その方法を安定して示すこと。
教育系メルマガ【谷和樹の教育新宝島】から学んだことの発信です。
https://www.shintakarajima.jp/
vol.42Part1は、「音楽の授業」がテーマでした。
向山洋一先生が1年生に「ハーモニカ」を指導するための
「メモ」を取り上げて、分析し、解説してくださっていました。
https://mukoyamayoichi.com/
この解説が、本当に勉強になります。
わずかなメモから「ハーモニカ」の具体的な指導、
その裏にある授業にとって大切なポイントを
わかりやすく解説してくださっているのです。
もしこの「メモ」だけ見ることができても、
こんなに具合的な指導やポイントを読み取ることはできなかったと思います。
メルマガを読みながら、頭の中がチカチカしました。
自分が教室で授業するときに、活用したいポイントが頭の中にインストールされていく感じです。
インストールされても、使いこなせるかどうかは、別ですが、知らないとできないですよね。
特に強く印象に残ったのが、次の「解説」です。
向山先生の「メモ」に次の一文があります。
┌<引用>────────────────
②その方法を安定して示すこと。
└───────────────────
この「メモ」はハーモニカの指導について書かれた中の一文です。
②とあるので、メモには①も書かれています。
①もものすごく学びがあるのですが、ここでは紹介しません。
┌<引用>────────────────
その方法を安定して示すこと。
└───────────────────
「その方法」とは、子供たちがハーモニカを練習する方法です。
まずどの音を出すのか。
次にどの音と音を出すのか。
どうやって出すのか。
その方法だと考えました。
この一文について、谷和樹先生は、次のよう解説してくれています。
┌<引用>────────────────
「安定」して示すのです。
何が安定しているかというと、
子どもが感じるステップ
これが安定しているということです。
└───────────────────
子供が感じるステップが安定する!
谷先生の言葉で衝撃を受けました。
安定を辞書で引いてみると次のように書いてあります。
┌<引用>────────────────
物事が落ち着いて、激しい変化のないこと。
広辞苑
└───────────────────
安定して示すのは、教師です。
ですから、向山先生の「メモ」を見た時。私は教師の示し方が、「落ち着いていること」「激しい変化のない」ことだと思ったのです。
でも、谷先生の解説を読んで、自分の間違いに気付きました。
「子供が感じるステップ」が「安定」、つまり「激しい変化のないステップ」なのだったのです。
「安定」という言葉の捉え方が、子供を主語にしていなかったなと振り返りました。
私の「安定」という言葉の捉えは、教師が主語でした。
「安定」という言葉と
自分の教師としての「体験」と接地するエリアが狭かったのだなあと思いました。
向山先生の「安定」という言葉を使っている文章をいくつか調べてみました。
これまで、向山先生の文章を読んで、学んできましたが
「安定」という言葉を追いかけて読んだことはありませんでした。
すぐに思いついたのが、次の文章です。
┌<引用>────────────────
自分の行為の意味を理解してこそ、「考え」も「精神」も安定できるわけである。
「何が何だかわからないけどやる」という状態は「考え」も「精神」も不安定であり、その状態に慣れると「何も考えなくても行動する」という不安定な状態をそのまま受け入れる人間になっていく。知性的な状態から、だんだん離れていく。
『新版 授業の腕をあげる法則』(学芸みらい社)
https://amzn.asia/d/2MqsFzy
└───────────────────
子供の「考え」と「精神」の「安定」について書かれています。
次の文章も見つけました。
┌<引用>────────────────
力のない人は「思いつき」で仕事をする。いつもドタバタしている。
安定感がない。システムがないので、常に不安がつきまとう。
それで子どもが荒れるのだ。
『教室ツーウェイ』2007年6月号
└───────────────────
安定感がない、不安感がつきまとう、そして「子どもが荒れる」とあります。
やはり子どもたちの姿に接地します。
そして、「システム」の必要性が書かれています。
次の文章にも「安定」と「システム」が出てきます。
┌<引用>────────────────
どんな人間でも、気分の変化はある。
「やる気」のない時もある。
そんな安定しない「気分」による「マイナス」を防ぐために人間は工夫してきた。
それは「システム」を作り出すことである。
「システム」というのは、「気分」に左右されずに、それなりの安定した活動をしていくために考え出されたのである。
『新版 学級を組織する法則』(学芸みらい社)
└───────────────────
「メモ」をもとに谷先生が解説してくださっている
向山先生のハーモニカの指導も、とてもシステマチックです。
谷先生は次のように書かれています。
┌<引用>────────────────
子どもたちはたった一つ、次のことだけを意識して練習すれば進んでいけます。
└───────────────────
「たった一つのことだけを意識して」いけばいい。
なんて優しい、思想なんだろうと思いました。
向山先生のような子どもが安定して感じるステップを組み立てた指導のシステム。
そのようなシステムを創り出される向山先生の授業力は、圧倒的な峰の高さです。
谷先生の解説で、大切なことで学ぶことができました。