個人ビジネスにおける融資の話
お疲れ様です。としぞーです。
先日TwitterやYouTubeで活躍中であり、物販業でも年商10億以上とかやっているゆうさくさん(@boueki_amazon)と、年商と同じぐらいの融資(一億円ぐらい)を受けているSさんという方と三人でお食事する機会があったんですね。
両方とも一億を超える融資を受けているということで(しかもSさんの売り上げに対する融資額は一般的なそれを大幅に上回っている)会合のうち半分ぐらいは「融資を受けるとはどういうことか」「融資を受けるにあたって何を意識すべきか」などについてのトピックで盛り上がりました。
んで、そういえば融資についての話ってあんまりしてこなかったなと思い、今回は先日の会合の内容を踏まえて、融資についてのあれこれを書きたいと思っています。
僕自身は融資をあまり受けていません。(1000万を「あまり受けていない」と言うのも正しい表現かわからないけど)
ただ仕事柄、融資に相談を受けることは無数にあるし、その際の実例なども星の数ほど見てきました。
そんな中で「これは押さえておいた方が良いよな」と思うポイントを8個ぐらい挙げてみます。
これから融資をお考えの方、融資をもっと効率よく受けたい方。
何かしらの参考になると幸いです。
それでは本編にまいりましょう。
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①融資を受けないのはリスクである
まずは何と言ってもこれですね。
特に、これから融資を受けようかどうか悩んでいる方には「融資に対する漠然とした不安」があると思います。
それは「融資=借金」という感覚からくるものかもしれないし「返済がしんどそう」などのイメージ、または「自分の身を超えた規模になってしまうかも」という恐怖感、そのような印象が「融資に対する漠然とした不安」を形作っているのだと思います。
稀に「融資は借金ではありません!」なる意見を目にすることがありますが、それは嘘です。融資は借金です。借金じゃなかったら何だって話です。
ただ、融資は「いわゆる一般的な借金」とは違います。
色々と違う部分はあるのですが、一番違うのは金利でしょう。
例えば、消費者金融でお金を借りた場合、年利が14%近くかかったりします。一般的に利息の計算は以下のように行われます。
元金(借入金額)×金利(年利)÷365×借入日数(返済日数)=利息
仮に消費者金融で100万円を(3年返済)借りたとしましょう。計算式に当てはめると・・・
1000000円×14%÷365×1095(3年)=420000円
となり、何と3年間で42万円の金利を払うことになります。
この条件でそれを超える利益を(元金から)生み出すのはなかなかに難しいですよね。
一方で、僕たちが言う「融資」における金利はどの程度でしょうか。
個人差があるので一概にはいえませんが、おおよそ2%として考えてみましょう。(実際に融資を受ける際は「2%を下回れるか?」が一つの基準になります)
仮に日本政策金融公庫で100万円を(3年返済)借りたとしましょう。計算式に当てはめると・・・
1000000円×2%÷365×1095(3年)=60000円
となり、3年間で払うべき利息は6万円ポッキリです。
(わかりやすくするために要素を省いて計算しています。あくまでもイメージとして受け取ってください)
100万円の元本から3年間で6万円の利回りを生み出せれば、それだけで融資によるマイナスは消えます。実際は審査の際の信用保証料やらその他のコストもかかるのですが、それでもそこまで大きな額になりません。
逆に考えると、融資によって増えた原資を物販に回して2%以上の利回りを生むことができれば、その融資で損をすることはないと言えるのです。
もちろん2%の利回りでは融資を受けた意味がなくなるので、もっと大きな利回りを目指してプラスを大きくしていくんですけどね。
シビアに見積もっても「5%以上の利回り」を物販で実現できれば一般的な融資の利息はカバーできるし、それ以上のプラスを得ることができます。
そして、物販を正常に行なっていて「5%以上の利回り」が出ないことはほとんどないですよね。(「5%以上の利回り」を達成していないならば、それはその物販が正常じゃないと言うことです)
このような論理により「融資にはほとんどリスクがない」と考えることが可能です。
一方で、融資には大きなリターンがあります。それが「時間の短縮」です。
融資を受けずとも資金を増やすことは可能です。
例えば副業でビジネスを行い、本業の給料をなるべく事業資金に組み入れていく。例えば、ビジネスででた利益に全く手をつけずプールすることで資金を増やしていく。
このようにして資金を増やし複利的な感じで売り上げ規模を大きくすることも十分に可能です。
しかし果たしてそれが最良の方法でしょうか?
例えば資金100万円で転売をしている人がいるとします。
その人は月に10万ほどの粗利益を出すことができます。(月利10%)
このケースにおいて毎月10万円の粗利益を(純利ちゃうんかいと言うツッコミはなしで)事業資金としてプールしていくとします。
すると翌月には資金が110万になり、粗利益も11万出るかもしれません。
こんな感じで複利で資金を転がしていくと1年後には元金が300万円を超えます。何という複利!!!
(まぁ、転売においてはこんなに綺麗に複利増幅しません。仕入れ値が大きくなると利回りも悪くなりますからね)
でもちょっと待ってください。
全く同じ条件が可能なのであれば今すぐ300万円借りて同様の運用をした方が良くないですか?
300万円の融資を受けて同様のサイクルに当てはめると、一年後に元金が1250万円を超えます。
前者の方法で1250万円を超えるのは運用を開始してから2年後のことです。
つまり、融資を受けたことによって結果が丸一年早くなったと考えられるのです。
これが融資を受けることの大きなメリットです。(僕はこれを時間の前借りと呼んでいる)
論理的に考えると「融資にはこれといったリスクがなく」「時間の短縮という大きなリターンがある」ので「融資を受けることは必然」という結論が導出されるのです。
もちろん、融資で得たお金を浪費してしまうとか、金額が大きくなりすぎてビジネスの精度が悪くなるとか「融資を受けたことによる弊害」がないわけではありません。
だから、それらを踏まえた上で融資判断をすべきなのですが、少なくとも「融資に対する漠然とした不安」によって融資を遠ざけているのは、非常に持ったない状況だと思いますね。
もっと普通のことだと思って判断して良いと思います。
②融資で得たお金は資金使途以外には「絶対に」使うな
前項にて、融資を受けた際の一つの懸念点として「融資で得たお金を浪費してしまう」というものを挙げました。
入ってきたお金を「借金」ではなく「自分のお金」として認識してしまい、ビジネスではなく自分のために使ってしまう。
こう書くと「そんなことするわけないじゃん」と思うじゃないですか?
でも、これがまた難しい問題なんですよ。
経験的に融資を受けた人の半数は、何らかの形で「融資で得たお金を浪費してしまい」ます。
ちょっと想像してみてください。
あなたは今1000万円の融資を受けました。
少なくとも(僕のように)入ってきたお金で自家用車を買うなんてことはしないと思います。そんなことするのは一部のバカだけです。(僕のことです)
でも、口座に1000万というお金が増えたことで、
夜ご飯のおかずを一品増やさない自信がありますか?
大盛りに変更しない自信がありますか?
新幹線のグリーン車に乗らない自信がありますか?
無駄にスペックの高いパソコンを買わない自信がありますか?
ちょっとの距離でタクシーを使わない自信がありますか?
これらの質問に「使わないよ」と答えられる人は良いでしょう。
しかし、少しでも「そう聞かれるとあり得そうだな」と思ったそこのあなた!!重々気をつけるようにしましょう。
僕はこれまでに「融資で得たお金を浪費してしまう」ことによって困った人をかなり見てきました。ある意味、これが融資を受ける一番の懸念点かもしれません。
だから、融資で得たお金は必要な場所にしか「絶対に」使わないようにしましょう。それによって初めて融資がほぼノーリスクなものに変化します。
具体的にいうと、審査の際に提出する資金の「使用使途」ですね。
物販の場合は、使用使途のほとんどが仕入れだと思います。
銀行に「融資で得たお金を仕入れにしか使いません」と伝えたならば、実際にそのようにしましょう。これは銀行への心証のためではなく、融資を最大限に利用しマイナスの結果を生まないための防衛策です。
レベルの低い話だと思わないでください。人間は基本的にレベルが低いんですから。この辺りは性悪説を採用してシビアにルール決めをした方が良いですね!
③初回融資300万はいける
これは単純な経験則です。
融資についての相談において「とりあえず100万円借りようと思います」的な話を聞くことがわりとあるのですが、それは勿体無いです。
そもそも100万円程度の資金増加では、ちょっと成長するだけですぐに使い果たしてしまいます。先述の通り、ビジネスを続けていく覚悟があるのであれば融資に大したリスクはないわけですから、借りられるだけ借りた方が合理的です。
なので、融資を受ける際にはなるべく大きな額を希望しましょう。
経験上、500万〜1000万で申告をして300万〜500万の融資が決まるというケースが多いです。(結果的に100万しかおりなかったケースはほとんど知りません)
固定観念で勝手に判断するのは勿体無いです。
自分の価値を自分で判断するのはやめて、自分を高く見積もって書類を作成しましょう!
④書類は無駄に作れ
融資の面談・審査において一番重要な要素は何でしょうか。
ビジネスの収益性?
確かにそれも重要でしょう。しかし初心者の方などはまだビジネスが育っていないので実際の収益性を提示することができないかもしれません。
ビジネスモデルの確実性?
確かにそれも重要でしょう。ビジネスモデルの確実性を上手に説明できれば間違いなく審査に好影響を与えます。しかし、ビジネスモデルについての説明はあくまでも説明であり、口先八寸でいくらでも適当なことを並べることができます。
資金の量?
確かにそれも重要でしょう。しかし資金がないから融資を受けることがほとんどなわけで、これを最重要要素として見ることはできないです。
いろいろな意見があると思いますが(特に初心者の融資、初回融資、創業融資などにおいて)僕が一番重要な要素だと思うのが「誠実さ」です。
審査側の立場に立ってみるとわかると思います。
審査側はあくまでも金融機関に属する会社員です。ビジネスのことを事細かに理解しているわけではありません。確かにB/SやP/LやC/Sは読めるでしょうが、あなたのことを正しく判断できる材料を完璧に持っているわけでは全然ないんです。
しかし、一つだけ担当者が確実に蓄積できる要素があります。それが「人を見る目」です。こういう人はちゃんと返済する、こういう人は返済が滞りがちだ。そんな経験を普段からしているわけですから、その経験則を審査に当てはめないはずがありません。
だから、とても当たり前の話ですが、面談の際はちゃんとした格好で伺うべきですし、間違っても短パン・サンダルとかで挑んではいけません。(としぞー、お前のことだぞ)
そして「誠実さ」をアピールするために一番効果的な方法は「資料を作っていく」ことです。
ビジネスモデルを説明するためのレジュメ
返済計画を想定した資料
今後3年間の事業推移モデル
などなど
正直、内容よりも「作った」という事実が重要です。(もちろん、内容が良いに越したことはない)
とにかく「頑張りました感」を演出する。
「書類をたくさん作る」けど「短パン・サンダルで伺う」
のと
「スーツで訪問する」けど「書類の用意なし」
だったら、前者の方が審査に好影響を与えると思うぐらい、重要な要素です。(「書類をたくさん作り」「スーツで訪問する」が良いです。もちろん。)
書類は狂ったように作りましょう。
⑤面談は余計にしろ
これは、先日の会合で出てきた話なんですが、目から鱗でした。
思考のベクトルとしては前項と一緒です。「誠実さ」をアピールしたいわけですね。
融資の審査では通常
書類提出→面接→(必要な場合は二次面接)→融資実行
みたいな流れが取られます。ここに
書類提出→面接前の面接→面接→(必要な場合は二次面接)→融資実行
を追加しようという話ですね。
これによって「融資の審査を真剣に捉えている」という心証を与えられますし、面接前の面接をすることによって、実際に面接においてのクオリティを上げられる効果もあります。
「ちょっと不安なので、本面接の前に一度お会いしてお話しできませんか?」
もう字面で「誠実」ですよね。
これは貴重なテクニックの一つだと思います。
⑥設備資金はあかん
融資を受ける際、お金の使い道を問われます。
お金の使い道はまず大きく二つに分類されます。
①運転資金
②設備資金
「運転資金」は物販でいえば仕入れのことですね。
「設備資金」は設備投資に必要な資金のことです。
融資の書類を作成する際に「設備資金」には1円も記載しないようにしましょう。全額「運転資金」で借りてください。
考えてみると当たり前の話なんですよね。
あなたが審査担当になったと想像してみてください。
Aさんは「運転資金」が欲しいと言っています。
手に入れたお金を全額仕入れに充てる予定です。仕入れだからそこには明確な利回りがあり、その想定通りにことが進めば返済ができそうです。
一方Bさんは「設備資金」が欲しいと言っています。
手に入れたお金を全額設備に充てる予定です。パソコンを買ったり、事務所を契約したり、備品を購入したり。ここに対して利回りを計算するのって難しくないですか?確かにパソコンを買えば作業効率が上がるかもしれない。でもその際の利回りは不明瞭であり、どう考えても「仕入れをした時の利回り」よりも確実性がありません。
あなたはどちらにお金を貸すでしょうか?考えるまでもない問題かと思います。
以上のことから、融資の際には「運転資金」に希望額を全額記載しましょう。同時にそうやって記載するわけですから、ここに②のルールが適応されます。つまり、融資によって手に入れたお金は「運転資金」以外には使わない。
パソコンは物販で得た利益によって買うようにしましょう。
(年商数億規模になるとちょっと話は変わるのですが、レアケースだと思うので、ここでは無視します)
⑦同時に申し込め
これも先日の会合で出て「確かになぁ」と思った話。
融資をたくさん受けたいのであれば、一つの窓口に大きな額を希望するよりも、複数の窓口に並行して希望を出す方が効果的です。
しかし(本当のところはわからないものの)現在の借入額を共有するような仕組みが各銀行の間にはあるのではないかと言われたりしています。
少なくとも、融資の審査の際には「現在の借入額」を記載しないといけません。ここで嘘をついてもしょうがないし、融資の審査において「嘘」は一番のご法度です。信用を失ったら終わりな世界ですから。
でもですね。完全に同時に複数の窓口に審査を依頼すればこれらがクリアになります。
まず、審査の段階では融資が実行されていませんから、銀行間に借入額を共有する仕組みがあったとしても、それを共有することが不可能です。
また、書類に記載する借入額も、現にまだ融資を受けていないのですから(例えば初回融資であれば)0円と記載することが可能だし、全然嘘ではありません。
だから、融資額を大きくしたい場合は複数の窓口に「同時に」審査依頼を出しましょう。
それが最初の融資ならば「マル経融資」と「信用金庫」への同時申し込みが妥当じゃないですかね。
③の条件を考えると、うまくいけばこれで初回に500万の融資を受けることができます。初動で500万借りられるのはでかいですよ。とんだスタートダッシュです。
⑧年商×0.3×取り扱い窓口が期待融資額である
会合でお会いしたSさんの事業規模は年商1億円ぐらいです。その状況で1億円を越える融資を受けています。
これはSさんの経営哲学があってのことなので、これを真似した方が良いということではないのですが、少なくとも「年商と同量の融資を受けることは可能である」という事実の証明であり、そういう意味で非常に貴重な実例だと思います。
で「なんで年商分も融資が受けられるのか?」って話なんですが、ロジックはとてもシンプルなものです。
一般に一つの窓口における融資の上限は月商3-4ヶ月分だと言われています。まぁこれを年商×0.3と表現しましょう。
ということはですよ、窓口が4つあれば(日本政策金融公庫・商工会経由のマル経融資・信用金庫・地銀など)年商×0.3×4で年商の1.2倍の融資が可能ということになります。たったこれだけのロジックです。
*「日本政策金融公庫と商工会経由のマル経融資はどちらも公庫管轄ではないのか?」という疑問があると思います。この辺りはっきりしたことは言えないのですが、どうもいろいろな方の傾向を見ていると「日本政策金融公庫と商工会経由のマル経融資は別枠処理をさせているのではないか」と仮説立てられるんですね。実際に日本政策金融公庫と商工会経由のマル経融資合計で、年商の半分ぐらい借りている例がいくつかありますので。
⑦で触れた通り、確かに借入額が大きくなると他の窓口の審査も厳しくなる可能性はあります。ですから単純に「年商×0.3×取り扱い窓口が期待融資額である」とはいえないかもしれませんが、少なくとも4窓口ぐらいの量であれば「年商×0.3×取り扱い窓口が期待融資額である」が成り立っているという事実も無視することはできません。
繰り返しますが、年商と同額の融資を受けた方が良いと言っているわけではありません。
ただ「その可能性がある」という知識を持っておくのは有益であり、事業における選択肢を増やすことになるのではないかと思います。
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