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【FF16】最高のストーリー体験が味わえる! 「──これは、FF16をプレイして推しになるまでの物語」

始めに

「FAINALFANTASY XVI」────言わずと知れた日本を代表するRPGのシリーズ最新作。2023年6月22日に発売されたこのゲームを、ひたすらに感情を揺り動かされながら先日ようやく完走した。それはもう大の大人が飛んで跳ねて泣いて笑ってと酷い有様だった。

普段ゲームに対して感想を文字に起こすことはないのだが「こんな新鮮な感情、黙っていられるか!!」と思い立ち、慣れない筆をとって書いてみた。……のでいろいろと読みにくいのはご了承願いたい。

なお、この記事はPVにて触れられている部分や、体験版の範囲からちょっと先に進んだ序盤の辺りまでのストーリーが含まれる。が、本筋全体については伏せてあるので

『FF16、なんか盛り上がってるけど買おうかな~』
『PS5持ってないんだけど、これを機に買ってみるかな?』
『フォロワーさんがなんか《クライヴ》とかいうスケベな男で盛り上がってて気になる!』

みたいに思っている方は、是非購入の参考にしていただきたい。

本作の目玉ともいえる《召喚獣イフリート》。月と共に。

プレイ状況について

色々と喋る前に、このゲームをどこまでやったのかを書いておく。

  • 最初から最後まで《アクションフォーカス》でプレイ

  • メインクエストはすべてクリア、エンディング到着済み

  • サブクエストもすべてクリア済み

  • モブハントもすべて討伐済み

  • クロノス石塔群もすべてクリア

現在は2週目に突入し、難易度を上げてトロコンを目指しつつやりこみ要素に触れ始めている……といったところ。


「物語大好き!」な人にはおすすめ!

いろいろ語りだすと長くなるので、結論だけ先に述べておくと
「ストーリーを全力で楽しみたい!」というプレイスタイルの人にはそれはもうめちゃくちゃお勧めできる。
本作は物語に主軸が置かれているゲームで、ややダーク目な王道ファンタジー世界をめいっぱい楽しみたい方にはお勧めだ。

とはいえ、「それだけじゃ何もわかんねぇよ!」と思うので、このゲームの特徴を上げていく。

月を見ている。まだ子どもだった時のクライヴとジル。


そもそもどんなゲームなの?

まず初めに、FF16は大きく「ストーリー」と「バトル」の2つの柱で構成されている。
が、このゲームは「ストーリー」の比重が滅茶苦茶重い。

また、ストーリーといってもプレイヤーの選択肢で分岐したり、マルチエンディングというわけではなく、基本的には1本道である。そのストーリーもシリアスでダークなものであり、所謂「ダークファンタジー」なものとなっている。

「FF16」では《ヴァリスゼア》と呼ばれる世界が舞台であり、その世界では巨大なマザークリスタルがもたらす恩恵を、各国が奪い合っている。
この世界には(FFなので当然といえばそうだが)「魔法」の概念がある、だが一般人は魔法を使うことはできない。マザークリスタルから削りだしたクリスタルを触媒にすることで、初めて魔法を使うことができるのだ。
魔法は戦いの道具として使われる以外にも、生活のいたるところで使用されている。飲み水の確保、火を起こしたり食べ物の冷凍保存、洗濯物の乾燥に至るまで、生活に必要なほとんどを魔法に頼っている。いろいろと便利なので仕方ないのだが、《エアロ》で洗濯物乾かしてるの見たのは笑ってしまった。

《ケアル》で傷を癒す。これはまだわかるが……
《エアロ》で洗濯物を乾かしていた。多分やめた方がいいと思う。

結果、すべての魔法の源であるマザークリスタルは、戦略的に重要な軍事資源であるとともに、この世界のインフラの根幹ともなっており、一言でいえばエネルギー資源の奪い合いを行っている世界なのである。

マザークリスタルの一つ、《ドレイクヘッド》。めちゃくちゃデカくて綺麗。

ファンタジー世界でもエネルギー資源を巡って戦争しているというのは何とも世知辛いというか、リアリティのあるお話である。
さらに、世界規模で規格化された超厳密な奴隷制度や、その身に《召喚獣》の力を宿し、普通の人間とは一線を画す《ドミナント》と呼ばれる存在が絡み、混沌とした世界にダークでシリアスなスパイスをこれでもかと投入しているのである。人の心がない。

《召喚獣フェニックス》の力を宿す《ドミナント》
主人公《クライヴ》の弟《ジョシュア》で、かけがえのない家族の一人だ。

特に《ベアラー》と呼ばれる、世界規模で使役される奴隷たちの描写は、開発陣にベアラーの人がいたんじゃないかと思うぐらい徹底した描写で描かれている。まじで胸をえぐられるような展開も多々あったりするのだ。多分何人かは実際に《ヴァリスゼア》から来た人たちが作ってるのだろう。

お子さんが生まれたんですってね! あら~~おめでとう!
男の子だって、弟くんができてよかったねぇ!! これからはお兄ちゃんだね!
ふぁっ!?
……と、このように生まれついて魔法が使える子は《ベアラー》と呼ばれ
生まれた瞬間に国に取り上げられて奴隷として扱われる。
当然、人間としては扱われず、魔法が使える「道具」として消費される。

物語についての話が長くなったが、ストーリーをかなり重視しているため、カットシーンが多く「ゲームをしている」というよりかは「映画を見ている」といった感覚の方が近いかもしれない。実際、ゲームをクリアした後流れるスタッフロールは、映画館で映画を見た後、余韻に浸りながら少なくなったポップコーンを食べる。みたいな気持ちだった。

バトル面に関していえば、バリバリの「アクションRPG」。FFシリーズと言えば、恒例のターン制やATBなどを思い浮かべがちだが、今作はガチガチのアクション。敵の攻撃をタイミングよく避け、反撃し、攻撃を繋いでコンボを決めて戦う、非常にスタイリッシュで爽快感溢れるものとなっていた。

戦闘のワンシーンを撮影したもの。めっちゃカッコよく動いてくれる。

システム面的な所を話すと、昨今流行りのオープンワールドやオンラインでのマルチプレイは実装していない。各地域ごとに巨大なMAPがあり、その中で探索や行動を行うスタイルだ。

主人公のカスタマイズ要素としては「武器・防具(2枠)・アクセサリ(3枠)」と戦闘時に使用する各種アビリティ(全部で6枠)がある。アビリティは特定のポイントを支払って習得するタイプであり、スキルツリーのような複雑なものはない。使用したポイントはいつでも振り直しができ、非常にシンプルで優しい仕様だった。

纏めると、キャラクターのビルド要素はほぼなく、最近流行りの要素は無理に取り込まず、「重厚なストーリー」と「爽快なアクション」の2つにリソースを全振りした、尖ったバランスのゲームに仕上がっている印象を受けた。

実際、プレイした結構な人がこの2本の柱について話しており、開発からもストーリーとアクションについて言及されていたため、狙い通りのリアクションなのかもしれない。


めちゃ推したい部分!!

「王道」と「ダークファンタジー」

先ほど、ストーリーは所謂「ダークファンタジー」といったのだが『ELDENRING』みたいなもうめっちゃ絶望の世界の中でほんのわずかな希望と標に従い、王のルーンを集める。みたいな感じではない。

どこにでもいる無辜の人々が、マザークリスタルを狙う巨大な国家間同士の争いに巻き込まれたり、その戦争によって発生した難民たちや、奴隷階級への徹底的な差別。《ドミナント》と呼ばれる「人ではない者達」の振る舞いや葛藤を、それはそれは緻密かつ丁寧に描くことでどシリアスな人間社会の闇を浮き彫りにする……そういう形のダークファンタジーである。

しかし、そういった荒波に呑まれず、必死で生き、「人として生きる」ために抗い、時に葛藤や深い絶望に堕ちながらも、先の世界へと進もうとする人々が描かれた「王道のファンタジー」物語でもある!

華やかな王侯、貴族たちの振る舞いや活気づく城下町など
「陽」の当たる王道のファンタジー部分
かたや戦争の影で産み落とされる数多くの難民たち
こういった「影」の部分も色濃く描写されており、この対比が世界に深みを与えている

ある意味、昔の「FF」らしい作風ともいえる。混沌とする世界の中で、光の戦士たちがクリスタルの加護を受け、混沌とした闇を切り裂き、光に満ちた秩序ある世界を取り戻す……そういった「FFの原風景」みたいなものを感じた。

ただ、それだけで終わらないのが「FF16」。PVにもあるが『これはクリスタルの加護を断ち切る物語』……主人公である《クライヴ・ロズフィールド》や彼の仲間たちの目的は、争いの根源でもあるマザークリスタルの破壊なのである!  
「古き良きFF」「過去のFFへの反逆」とでもいうべき要素が隣り合っているのが、今作の「異様」な部分であり「大きな魅力」なんじゃないだろうか。

今作の主人公《クライヴ・ロズフィールド》
「王子様」や「美少年」というよりかは「大人の色気」漂うイケメン
どこかアダルトな色合いが強い主人公というのも今作の特徴かも

また、「過去のFFへの反逆」に近しい部分として、FFにしてはかなり「大人向け」なストーリー展開がある。
直接的な暴力描写性的な描写も一部含まれているのだ、今までに無いかなり攻めた部分だと思う。ただ綺麗ごとだけじゃない、リアリティのある世界が描かれているのは、今までのFFにはない新しい部分だと感じた。

特に次世代機であるPS5のグラフィック能力をフルに生かした各種シーンは非常に生々しく「えっっっっ!!!!!」「あぁぁぁ……」と感嘆を漏らしたほどだった。マジですごいんだ、なにがって…それは実際に見てほしい。

血にまみれた死体。これはほんの一部で、この世界を構成する要素の欠片に過ぎない。
がっつり流血描写があるため、今回のCERO規格は「D(17歳以上)」となっている。
とりあえずこんな色気のあるお姉さんが出てくるということだけお伝えしておきます。

なお、こういった背景には開発陣が『ゲーム・オブ・スローンズ』に大きな影響を受けたためと、インタビューで答えていたそうな。
その答えの通り、非常に深みのある物語に仕上がっており、かつ非常に分かりやすく丁寧に世界観を教えてくれるため、「ストーリに置いてけぼりにされる」といったことがなかったのも印象的だ。

なお、ストーリーの結末についてはここでは述べないが、これは好き嫌いがわかれそう。というのが正直な感想だ。
私はかなり好きなのだが、ここは解釈が分かれるところかと思う。気になるのなら是非ゲームを手に取ってもらいたい!! 実際に体験することでしか得られない栄養素がそこにはある。

最後までたどり着いたら、是非感想をSNSとかで呟いてほしい。めっちゃ見に行きます。

めちゃ丁寧な世界観説明

『ゲーム・オブ・スローンズ』を見たことがある人ならわかると(勝手に)思っているが、濃密なファンタジー小説なんかを読んでいると

「あ~~この人、名前なんだっけ……えっ、っていうかその名前誰!? 何!? どこ!!?」

となることはないだろうか。私はめっちゃよくなる。
そのたびにページを戻って

「あ~~はいはいはい! この人ね!! OK、分かった!!」

をよく繰り返す(そして再び最初に戻る)。しかし「FF16」ではこれがほとんど起きなかった。
単純に、全員キャラが立ってるので覚えやすいというのもあるのだが、《アクティブタイムロア》という神機能のおかげで置いてけぼりになることがなかったのである。

これはPS5のパネルボタンを長押しすることで開くことができるWikiみたいなもので、基本的にいつでも見ることができ、しかも今、特に関係性のある出来事や人物をピックアップして表示してくれるのだ!
純粋に読んでいるだけで楽しく、ロア好きにはたまらない逸品! ほんとマジで神機能過ぎてびっくりした。
過去作(FF13,FF15など)の出来事からこういった機能をつけたのかは謎だが、ともかく滅茶苦茶便利だったので今後もつけてほしい(要望)

神機能。全部のゲームに標準搭載してほしい。
その時欲しい情報が必要な分だけすぐに見れるの便利すぎる!

作りこみが半端じゃないキャラクターたち

ストーリーを強靭に支え、多くのプレイヤーたちを様々な沼に突き落とし、情緒をこれでもかと弄んだ大きな要素が、作りこみが半端じゃないキャラク
ターたちだ。

特にキャラクターの表情が尋常ではない。今回、本物の役者さんの表情をデータ化してモデルとして起こしているらしく、ドラマや映画にでてくる登場人物のように、ゲームのキャラクターたちが自然な人間の表情でその時の感情を伝えてくるのだ。

グラフィック能力が単に高い……というのもあるが、それ以上に人間臭い動きをするキャラたちに驚いた。
例えば、主人公の《クライヴ》はとある出来事から、人とのコミュニケーションに大きな隔たりを抱えることになるのだが、そういった事情を細かくは語らない。
代わりに動作によって表現していて、相手の目を直視せず、視線がやや浮ついてるといった眼球の動きや、どこか申し訳なさそうな眉の動き、「他人の家にお邪魔してます」みたいな緊張した動作……といった動きで表すなど、言語以外の雰囲気や立ち振る舞いで伝えてくるのだ。

序盤のクライヴ。うつむき加減の表情から自身がなさそうに見える。
ただ、確実に一歩踏み出した瞬間でもある。
どこか深刻な表情で思案しながらも……
顔を上げて言葉を伝えるその表情は、本来の心優しい彼の一面が伺える。
素直で優しい青い瞳、普段は困ったような表情が多い彼だが、どこか子犬のような印象を受ける。
別に「彼は優しい人物で…」なんて説明はないが、表情一つで多くが伝わる。

これが非常に自然で、本当に生きている人間がそこにいると実感できる。わざわざ語らず、行動で見せるという点が、素直にストーリーや世界観をプレイヤーの体験として落とし込んでくれるため、世界に対しての没入感がすさまじい。
プレイヤー側もそれなりに読み取る力が求められるところではあるが、丁寧に作りこまれたキャラクターたちの言動がそれを容易にしている。

また、キャラクターたちの関係性というのも非常に緻密に作りあげられており、主人公であるクライヴを通して彼らの考えや想いも堪能することができる。
特にサブクエストでそれらの部分が深掘りされているため、是非やってほしい! これをやるのとやらないのでは、ストーリーに対しての考え方やキャラに対しての思い入れが段違いになる。マジで!!!

そして当然、彼らの動作もみなそれぞれに「個性」があり、ほんのわずかな違いから人間性や考え方の違いを読み取ることができる。ほんとに等身大の人間一人を創り出す「キャラクター」への愛と執念が恐ろしい……

魅力的なキャラクターたちの一部。
一人は幼馴染であり、同じ兄弟のように育てられた《ジル》。
そして彼女に抱えられているのが、頼もしき相棒(幼)の《トルガル》。
彼女たちはクライヴのよき理解者であり、とても大切な家族でもある。
主人公《クライヴ》の弟で、次期ロズフィールド家大公でもある《ジョシュア》
《ドミナント》の力に目覚めた弟が次期大公を継ぐことになっているが
二人の間に溝はなく、兄をとても信頼しているのが伺える。
もちろん、クライヴも弟ジョシュアのことを想っており、信じられないほど仲が良い。

爽快でスタイリッシュなバトル

バトルはアクション要素が非常に強く、これまでのFFとは大きくシステムから異なる。非常にシンプルで突き詰めれば奥深くはあるが、1週目であればさほど難易度も高くはなく、プレイヤーの間口を広くとっている印象だ。

基本的には□・△・◯・×ボタン、それにR1を使い、クールタイムを見計らってアビリティを撃ち込む。基本的にはそれだけでとてもシンプルなのだが、これらを瞬時に、かつコンボとして成立するようにやろうとすると

「通常攻撃! 魔法追撃でマジックバース────あ”ぁ”っ”敵の追撃がッ!! 回……避しくった!! ポーション!! トルガル癒して!! ポーションン”ン”ン”な”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!!(絶叫)」 といった形になる。

攻撃をすれば当然回避ができなくなるため、敵の攻撃や動きを読んで対応しなければならない。この駆け引きが非常に楽しく、時間を忘れて戦い続けてしまう。

めちゃくちゃカッコいい、スタイリッシュな戦闘ができる。
因みに戦闘中にフォトモードを起動してカッコいいSSをとることもできるぞ!
もちろん、FFシリーズ定番のキャラクターが敵としても登場する。

さらにゲームの難易度についても「イージー・ノーマル・ハード」とコンテンツ側が難易度調整をするのではなく、プレイヤー側を任意に強化することで難易度を調整できるのは画期的でとても素晴らしいと思った。

特定のアクセサリを装備することで自動的に攻撃や回避ができるようになったり、味方に指示を出してくれたりと、初めてアクションゲームを触った人でも「爽快かつカッコいい」バトルが演出できるよう、配慮されているのはとても素晴らしい!
この状態の時は□ボタンを連打するだけでもカッコよく戦ってくれるので、「あぁ~ちょっと疲れてきたから自動で戦っちゃお」とか「この敵は強くて勝てる気がしないから切り替えよう」などシチュエーションに応じて変えられる。
また、手に不自由があったり両手を同時に動かすのが難しいといった方にとっても「カッコよく、爽快に戦うことができる」というゲーム体験を提供できるので、そういった面でも非常に斬新で面白い造りだと思う。是非今後もこういう形でゲームが増えてほしい。

アビリティはどれもド派手なエフェクトで使っていて楽しく、何よりめちゃくちゃカッコいい!! 爆音と共に立ち上る火炎! 巨大な爪を召喚して目の前の敵を切り刻んだり、極太のレーザーを発射したり、一刀のもとに敵を切り結んだりと種類も豊富である。

斬 鉄 剣 !

召喚獣同士のボス戦はまさしく『召喚獣合戦』! 召喚獣同士がバチバチにドつき合う大迫力のバトルができる。人間の時はせいぜい数百ダメージ程度だが、召喚獣になると一気に数万とかいうぶっ飛んだダメージの応酬になるのも気持ちがいい。

エフェクトがド派手!! 召喚獣同士の戦いは「大怪獣バトル」といった趣で
ひたすらド派手な技でお互いドつき合うことができる。
因みに召喚獣とも戦うことになったりする。
片手でいとも簡単に握られるクライヴ……
召喚獣のスケールの違いがお分かりいただけるだろうか。

圧倒的なグラフィックと演出

これらストーリーとバトルを成り立たせるうえでも重要なのが、グラフィックと演出だ。この点においては、他のゲームと比較しても圧倒的に美しい映像と演出を誇っているといっていい。

PS5独占タイトルとなっていることもあり、PS5のスペックを限界まで活かした絵作りがされている。今回、4K144hzまで対応可能なモニターでプレイしていたが、まるで実写映像のような美しい映像でプレイすることができた。

また、操作可能なゲーム部分と操作不可能なカットシーンの部分には継ぎ目がなく、ゲームとストーリーが一つになった、長尺の映画のような感覚でゲーム体験ができるのもすごかった部分だ。カットシーンの読み込みロードがほぼないため、シームレスにゲームとシーンが移行する。
おかげで辞め時がわからず、気が付けば真夜中ということもよくあった……没入感が半端じゃなく、物語に入り込んでいるので時間間隔がバグる。これは本当に困った!

滅茶苦茶盛り上がるシーンが連続したり……
息を飲むほど美しい、雄大な自然が映し出されたりと
緩急つけてストーリーは展開されていく。

演出についても一級品で、召喚獣バトルの時はド派手なエフェクトが舞い踊り、敵の攻撃や進行度に合わせて可変するBGMがさらに没入感とテンションを限界まで高めてくれる。

因みに私一押しのBGMは、フェニックスが登場する際に流れる「Away」!(あってるよね?)
怒涛の入りからテンションの上がるコーラス、緩急つけたリズムで召喚獣戦を大いに盛り上げてくれる! 歌詞もまた深く、噛めば噛むほど味が出る……

今作登場する「火」の召喚獣《フェニックス》
登場シーンは滅茶苦茶盛り上がる「Away」という曲が流れるので是非聞いてもらいたい。

バトル以外の描写も優れており、暗い部屋に広がる暖炉の暖かな火の光や、湖畔の遥か遠くに見える山々、街や村の人々が行き来する街路や広場など、「そこに人が住んでいる」という描写に余念がない。
街を歩けば喧騒が聞こえ、設置されている物一つ一つ時代考証や世界観設定と齟齬がないかを確認されているそうで、かなりのこだわりを感じることができる。

今回、森の中のフィールドを作る時、その植生についてもかなり細かく作りこまれているなど、「人が生きている世界」を作るのにここまでこだわったゲームはそうそうないんじゃないだろうか?

荒んだ世界ではあるものの、どんな場所にでも子どもたちの姿が見えるのが印象的だった。
なにやら炭で落書きして遊ぶ子どもたちや……
寝そべってるトルガルにもたれるようにして、一緒にお昼寝をする子も。
何気ない生活のワンシーンが、あちこちに描写されているのだ。

注意してほしい部分

ここまでめちゃくちゃ持ち上げる話ばかりしていたが、逆にこのゲームではできないことや物足らない所に関しても書いていく。

キャラクタービルドの自由度

基本的にこのゲームにキャラクタービルドは存在しない。
経験値を取得してLvが上がっていくほか装備品やアクセサリを装備してステータスを増強したり、アビリティをセットして使うといった部分はあるが、選択肢としてさほど多くはなく、自由度は低いのが事実だ。

良くも悪くもシンプルで、ストーリーに集中できるようにと配慮された結果ではある。
個人的にはストーリーに集中したかったのでよかったのだが、自由にキャラクターを育成させたい! もっとたくさんアビリティを使ったり、強化したりしたい! など、キャラ育成に拘りがある方にはお勧めができない。

また、パーティーメンバーに対してもビルド的要素は存在しない。
常に一緒に戦ってくれる《トルガル》という大きな狼以外に、ストーリーの進行で加入するパーティーメンバーがいるものの、ステータス画面やビルドをセットすることはできない。
一応、トルガルだけはステータス画面はあるものの、アビリティなどを設定することはできず、強さのパラメータが表示されているだけである。正直この強さの度合いもよくわからないため、何のためにあるのかいまいちわからない。トルガルのかわいいドット絵や一枚絵が見れるぐらいである。じゃあいいか。

パティ―メンバーはストーリーの進行度に合わせて出たり入ったりする。
基本的にずっと一緒にいるのは《トルガル》だけで
そのトルガルも自分で判断して攻撃や回復などを行う(指示は出すことができる)

バトルのシンプルさと難易度

バトル面は非常にシンプルで、遊びやすくあるのだが、アクションゲームに慣れ親しんだ人にとっては物足りないかもしれない。本作はストーリーにかなり傾いているため、バトルに期待してゲームをやると拍子抜けしてしまうかも?

2週目からは難易度をぐっと引き上げて遊ぶこともできるが、正直2週目に行くまでにかなり時間がかかるため、やりこみ要素の域はでない印象。
なお、がっちりストーリーを楽しんだ私は、1週目で80時間程度かかっている。そうなると、結構気合い入れないと2週目には手が伸びないかもしれない。「1週目で劇的なストーリーと共にシビアなバトルを一緒に食べたい人」にとっては物足らなさを感じるだろう。

また、召喚獣のアビリティが手に入るのがストーリに準拠しており、ある程度ストーリーが進まないとアビリティがセットできない。そのため、一向にアビリティがそろわず、選択肢がなかなか広がらない部分もある。

アビリティに関していえば、バトルの仕様上、敵がダウンした時はダメージ倍率が上がるため、プレイヤー心理としてはその時にアビリティを集中使用して最大火力を叩きだしたい。そのため、ダウンまではアビリティを温存しがちで、結果的に通常攻撃コンボに頼りがちである。
これについては、プレイスタイルやプレイスキルに寄る部分が大きいため一概には言えないが、私はついつい通常コンボに頼り、アビリティを出し渋っていた。

各召喚獣のアビリティを手に入れて使用することができるが
取得タイミングはストーリーに準拠する。
先回りして全部取得する、みたいなことはできない。

過去作の仕様と比較をしてみると、これまでFFではおなじみだった「属性」といった概念や、各種魔法のほとんどが使えないのは非常に残念な部分だった。個人的には魔法職大好きなので、上位魔法を撃てなくなったのはショック! この美麗なグラフィックとド迫力のエフェクトでファイジャとかフレアとか撃ってみたいじゃん!!

本作の主人公であるクライヴは、剣を主軸にした近接戦闘を行うキャラクターなので、それに合わせて剣戟メインのアビリティ構成……なんだろうが、近接戦闘と遠隔戦闘のスタンスを切り替えるような造りが欲しかったと思う。ただ今の魔法剣士スタイルもかっこいいんだよな…

剣戟主体の今作。因みに剣とはいうがめちゃくちゃ蹴り上げたりもする。
ロザリア流剣術は足技も多用する……のかもしれない。

システム的に採用していないもの

昨今のゲームではオープンワールドやオンラインで一緒に遊んだり、戦ったりするモードが標準的にあったりするが、FF16にはそれらの要素はない。
しいて言うなら、スコアアタックで世界中のプレイヤーとスコアを競い合う、はあるが、おまけ的な要素ではある。

ただ、本作に関していえばそのどちらも不要だとプレイして思った。
オープンワールドにしても、そこで遊ぶコンテンツがなければ意味がない、ただ広いだけの空間になってしまうからだ。

本作はストーリーに全振りしており、あちこちに遊びに行くことで没入感が薄れてしまう懸念がある。ヴァリスゼアの各地で遺跡に隠された謎を解いたり、パーティーメンバーと一緒にBBQしてもそれはそれで楽しそうではあるが、ストーリーの展開上、どう考えても浮いてしまうのは必然だろう。

でっけぇ召喚獣が暴れてる傍でクラフトしてたら没入感も何もない。いや、それはそれで面白いんだけども……タイタンが大暴れしてる傍で、木を切ったり石を掘って小屋を作るクライヴくんは、正直見てみたい。

マルチプレイに関しても同様、ゲーム上マルチで遊ぶ利点が特にない。しいて言うならモブハントで出てくる強敵を一緒に倒すとかかもしれないが、主人公が突然二人になっても違和感があるし、正直そこまで無理してオンライ
ン要素を入れる必要も感じなかったので開発チームの英断だったと思う。

その他こまごましたもの

あとは超細かなところでいくつか思うところはあった。

・全体的に画面が暗い
これはまぁ確かに…暗い所は暗く、明るい所は明るく! といった塩梅なのだと思う。正直、モニタの影響かそんなに暗さを感じなかったが(暗いゲームをやりなれている説はある)実際、普通のモニタでやったらかなり暗いかも。明るさをMAXにするとだいぶマシになるとのこと。

実際のゲーム画面。室内だと暗い所は結構暗い。

・ミニマップがない
これは割と賛否両論といったところだろうか? 私はなくても良い派だった。確かに、ミニマップがあるとマップに従って移動するだけになるし、UI的に没入感が薄れてしまう。
反面、それなら設定で表示できるようにしてもよいのでは? とも思った。現状ミニマップはないため、迷ったらL3を押し込んで、トルガルに導いてもらおう! その後はトルガルを撫でてあげようね!

・ところどころFPSが下がる部分がある
これは確かにあった。一部の街でNPCが多い場合、FPSが下がるのを感じた他、特定のイベントが起きた後、一部フィールドが極端に重くなる現象が発生した。おそらく大量に霧のようなものを描写しているためだと思われる。
これに関しては開発側も認識しているようで、既に一部パッチが当てられているほか、今後も最適化を行っていくそうだ。
ただ常にFPSが下がるわけではなく、ゲーム進行が不可能になることはないので、さほどクリティカルな問題には感じられなかった。

・キーコンフィグができない
現状、幾つか決まったパターンの中から選ぶことになっている。私はデフォルトのキーコンフィグで慣れてしまったので、あまり変えようとは思わなかったが、今作はアクション要素が強いので、キーコンフィグはできた方が嬉しいだろう。
これについては、現在すでに検討を開始しているらしいが、実装には時間がかかるそう。それまではいくつかのキーコンフィグパターンをパッチで当てていくようだ。気長に待とう。

・フォトモードをもっと弄りたい!
今作は戦闘中・非戦闘中でもフォトモードを起動して、SSを撮影することができる。SNS映えするSSをとって画像投稿できるという寸法だ。
が、設定できる項目は「カメラのロール」「距離」「被写界深度のON/OFF」「ピントの強さ」で、もうちょっと弄りたい! と思ってしまった。
正直、ゲームのフォトモードとしてはこんなものだとは思うが「FF14」に搭載されている「グループポーズ(FF16のフォトモードみたいな機能)」とどうしても比較してしまう。グループポーズは異常なまでに細かく調整できるため、比較するのは少しかわいそうな気もするが、ライティングぐらいは弄りたい。

まとめ!

結論でも述べているが、「物語大好き!」な人には十分にお勧めできるゲームだ。そういった人々の心を掴み、感情を揺さぶり、クリアした後には大きな達成感と様々な想いを残すゲームに仕上がっていると感じた。

「FAINALFANTASY」シリーズを語る時、今後必ず「FF16」というナンバリングは話題に上がり、シリーズ談義を大いに盛り上げてくれることは間違いない。それほどにFF16の完成度は高く、傑作といっていいゲームの一つだと思う。

ただ、それと同時に遊ぶ人を選ぶゲームであるのは間違いない。ゲームでやりたいことが「自由な探索」や「何かを作りたい」「キャラクターを育成したい」「誰かと一緒に遊びたい」であるならばこのゲームはお勧めしない。

ゲームにはそれぞれ得手不得手が存在する。
「自由に探索して何かを作ったりしたい!」のであれば『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』がおすすめだし
「自分好みのキャラクターを育成したい!」のであれば『ディアブロ IV』を遊ぶべきである。
そして「誰かと一緒に遊びたい」のなら同じくFAINAL FANTASYシリーズの14番目のナンバリングタイトル『FINAL FANTASY XIV 新生エオルゼア』がおすすめだ。因みにこれは宣伝である。

このFF16というゲームは、「重厚なストーリー」と「爽快なバトル」に全振りしているゲームであり、「物語を楽しみたい!」という人に向けたゲームだ。
その分、自由度が少ない部分もあるし、バトルがシンプル過ぎると感じる部分もある。完ぺきではないかもしれないが、それといった欠点も見当たらず、ゲームとしては高い完成度を誇っているのも事実。

王道で原点回帰ともいえるストーリー構成に、魅力的なキャラクターたち。爽快感MAXでカッコイイバトル。そしてそれらを描写する、圧倒的なグラフィックと演出は他のゲームにない尖った部分で、心に残るゲーム体験を得られることは間違いない。

《召喚獣イフリート》、そして主人公クライヴと多くの人々が織り成す壮大な物語。
わずかな種火があつまり、大きな炎になっていく様を体験してほしい……!

この記事を読んだうえで、もし興味があるようなら是非「FINALFANTASY XVI」を手に取ってほしい。
最近はPS5も手に入りやすくなり、この夏からはPS5でも大作ゲームがかなり発表されている。FF16の為だけにPS5を買うのは高いかもしれないが、今後もPS5で遊ぶのであればこの機会に一緒に買ってみてはどうだろうか?

「FF16」での旅路は、きっと楽しく、あなたの心に残るゲーム体験になるだろう。この記事が少しでも購入判断の足しになったのならとても嬉しく思います!

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