[全文無料: 小さなお話 006] 猫の呼ぶ声
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伊豆半島の奥深く、南伊豆町の子浦という小さな漁村に住んでいたときの話です。
中学時代からの友だちのお父さんが小さな会社を経営していて、その税金対策の意味もあったのでしょうか、伊豆にちょっとした別荘を持っていました。
「ちょっとした」というのは、この場合「ものすごい」という意味ではなくて、本当に「ささやかな」ということです。
その小屋は、村はずれの二面をコンクリで張られた小さな川の土手の上に、立っていました。プレハブの十畳二