【通信講座】 小説「電波塔ジャンプダウン」 講評
雰囲気のみで、内容がない。
――暗い。
――ただ、暗い。
風が、鋭い。
ビルは、冷たい。
へたな散文詩のように改行で効果を出そうとしているが
いたずらに感傷を垂れ流しているだけで
正確な描写は薬にしたくもない。
「妹」の伏線が無意味。
漠然とした語り手の動機に
おそらくロボットであるというオチが待っていると思ったが
そのような安直なアイディアさえなく
掌編をしめくくり成立させるためのなんの用意もしていなかった。
(作者より)
衝動、という通り、作品全体にかっちりとした構造を用意することはなく、また明確なメッセージも、意識的には、特段含ませておりません。ここで気になるのは、作品に背骨が通っているのか、ということです。ストーリーの流れや、「少女」の謎が、果たして機能しているか。あるいはまた、以前におっしゃっていた「行動原理」を含めまして、「人間」を描けているかどうか。これらの点に関して、特にアドバイスをいただきたいです。
構造もメッセージもない小説を書くことはできるが
この作品には評価すべき別の要素がない。
「少女」は登場する前から正体が分かる。
「人間」を書こうとしているとは想像だにしなかった。
漠然と感傷的なだけの作品にならないように
構造、メッセージはなくても
なんらかのしかけくらいは準備すべきだ。
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