【通信講座】 小説「断続」 講評
はじめは川上弘美が劣化した不条理風のものを書きたいだけだと感じましたが、中盤あたりから描写が生彩をおびてきました。
カフカより、むしろゴーゴリのような執拗さが見えてきてよかったです。わざとらしいところがなく、自分のことばで書いているように思いました。
・この小説は太宰治賞の一次で落ちたのですが落ちる要素はどういったところにあると思われますか?
文学学校などに通って文章の基本を学んだ方がいいでしょうか?
まず、50〜400枚という規定がありますが、ふつうは200枚くらい書きます。
この作品は75枚くらいです。この枚数で受賞した作品を知りません。
枚数のかぎり表現しつくすほうがいいに決まっています。
それに、あわよくば芥川賞の候補にさせたいとも編集部は思っています。
題材はフェミニズムとかがいいんじゃないですか。移民とか、トー横キッズとかもいいんじゃないですか。あなたの文体には合わないと思いますけど。
受賞するのが目的なら、文学学校はいいと思います。日本文学のルールが分かるでしょう。芥川賞っぽい小説が書けるようになります。
自分の個性を完成させたいなら、ぜったいにすすめません。せっかく形成されつつあるのに、あなたの文体が消滅します。
・もっと繋がりのあるストーリー、成長のあるようなストーリーは書いたほうがいいのでしょうか? 自分は小説の醍醐味はそこに無いような気がしているのですが、それが怠惰なことなのかどうか気になることがあります。
共感します。別に怠惰ではありません。
受賞したいなら、成長のある、ビルドゥングスロマンみたいなものがいいと思います。
・小説を書くための努力の方向性が分からなくなることがあるのですが、読むこと、書くこと、様々な経験をすること、どこに比重をおくべきだと思われますか?
入れたぶんだけ出すようにしたらいいと思います。
経験も重要です。少しでも興味があったらかならずチェックしに行く、フットワークの軽さがほしいです。
・もし自分に読んだ方がいいと思われる本や見た方がいい映画などあれば教えていただきたいです。
もし読んでいないなら、ゴーゴリでしょうか。ナボコフもぜひ。
19世紀末の美術とか、興味を持ってもらえるかもしれません。
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