科学と仕事と豊かさの話
今までは、科学が仕事を作ってきた。小さいラジオを作る技術を開発したとか、大量生産するための機械技術とか、エアコンの技術とか、テレビの技術とか。
そうやって、組み立てる人とか、新しい製品を考える人とか、開発する人とか、たくさんの人の仕事を作ってきた。
でも、科学が生み出せる能力はあまりにも伸びしろが少なくなってしまった。技術的にすごいもの、機能的にすごいものは、もうすでに必要なレベルに達している。もっといい○○が欲しい。の、○○に当てはまるものがあまりない。
もちろん、ITや医療の世界で科学が進歩するべき分野は残っているが、昔と比べて、科学が生み出している仕事が極端に少なくなっているのではないかと思う。
つまり、科学は、新しい仕事を作れなくなってきた。それどころか、ITとか自動化は仕事をより減らそうとしている。
だから、全世界の、"仕事の量"が増えていかない。全世界で、仕事をshareしている状況になったと思う。
仕事がないと、労働できない。"労働=お金=豊かさ"である資本主義の社会では、豊かさの全世界の総和が増えていかない状況になっているとは考えられないだろうか。
さらに、資本主義の仕組み上、労働はお金のある国から、お金のない(低賃金の)国へ移動している。それは、もともと豊かだった国から、豊かさが流れ出していることにならないだろうか。
資本主義は、それに求められた役割として、お金を持っている人を豊かにする。そして、貧しい人達にお金を分配している。だが、労働の総量が増えていかない条件のもとでは、もともと豊かだった国が、貧しくなっていくのではないだろうか。