音威子府そば3種食べ比べ、を、夜のカフェでやることにした。
私の父もそばが打てるので、音威子府の蕎麦粉を使った父の蕎麦と、あと二つ。
実際は、もっと音威子府蕎麦はあるのだが、茹でて出すこちらの都合もあり、3種に絞った。
あすはれを知ってもらうためにもちょうどいいし、ナイスなアイディアではないか。
私とトド夫は盛り上がった。
お客は父の仲間内に呼びかけてもらった。
店側が、イベントに慣れないのでうまくいくかわからないためだ。
私たちはドリンク一杯つけて、1500円で、枝豆、フライドポテト、おでん、かき揚げと蕎麦を出そう、と言うことにした。
だがそれに父がストップをかけた。値段が高すぎると言うのだ。
みんなに喜んでもらわなければならない、振る舞うのが礼儀だと言うのだった。
結局、枝豆、フライドポテト、かき揚げと蕎麦、で800円で提供することになった。
飲み物、おつまみは持ち込みok。
これではもうけがほぼ無いので、おでんとお酒を有料で出すことにした。
当日、上記の写真の通り、美しく盛られて出された蕎麦と、枝豆とフライドポテトがどどーんと出された。
そらね、もうね、食べきれんぐらいです。
それでお腹一杯になったお客たちは、有料のおでんと飲み物に手を出すはずもなく、会はお開きになったのであった。
売れ残ったおでんは父が買い取り、お土産として振る舞われ、お酒は私たちで飲むことになった。
果たして会は成功だったのか失敗だったのか。
トド夫と私は何度となく話し合ったが、父の金がただ娘のところに来ただけ、な感があるわ、と私が呟くだけであった。
蕎麦の会は二回目があるのかないのか。
蕎麦の会いいね、という人たちがいない訳じゃないから、ある、かもしれない。
予約を取ってやってもいいな、と考えてはいるのだが、どうかなあ。