【通信講座】 小説「鱗の生えた女」 講評
私、二十歳。大学生。
今日もまた、平気で嘘をつく。
冒頭、kiki『あたし彼女』のパロディーかと思った。
意識していないなら
携帯小説程度の書き出しだと自覚したほうがいい。
アタシ
アキ
歳?
23
まぁ今年で24
彼氏?
まぁ
当たり前に
いる
てか
いない訳ないじゃん
みたいな
着想はおもしろいが
着想しか書いていない。
ほとんど設定の説明であって
ストーリーが展開する前に閉じている。
高校卒業を間近に控えて、一度だけ、鱗を剥がしては捨てることに躍起になった日がある。
自意識過剰で不愉快なだけの語り手が
葛藤するのは(コンフリクトが生じるのは)
このセンテンスにかぎられる。
ここで「葛藤」を書くのが小説であり
語り手の苦悩、絶望、「鱗を剥がしては捨てる」に至った一部始終を表現して
やっと語り手に共感できるようになる。
(作者より)
・これは小説と呼べるのか(もし小説であるとすれば、純文学と大衆文学のどちらに分類されるのか。また、区別は必要なのか)
・小説でないとすれば、これはいったいなんなのか
これは「設定」であり
それ以外のなにかではない。
「高校卒業を間近に控えて、一度だけ、鱗を剥がしては捨てることに躍起になった日がある。」
このセンテンスと
印象的なラストだけ小説に似ている。
・自分が書いたもののなかで、比較的評判のよい作品ではあるが、その評価を素直に受け取っていてよいのかどうか
着想がおもしろいと思われたにすぎない。
「鱗」がなにを象徴しているのかさえ、作者はよく分かっていない。
・(前の質問に関連して)むしろ決定的な欠陥があるのならば、ぜひ知っておきたいが、具体的になにがまずいか
「コンフリクト」が存在しないので
むかつく語り手にまったく魅力を感じない。
達観、諦念に到達したかのようで
実は強がっているだけだったという内面を表現しなければならない。
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