初恋と初体験と眠れぬ夜と
初恋の相手は、女嫌いになる前の中三の頃。
坊主頭から学則反対運動を経て、髪を伸ばし出した頃の話。
女子と付き合うと言うことを知り、何の免疫もなかった僕は、あっさりと当時男どもに人気のあった女の子と付き合い始めた。
○○中学の三人娘、と言われるほど美人だった。
もちろん、手を握ることさえできない僕は、気持ちだけが高ぶって行き、交換日記で重い重い思いを綴った・・・。
中二で、愛だの恋だの・・・
そりゃあ、振られるわな┓(・Д・)┏
彼女はただ、僕と映画を見に行ったりしたかっただけなのに。
で、彼女の気持ちが分からなかった僕は、女嫌いになったw
そんな傷心のバカな僕のことを、他の子に好きだと言われても・・・・
怖くて付き合うどころじゃなかったw
だから逃げたのさ(*´Д`)y-~~~
それからアグネスラムと付き合って自然消滅しかけた頃、(恐らく別れの原因は、やらせてくれない事、だと思う・・最低!と言ってくれ(ノД`))、
新しい彼女が出来た。
バイト先で知り合った6歳年上のM子だ。
地方から出てきた彼女は、素朴で世間知らずで(その時の僕がいうのも何だけどw)、シャイだった。
でも、M子と付き合う前に、僕は大切な選択に迫られた。
同じバイト仲間の高2のS子だ。
正直、超可愛かった。
どんだけ大きいんだよ! と言うぐらい、目が大きかったw
バイト先の休憩時間、気が付くと、S子が隣にいた。
いつも僕の話に笑っていた。
ああ、このまま僕たちは付き合うんだろうなあ・・・
と漠然と思っていた。
もちろん、好きだったし。
で、芸大の受験に僕が合格したお祝いと卒業パーティを兼ねて、同じ部門の人たちが集まってくれた。
酒が飲めないので、近くのおしゃれなティールームで。
盛り上がった。
その場にいた他の客たちも巻き込んで、大いに笑わせたw
2時間があっという間だった。
夜8時。
「送ってってやれよ」
先輩のその一言が、とてつもない重い空気にしてしまった。
僕の両脇に、二人の女性がいたからだ・・・。
S子とは手を握っていた。
M子は僕の腕に腕を通していた。
二人の家は正反対。
さあ、どっちを送る?!
分かんねえよ!ヽ(`Д´)ノ
ホント、逃げ出したい気持ちだった。
と、空気を読んだM子は
「送って行ってあげなよ。こんな可愛い子、こんな遅くに一人で歩かせたら危ないよ」
と言って、腕を放した。
M子は容姿に自信がなかった。
24歳とは言え、田舎から出てきたばかりの女の子だ。
都会のシテーボーイと付き合えるなどと、思ってもいなかったのだww
そんな彼女の慎ましさに、僕のハートは動いた。
その空気を察したのか、S子は繋いでいた手を放した。
「私、○○ちゃんと帰るから平気。送って行ってあげて。じゃあね、白石先輩・・・・」
「え!? あ、いや・・・S子・・・・」
彼女は、振り向きもせず去って行った。
でも、僕は知っていた。
彼女が手を放す時のあの悲しそうな瞳を・・・・。
彼女が小さくなるまで見送った。
遠く離れた所で、友達の女の子が背中に手を回した。
それで彼女が泣いているのを知ったんだ。
「ごめん・・・私がいたせいで。今ならまだ間に合うよ。早く行ってあげて。私のことはいいから」
そう言う彼女もまた涙ぐんでいる。
僕は胸を激しく締め付けられながら、彼女の手を握った。
「行こう。さあ」
二人は一言も話さず歩いた。
彼女の住む寮までの道のりを、手を握ったまま歩き続けた。
遠くに寮が見えた。
「いいよ、ここで」
「いいよ。ドアの前まで送るよ」
「ごめん・・・本当にごめん。私がいたからS子ちゃんを一人で帰して。本当に・・・・」
彼女は大粒の涙をこぼした。
「いいんだよ。彼女の分まで、二人で幸せになるんだ」
そう言って、彼女を抱き寄せた・・・・。
芸大には入れるし、彼女は出来るし、イイこと尽くめ!
芸大は、自由な学風だし、毎日絵は描けるし、もう最高!
その上、女子50人、男7人のハーレム状態。
まあ、彼女がいたから目じゃなかったんだけどね。
それだけいたら、さぞモテただろうって!?
ああ、モテたさ!www
いつも女子を周りにはべらせていたさwww
実際、他の科の男どもには、物凄く羨ましがられたw
「彼女がいてもいいんです。ずっと思っています」
涙ながらに訴える彼女たちを僕は静かに抱き締める・・・
言葉にしないまま諦めさせる、という技を覚えたのもこの時なのさww
「ずるい男」バイバイ、ありがとう、さようなら~🎵
M子は純で、真っ白で、僕色に染まってくれた。
もちろん、初体験は彼女。
畑に囲まれた帰り道、盛り上がった二人は物置小屋の陰で・・・。
初体験が立ちバックだよ!(゚∀゚;)
我ながら凄いwww
もうね、入れて5秒だよwww
慌てて抜いて、お尻に発射ww
僕は実家、彼女は寮だったからね。
厳しくて。
でも、ひと月ほど経った頃、彼女は、僕の為にアパートに移った。
それからはもうやり放題!www
彼女が立ち上がれなくなるほどww(あ、これは今でもかww)
お尻の穴にポッキーを入れて食べたりwww
馬鹿でしょう!? そう、バカなんですwww
あれ!? これは今も変わらないなあ・・・www
歴代の彼女になんか、し、し、してませんよ!
そ、そんな、し、失礼なこと!wwwww
ごめんなさい、歴代の彼女たち・・・・。
でも、楽しかったでしょ!?www
そう言えば、僕が声を出して悶えるようになったのは、彼女のせいかも知れない。
僕が悶えるのを「可愛い」って言って、ずっと悶えさせられたから。
声を出さないで我慢していると、声を出すまで攻められたり。
一時間近く、愛撫されたこともしばしば。
年上の彼女と付き合うとそうなる、って聞いたことがある・・・。
そんなラブラブの彼女とも別れの時が。
それは突然だった。
ある日、いつものように彼女の部屋に行くと・・・。
ん!? 何だか彼女の様子がおかしい。
「どうしたの?」
「べ、べ、別に何もないわよ・・・何も・・・」
「なんか変だよ」
「そ、それは思い過ごしじゃないの!? い、いつもと変わらないよ」
僕を迎え入れた彼女は、薄いスケスケのランジェリー一枚着けているだけだった。
彼女は目を合わせない。
どうもおかしい。
僕は何気なく四畳半一間の部屋を見渡した。
そして・・・押入れを何気なく開けた。
ただ、何となく・・・・
そこに、男がいた。
状況が理解できない。
パニックになって何も考えられない。
「ち、違うの! これは間違いよ。ただ仕事の話をしに来ただけなの」
「その格好で!?」
「私、寝ていたから、それで・・・」
と、男が割って入った。
「彼女は悪くない。俺が勝手に・・・」
僕は睨みつけた。
殺意を持って!
男は青ざめて後退り、慌てて部屋を出て行った。
こんな詰まらない男に盗られたんだ・・・・。
思考が停止した。
真っ白だ。
結婚まで考えていたのに。
生理がないと言われた時、大学を辞めて就職することまで考えたのに・・・。
僕は立ち上がり、フラフラと部屋を出た。
後ろで泣き喚く彼女の声が聞こえる。
ずっと遠くで鳴っている遠雷のよう。
自転車に乗った。
僕は芸大までの道程を、一時間かけて自転車で通っていた。
もう体の一部だった。
走っていた。
どこか分からず、走っていた。
信号の色が全部同じ色に見えた。
クラクションと怒号、そして急ブレーキをかける音が聞こえる。
一時間、街を彷徨った。
どこをどう走ったのか、覚えていない。
僕は呪文のように、呟いていた。
「切れる・・・切れる・・・切れちゃう・・・・」
何か頭の中で糸のようなものが、今にも切れそうに張り詰めていたんだ。
ああ、もうすぐ切れるんだろうなあ・・・僕は予感していた。
それは、僕が終わることを意味していた。
どうなるか判らない。
ただ、終わるだろうってことは分かったんだ。
ああ、どこかで聞いたことがある。
こういう時は、何かを食べるんだ。
食べなきゃあ・・・食べなきゃあ・・・・
目の前に汚らしいラーメン屋があった。
何も考えず自転車を停め、店に入った。
ラーメンを食べるが味がしない。
食べなきゃあ・・・
吐きそうになりながら、僕は無理やり押し込んだ。
一息ついたのか、帰ろうと思った。
自分の部屋に籠った。
丸二日間。
その間、僕は、真っ黒な中でただひたすら糸が切れないように監視していたんだ。
お袋が何か言ってる。
話すことができない。
話したら、油断したら、糸が切れてしまうからだ。
親父の声が聞こえる。
「放っておいてやれ」
三日後、僕はやっと眠りに就いた。
深く深く死の手前まで、深く眠った。
目覚めた時は、全てが終わっていた。
彼女のことも、過去のことも全て。
そうか、生まれ変わったんだ。
そう思った瞬間、僕は自由になれた気がした。