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2019年7月の記事一覧
【小説の書き方 68】
あらゆる要素のなかで
関係性こそがもっともおもしろいので
既成の世界観、ストーリーなどの前提を生かして
さまざまな視点から
関係性のみが表現されている
二次創作が書かれ、読まれるのです。
Twitterでバズるマンガも
ほとんどこれで説明できます。
【小説の書き方 67】
見聞きし考えたことをすべて書くのは
モダニズム文学
ジョイス「ユリシーズ」、ヴァージニア・ウルフ「灯台へ」、プルースト「失われた時を求めて」などの
「意識の流れ Stream of consciousness」という実験的技法なので
これらの傑作を凌駕する作品を書くつもりでないなら
やめておくほうが無難です。
【小説の書き方 66】
キャラクターの特徴、個性は
奇抜な名前
特殊な口調
異様な外見
では表現しきれず
常に環境、人物との関係性のなかで
もっとも価値観が浮きたちます。
内面の葛藤、他者との対立が
有効な所以です。
【小説の書き方 64】
ストーリーとは
時間の流れで
時間の流れは
変化によってでしか感じられません。
登場人物の心理、状態の変化、成長、発展をともなわない
説明のみになっていて
時間がとまっている、したがって
ストーリーが進行していないことを
「世界観そのものを書こうとしている」と申し上げているのです。
【小説の書き方 63】
多かれ少なかれ非日常的なことが
多かれ少なかれ非日常的に表現されているのが小説なので
一般的なことに対して
一般的な反応、感想しか引き出せていない場合
不必要なことを書いてしまった可能性が高いのです。
【小説の書き方 61】
・時系列を忠実になぞらない
・身につかない語彙を雰囲気でつかわない
・世界観そのものを書かない
・見聞きし考えたことをすべて書かない
・事件の連続でプロットを構成する
・コンフリクトで登場人物の価値観を表現する
【小説の書き方 60】
「書き手が若いと、自分の言おうとしていることがなんだかバカバカしいわかりきった当たり前のことのように感じられるので、それを隠そうとしてバロック的な装飾をほどこすってことでしょ、十七世紀の作家たちから言葉を借りてきたりして」(ボルヘス)
【小説の書き方 59】
「芸術家は世界とさまざまな精神とをとりむすぶ。批評家は単に精神と精神とをとりむすぶにすぎない。であるから芸術家は、同時代の文化的状況からぶざまに孤立しようとも、世界に対する忠誠の義務と世界との熱い絆とを維持しなくてはならない。」(アップダイク)
【小説の書き方 57】
manent verba volant《書かれた言葉は残り、口から出た言葉は飛び去る》
ことばの永遠性を讃美しているわけではなく
書かれたとき、そのことばは死んでしまい
発音されたことばは軽やかに聞き手の心へ放たれる、
ということを言っています。
しかし
われわれは死んだことばで
生きた物語を書こうとします。
【小説の書き方 55】
「小説家は、生きた男女を創造する。彼はそれらの人物の争闘の様を我われに示す。宗教における神と人間との争闘、恋愛における男と女との争闘、人間の自分自身との争闘などがそれである。ところで、小説家を例にとって戦後の時代を定義しなければならぬとすれば、現代は、今日まで小説の命の糧であった争闘が、次第にその激しさを減じつつある時代であると言えよう。」(モーリヤック「小説論」)