REEPERBAHN FESTIVAL 19 / 朗報。ハンブルクにはまだロックがある!!
夏のフェスシーズンが過ぎると、一気に野外フェスが少なくなってきますがその代わり秋になると室内で行われるフェスが増えるので、秋フェスは意外にも結構あります。
そんな秋フェスの中で一つ面白そうなフェスが、ベルリンの近くで行われたので先日行ってきました。
このフェスについて
開催時期
2019年9月18日-9月21日(例年9月中盤の週末含む、4日間)
フェスの歴史
レーパーバーンフェスティバル / REEPERBAHN FESTIVAL
今回参加したレーパーバーンフェスティバルはドイツ第2の都市ハンブルクにあるザンクトパウリエリア一帯で行われる音楽フェスティバルです。
中心となるレーパーバーン通り周辺はヨーロッパでも屈指の知名度を誇る"大人の"歓楽街として有名ですが、もう一つ音楽好きにとって有名なのが、ここレーパーバーンがビートルズが下積み時代を過ごした地であるということです。まだまだ無名のビートルズがリバプールから出稼ぎに訪れ、この地でいくつものステージをこなしたことで、のちまで続くビートルズのスタイルを確率していきました。現在でもその頃のステージのいくつかは営業を続けており、毎年多くのビートルズファンが巡礼に訪れています。
ヨーロッパの中でも昔からロックが根付いているのは、英語圏の英国、アイルランドを除けば、ここハンブルクが筆頭ではないかと思います。その証拠に現在も多くのロックミュージシャンのツアーではドイツでハンブルクが外されることはまずないです。
さてそんな歴史ある地で開催される、レーパーバーンフェスティバルは2006年に始まりました。フェス自体の歴史は割と浅いですが、年々と規模を拡大し現在では、街全体に広がった会場が90を超える程になりました。
またレーパーバーンフェスティバルは、ライブの他に音楽関連のカンファレンスなども同時に行われています。というのもこのフェスが、若手アーティストの発掘をメインテーマにしているためで、毎年新人を発掘しに、各国から多くの音楽関係者も集まります。このフェスで最も大きな賞の「Anchor – レーパーバーン国際音楽賞」は、開催期間中に審査が行われ、最も際立った新人アーティストに授与されます。(今年はウクライナのおデブちゃんラッパーAlyona Alyona)
音楽関係者はここで新しい原石を探すことができ、僕たちはまだ知らない新人の演奏をたくさん間近で見ることができるというどちらにも美味しいフェスティバルです。
音楽ジャンル
近年のDJ、エレクトロ勢多数のフェスとは違い、インディー系、特にロックが多いです!(ここ重要!)昨今ではかなり貴重ですよね。もちろん他のジャンルも幅広くカバーはしています。
若手メインなので、知っているアーティストはそれほどいなかったですが、それが逆にいいです。ラインナップもドイツやUS、UKだけでなく、欧州各国、オーストラリアやカナダなどかなり多くの国からやってきます。
ちなみに19年の主要なアーティストはFOALS(出演キャンセルによりBAUSA)、FEIST、THE SUBWAYS、EFTERKLANG、AURORA、BILLIE MARTEN などでした。
チケット購入
4日間開催されるので、通し券と1日券があります。その他にも週末2日券なども売っています。(他にカンファレンスに参加できるチケットもあります)
2020年の通し券は早割で99€(19年9月現在)です。
*後述するエルプフィルハーモニーは特別会場として別途事前予約が必要でした。予約の流れは、年初までにチケット購入した人、一人一席(開催期間を通して1ステージ)だけ先着でチケット申し込みが可能なようです。僕は開催前ギリギリにチケットを取ったので、すでに売り切れていました。オフィシャルによると2020年も同じシステムのようです。
開催場所
レーパーバーン・ザンクトパウリ地域一帯が会場です。多くの会場はレーパーバーン通りに集中していますが、電車に乗っていかなければいけない所もあるので、フェス会場全体としてはかなり広範囲です。街のあちこちにあるライブ会場を転々とするこの感じ「アイスランドエアウェイブス」と同じ構成です。
サテライト会場としてセントミヒャエル教会やエルプフィルハーモニーといったハンブルクのランドマークも入っているのでこのフェスに参加するだけで観光もできて一石二鳥です。
現地到着から会場周辺まで
僕は鉄道で行ったため、ハンブルク中央駅に着きました。ここから会場のザンクトパウリエリアへは地下鉄のUバーンまたはSバーンを使って行きます。
ちなみにハンブルク空港に着いた場合は、Sバーンの1番が中央駅まで30分弱で走っているようです。参考サイト
中央駅から向かう場合、U3(黄色)ザンクトパウリ駅かS1、S2、S3のレーパーバーン駅の2つ最寄り駅があります。どちらも大体所要10分ちょっとです、中央駅付近から歩くのはちょっときついですね。
レーパーバーン駅だとエリア西側のわりと会場が密集しているところに出ます。逆にフェスの運営本部がある、フィスティバルビレッジへ行く場合は、ザンクトパウリ駅が近いです。
夜間の交通ですが、僕は週末の2日間だけ(金土)参加しましたが、どちらも夜、電車は走っていました。フェスティバル中ということもあり、人は沢山いましたね。フェス自体は、午前1時頃でほとんどの会場は終了します。水木は未確認ですが、ナイトバスは走っているようなので、宿に戻れなくなることはないですね。
フェス情報の必需品
公式APP
ライブステージに加えて、カンファレンスも乗っているので、スケジュールはかなりのボリュームです。僕は公式アプリで見たいアーティストを片っ端からお気に入りしておき、見れるものだけ見たって感じですね。
ライブプログラム(紙)
インフォメーションなどで配っている紙のスケジュールは1枚で1日の大ボリュームです。情報量が多いのはやっぱり紙の方が見やすいです。
リストバンド交換
リストバンドは運営のあるフィスティバルビレッジ で交換します。まずはU3番でザンクトパウリ駅に向かってください。北側の出口を出るとすぐにフェスティバルビレッジの案内があります。
そのまま直進するとすぐに見えてきます。写真左のチケットデスクでEチケットと交換します。ドイツはルールとかうるさいので(笑)一応チケットをプリントしてそれを見せました。鉄道チケットなども紙にプリントしたほうが無難です。
このフェスティバルビレッジではチケットデスクだけでなく、広い空き地にステージや展示スペース、グッズショップなども出来ています。クロークもあるので荷物などを預けることもできますよ。
各会場入り口では荷物検査があり、瓶、缶、ペットボトルなどは持ち込み禁止でした。また荷物もルールではA4サイズほどのバックでないとダメらしく、たまに厳しい人がいて、ちょっとでも大きいと入れてくれないことがありました。
会場(ステージ)の様子
かなりのステージ数で、おそらく4日間通しても全部のステージは周れないと思います。会場はライブハウスだけでなく、特設ステージ、シアター、学校、レコードストア、教会やコンサートホール、おまけにボートパーティまであり、本当にバリエーションが豊富で、次の会場に行くのが楽しかったです。
レーパーバーン通りのSpielbudenplatzに出来た特設会場。インフォメーションや出店もあり、このあたりが会場も多く中心の場所です。
正面の大きな建物クラブハウスザンクトパウリはステージが何個も入っていました。
ビートルズがハンブルクへ来て初めてステージに立ったのがこのインドラ。ここも会場です、中は何の変哲も無いステージでしたが感慨深いですね。
こちらはインドラの次にステージに立ったというカイザーケラー。実際に入ってステージをはしごできるのはこのフェスの醍醐味です。
港の方にポツンと一つ会場があったので行って見たら、ボートパーティでした。この後ハンブルク港へクルージングに出発して行きました。
ハンブルクの住民に愛されている、街で一番大きなミヒャエル教会。内部の装飾が綺麗で、ここでのライブは贅沢でした。大きい教会なので結構な人が入れます。ちなみにエアウェイブスの記事で教会でライブやるなんて他にないなんて書きましたが、結構ありますね笑
2017年ベイサイドエリアにオープンしたエルプフィルハーモニー。通称エルフィと呼ばれており、今やハンブルクの新しいランドマークです。メインはオーケストラなどのコンサートホールですが、ポップ・ミュージックも結構演ってるみたいです。今回ここでの全てのライブは事前予約で既に完売していたので、この時点では入れなかったんですが、ミラクルで当日チケットをゲットし入ることができました。外観もすごいですが、中もすごく面白いです。
個人的ベストパフォーマー
Ecce cello
最初に見た人。チェロ弾きながらいくつもの貼り付けたタブレットの映像とリンクして演奏するコンテンポラリなステージでのっけから面白かった。
junk-E-cat
ベルリンのサクソフォーン奏者。DJしてクラブミュージック流しながら、VJもしてサックスも吹いてと大忙し。超器用だな。
Irma
フランスのシンガー。ミニステージではアイフォンで音源流して歌ってました。新人らしいフレッシュ感と大物になりそうな卵感が出てました。
Begonia
カナダのシンガー、ベゴニア。ユーモア交えながらいい感じのキャラクターの姉さんでした。
Jackie Moontan
ルクセンブルクのポップシンガーです。その日は同じ会場でルクセンブルクナイトをやっていました。ほんとに色々な国から来てます。
Penguin Cafe
ミヒャエル教会でペンギンカフェはめっちゃ合います。オーケストラ時代の ”Music For A Found Harmonium” から始まった時は胸熱でした。
Cinemagraph
ドイツのロックバンド。ティーンエイジ感の音とアレックス・ターナーっぽい声のボーカルが良いです。会場がインドラで、ビートルズもこんな感じだったのかなーとか思って感慨深かった。
MANTAR
地元ドイツのメタルバンド、結構人気みたいで沢山入ってました。カイザーケラー、フライハイト36の大ホールでした。レーパーバーンはメタルも結構多いですね。
Bess Atwell
UKのシンガー、ベス・アトウェル。今回見た中で一番印象に残りました。マリカ・ハックマンやマギー・ロジャースのような静かで淡々と歌う感じですごく好きです。"Swimming Pool"ぜひご視聴を、めっちゃいいですよ。
Low Island
イギリスのいわゆるシュッとしたエレクトロロックバンド。やった所が面白くて工事現場みたいな建物に入ってる会場でした。普段は音楽学校みたいです。
The Japanese House
日本家屋感はまったくないですがエレポップで売れそうな感じ。日本にも来日するようなので興味のある方は是非。
Lubomyr Melnyk
ウクライナの音速ピアニスト、ルボミール・メルニク。去年の年末、渋谷のタワレコでたまたま視聴して買った人ですが、まさかライブを聴けるとは思ってもみませんでした。流れるような指さばき、本当にすごいっす。
Sofia Portanet
ドイツのポップシンガー。何回もステージがあったので結構プッシュされてるのかな?会場はボートの上、しかもスタートと同時にクルーズが開始されるという面白い場面を見れました。
Efterklang
今回一番見たかったデンマークのオルタナバンド、エフタークラング。音はボン・イヴェールやシガー・ロスのような感じです。前述のエルフィが会場だったのでチケットはすでに売り切れだったのですが、当日のあまり券をチケットブース目の前を通りかかった時にたまたまゲットできる嬉しいハプニング!エルフィも中に入って見たかったので本当に得しました。メインホールは有機的な作りで素晴らしかった。
Aurora
すでにヨーロッパでの知名度はこのラインナップの中では抜きに出ているノルウェーの歌姫オーロラ。Efterklang後の終演ギリギリ2曲だけ聴けました。会場のミヒャエル教会で歌う姿はまさしく天使でしたね。
Steph Grace
オーストラリア出身のフォークシンガー。スコットランドとか色々渡り歩いてシンガーになったみたいです。このフレッシュなフォークシンガーが僕の最終日のヘッドライナーでした。
周辺環境について
気候について
ハンブルクはベルリンよりも北にある港町です。9月の半ばはもうすでに夜は冷えますね、15度以下になるので上着は持って行きましょう。
お金について
ドイツなので通過はユーロです。会場のバーではクレジットカードが使えないところもあるので現金は持っていた方がいいですね。グッズショップはカードでも大丈夫でした。(Visa、Master)
食事について
レーパーバーンは歓楽街ということもあり、夜遅くまでお店がやっています。Spielbudenplatzにある特設会場では屋台ができていますし、通りにはケバブ屋やファストフード屋が沢山あるので食べ物に困ることはないと思います。
インターネット
会場自体に無料WIFIはほとんどありませんでしたが、ハンブルクの街ではこの"Mobyklick"というWIFIがよく飛んでいました。こちらはログインすれば無料で使えました。
泊まるところ
レーパーバーン近くにもホテルはあるようですが、僕は中央駅前のホステルに泊まりました。そこから会場までは電車で20分くらいですね。前述のように夜遅くも地下鉄や電車は走っていた(金土)ので帰るのは楽でした。
困ったこと
レーパーバーンを検索するとわかりますが、普段は”大人の”歓楽街として観光客の人で賑わっています。東京でいう歌舞伎町のポジションだと思います。はじめは独特の雰囲気で歩きにくいかなと思いましたが、これは慣れですね、通りの角には警察署もあり、歩いてる人もフェスに来た人か、観光客ばかりなので、意外と健全です。客引きも店前にちらほら立ってる程度でそれもスーツ着たおじいちゃんとかなので、スイスイ避けて歩けました。
最後に
このフェスは歴史あるレーパーバーンから世界に向けて若手を発信していこうとするメッセージがプログラムからよく出ていたと感じました。最初はラインナップを見て、知らないアーティストばかりだったので躊躇しましたが、行ったら楽しすぎて2日間では見切れず、4日間参加すればよかったと後悔したほどです。
大物をブッキングしなくたって、無名だからって理由は関係ないです。レーパーバーンフェスのように街のキャラクターとコンセプトがしっかり合っている、自分たちの色の出ているフェスはちゃんと面白いです。
世界のフェスでも名前が上がる方のフェスではありませんが、ビートルズ巡礼などを考えている人はぜひこのタイミングで訪れることをお勧めします。このフェス以外でここら辺をこんなにうろうろすることはないでしょうし、きっと面白い体験ができると思いますよ。