【通信講座】 小説「楽園の寵児(仮)」 講評
おもしろくはないが
意外に読ませる。
フローベールのような執拗な描写が
細部への興味をかきたてる。
サンは、サンだけにサンドイッチやおにぎりのあるあたりで忙しそうに何度も腰を曲げては働いていた。
はずかしげもなく、このようなシャレを地の文に書くのは
なにを狙っているのだろうか。
(おそらく)若い作者(経験的作者)は、読者に
どのようなモデル作者を提示したいのだろうか。
太宰治は、モデル作者をキャラクター化して
経験的作者と混同し、自滅してしまったが
太宰ほどではないにしても
どのようなモデル作者にしたいのか、イメージさせたいのか
もっと意識的になってもいいと思う。
近現代文学のジジイ作者だと思われたいのなら
このままでもかまわないが
モデル作者としての魅力はまったくない。
(作者より)
気になる点
・選ばれた人間が無為に時間を過ごすことを惜しく思う観察者という構造が伝わったか。
・何を一応の主題だとして読んだか。
・俊作は思った。俊作は考えた。の多用による違和感があるか。
・夢への二回もの依存が良くないか。隣町を現実から聖域へ昇華させることからの逃げの側面がある。
・笑った。言った。の多用による違和感。
・人物像が伝わるか。
・無為な日常の積み重ねシーンの多寡。また、歌ったり、ラップをしたり、言葉遊びをしたり、性行為をしたりするのが、無為の象徴であると分かるか。
・登場人物による直接的なテーマへの言及や思考による違和感。果たして大学生は、生きていて構造的に物事を考えるだろうか。小説だから許されるのだろうか。
・サンを太陽になぞらえるのはまだしも、ただの大学生の慧を天人としてみたり、隣町を穢土や楽園としてみたりする俊作の思考が突飛ではあるまいか。その恐れから、その後に、言い訳のように、俊作は自分の思考を突飛すぎると思ったなどといれている箇所がいくつもあるが、むしろそれが良くないか。
・最終シーン。テーマに縛られたように河川敷を無為に歩くというのは構造が明確に見え透いて間抜けか。
・選ばれた人間が無為に時間を過ごすことを惜しく思う観察者という構造が伝わったか。
主題は見えない。
描写のための描写を書きつらねた習作に似ている。
正確な記述とリアリティーのある会話をむだづかいしている。
・何を一応の主題だとして読んだか。
冒頭、男女の三角関係を主軸として
物語が展開するのだろうと予想した。
・俊作は思った。俊作は考えた。の多用による違和感があるか。
特にない。
・夢への二回もの依存が良くないか。隣町を現実から聖域へ昇華させることからの逃げの側面がある。
申し訳ないが
そこまで到達できなかった。
・笑った。言った。の多用による違和感。
特にない。
・人物像が伝わるか。
冒頭のパラグラフだけで
3人の主要人物が実在していると強烈に感じる。
このリアリティーには拍手をおくりたい。
・無為な日常の積み重ねシーンの多寡。また、歌ったり、ラップをしたり、言葉遊びをしたり、性行為をしたりするのが、無為の象徴であると分かるか。
とにかく冗長なので
早く物語が進んでほしいと願いながら読んだ。
そして、なにかが起こる前に力つきた。
・登場人物による直接的なテーマへの言及や思考による違和感。果たして大学生は、生きていて構造的に物事を考えるだろうか。小説だから許されるのだろうか。
申し訳ないが
そこまで到達できなかった。
・サンを太陽になぞらえるのはまだしも、ただの大学生の慧を天人としてみたり、隣町を穢土や楽園としてみたりする俊作の思考が突飛ではあるまいか。その恐れから、その後に、言い訳のように、俊作は自分の思考を突飛すぎると思ったなどといれている箇所がいくつもあるが、むしろそれが良くないか。
自分をかしこいと思っている、自意識の多少過剰な学生なら
これくらいの内面は不自然ではないと思う。
・最終シーン。テーマに縛られたように河川敷を無為に歩くというのは構造が明確に見え透いて間抜けか。
申し訳ないが
そこまで到達できなかった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?